今回のQ&Aでは、主に以下の6項目について説明されています。
ポリマーの化学物質名称
モノマーおよび反応体
分子量分布
除外要件
カチオン性ポリマー
分解性または安定性
現在、中国で新規化学物質の登録を準備しているポリマーメーカー、輸入事業者およびそのサプライチェーン関係者にとって、重要なのはオンラインフォームへの入力を完了することだけではありません。物質同定情報、合成情報、分子量に関する証拠、用途・使用シナリオ、適用条件に関する判断について、申請資料全体で整合性を確保することが重要です。
なぜ「新規化学物質登録申請」が必要なのか?
中国生態環境部が公表した「新規化学物質環境管理登録に関する事項についての通知」(環弁固体函〔2026〕301号)に基づき、2026年8月15日より新規化学物質環境管理の従来の届出手続きが停止となりました。
「新化学物質環境管理登記弁法」第10条第3項に定める要件に該当していた企業・事業単位は、対象となる新規化学物質を製造または輸入する前に、以下の資料を提出する必要があります。
新規化学物質環境管理登録申請書
該当要件を満たしていることを示す裏付け資料
すでに把握している環境・健康有害性および環境リスク等に関する情報
主管当局は、簡易登録の手続きおよび審査期間を参照して、申請を受理・審査します。
届出から登録申請への移行やオンライン申請システムの変更については、REACH24Hがこれまでに公開した「緊急お知らせ!新規化学物質の届出受付は 8 月 15 日をもって終了、暫定「登録申請」ルートが稼働開始」もご参照ください。
なお、この取扱いは、現段階で適用されている移行措置です。今後、中国生態環境部から新たな規定が公布された場合には、新規定に従う必要があります。
新規化学物質登録申請の申請先
新規化学物質環境管理の登録申請は、オンライン登録システムを通じて行います。
企業は中国生態環境部政務サービスホールにログインし、以下の順に選択してください。
「新化学物質類」 → 「13002 新化学物質環境管理登録証交付審査事項」 → 「事項申報」 → 「登録申請」
専用モジュールに入った後、申請情報をオンラインで入力し、関連資料を提出できます。
ポリマー登録申請資料に関する6つの要件
1.中国語・英語の化学物質名称は、適切に命名し、一致させる必要がある
ポリマーの中国語化学物質名称は、「新規化学物質環境管理登記ガイド」および「化学物質環境管理命名規範」(HJ 1357—2024)に定められたポリマーの命名規則に従う必要があります。
英語名称については、国際純正・応用化学連合(IUPAC)またはCASの命名規則に従い、中国語名称と同一の物質を示す名称としなければなりません。
商品名、一般名称、略称などを、ポリマーの正式な化学物質名称の代わりに使用することはできません。ただし、申請書の「その他の名称」欄に記載することは可能です。
申請資料を準備する際には、申請フォームだけでなく、分析報告書、研究資料、サプライチェーン文書などに記載されている名称もあわせて確認することが重要です。
2.モノマー・反応体は、化学物質名称に現れる物質だけでは不十分
モノマーおよび反応体の一覧には、ポリマーの合成過程で反応に関与するすべてのモノマーおよび反応体を含める必要があります。
具体的には、以下のような物質も対象となります。
ポリマーの化学物質名称には直接記載されていないモノマーまたは反応体
反応には関与するものの、最終的なポリマー分子構造には結合しない反応体
その他、重合反応または最終的な物質同定に影響を与える反応物
申請資料には、該当する物質の正式な化学物質名称とCAS番号を適切に記載する必要があります。
また、「含有量」の欄には、各モノマーまたは反応体の仕込み重量比または重量パーセントを記載します。ここで求められるのは、最終的なポリマーに含まれる残留量や分析による検出濃度ではありません。
したがって、申請情報については、実際の製造処方、原料の仕込み記録、反応工程との整合性を確保する必要があります。
3.GPCは唯一の方法ではないが、分子量分布を示す証拠が必要
登録申請を行うポリマーについては、分子量分布図、またはポリマーの分子量とその分布を適切に示すことのできるその他の結果を提出する必要があります。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は代表的な評価方法ですが、唯一認められる方法ではありません。GPCによる測定が困難なポリマーの場合には、そのポリマーの分子量および分布を合理的に示すことができる、その他の評価結果を提出することも可能です。
さらに、ポリマー自体の性質によって分子量分布を試験で測定できない場合には、以下の情報などを組み合わせ、最終生成物の分子量を合理的に推定することができます。
反応機構
原料の仕込み比率
代表的な分子構造
重合工程
ただし、この場合には、計算または推定の具体的なプロセスもあわせて提出する必要があります。
したがって、数平均分子量(Mn)の数値だけでなく、根拠となるクロマトグラム、測定方法、元データまたは推定根拠も提出しなければなりません。
4.「除外要件に該当しない」ことは、客観的な資料で説明する必要がある
ポリマーが関連する除外要件に該当しないことを説明する場合、以下のような客観的資料のうち、1つまたは複数を根拠として使用する必要があります。
ポリマーの分子構造
用途および具体的な使用シナリオ
物理化学的性状またはその他の試験データ
研究報告書・公開文献
想定される使用条件下におけるポリマーの挙動に関する分析
単に、「当該物質はカチオン性ポリマーではありません」、または、「当該物質は分解性または不安定なポリマーではありません」といった結論のみを記載しても、通常、それだけでは十分な証明資料にはなりません。
REACH24Hでは、各除外要件について、「判断結果 → 判断根拠 → 裏付け資料」という形で、証拠のつながりを整理することを推奨します。
5.カチオン性ポリマーではFGEWなどの条件を重点的に確認する必要がある
カチオン性ポリマー、または自然水環境中でカチオン性ポリマーへ変化することが想定される物質は、原則として通常登録または簡易登録の対象となります。
ただし、以下のいずれかに該当する場合は、現在の「登録申請」ルートを利用できます。
固体であり、水に溶解・分散せず、固相の状態でのみ使用されるポリマー。この場合には、ポリマーの性状、水への溶解性、水中での分散性、実際の使用方法などに基づいて説明することができます。
カチオン密度が低いカチオン性ポリマー、すなわち、FGEWが5,000 Da以上であるポリマーです。ポリマーの代表構造に基づき FGEW を算出することができます。
FGEWとは、1つのカチオン性官能基を含むポリマーの分子量、または数平均分子量をポリマー分子構造中のカチオン性官能基数で除した値を指します。
企業は申請を行う前に、算出に用いた代表構造、分子量データ、官能基数に十分な根拠があるかを確認しなければなりません。登録申請書に計算結果のみを記載することは認められません。
6.分解性・安定性の評価は、実際のばく露シナリオと組み合わせて行う必要がある
ポリマーの分解性または安定性に関する説明資料では、ポリマーの分子構造、用途、使用シナリオ、使用方法などを踏まえ、関連要因によって生じる可能性のある環境ばく露について分析する必要があります。
ポリマーの性質に応じて、例えば、加水分解、酸化、光照射、温度、pH、生物的作用、機械的作用などの要因を検討する必要があります。必要に応じて、それぞれの条件下における分解性または安定性に関する試験データ、研究報告書、その他の技術資料を提出します。
重要なのは、単に「このポリマーは安定しています」と記載することではありません。想定される使用条件および環境ばく露条件において、どの要因がポリマーの安定性に影響する可能性があり、既存の証拠が最終的な判断をどのように裏付けているかを説明する必要があります。
新規化学物質登録申請前に企業が確認すべき事項
オンラインシステムへの入力を開始する前に、以下の事項を確認することを推奨します。
各国化学物質インベントリ調査サービスまたは公式情報を利用し、対象ポリマーが中国現有化学物質名録(IECSC)に収載されているかを確認します。
年間製造量・輸入量、モノマー・反応体、低懸念ポリマーの要件、除外要件などに基づき、適用される登録ルートを判断します。
現在のオンラインシステムにおける申請主体、資料の分担、第三者による資料提出方法を確認し ます。
中国語・英語名称、CAS番号、構造情報、モノマー・反応体一覧、仕込み比率の整合性を確認します。
GPC測定結果、その他の分子量分布に関する資料、または具体的な計算過程を含む合理的な推定資料を準備します。
除外要件、カチオン性、FGEW、分解性・安定性について、客観的な証拠のつながりを構築します。
研究開発、製造、調達、輸入事業者、上流サプライヤーと事前に調整し、営業秘密情報の伝達方法および保護方法を確認します。
申請上の用途、実際の使用シナリオ、環境ばく露分析の内容を一致させます。
REACH24Hからの注意点
従来の届出制度における即時受領書の発行、過去案件の補正手順、手続き期間などの実務ノウハウを、現在の登録申請案件にそのまま流用することはできません。
現在の登録申請では、申請を提出した後も受理・審査が行われ、必要に応じて補正や追加資料の提出を求められる可能性があります。
そのため企業は、技術資料の準備および補正対応に必要となる時間を、あらかじめプロジェクトスケジュールに組み込むことが重要です。
REACH24Hによるポリマー登録申請支援
REACH24Hでは、ポリマーの物質同定情報、年間製造量・輸入量、モノマー・反応体の構成、分子量情報、用途、サプライチェーン上の役割などを踏まえ、以下の支援を提供しています。
IECSC収載状況調査および登録義務の判断
ポリマーの登録ルート・適用条件の評価
モノマー、新規化学物質に該当する反応体および2%ルールの確認
低懸念ポリマーおよび除外要件の分析
GPCおよび分子量分布資料のレビュー
カチオン性ポリマーのFGEW計算および根拠資料の評価
分解性・安定性資料のデータギャップ分析
申請資料の作成、オンラインシステムへの提出および補正対応
申請主体、第三者による資料提出、営業秘密保護スキームの調整
詳しいサービス内容については、中国新規化学物質登録サービスをご参照ください。
公式参考資料
新規化学物質環境管理登録に関するよくある質問(シリーズ12)
