中国、「新規化学物質環境管理登記弁法」改正案 WTO/TBT 意見募集に関する解説

中国、「新規化学物質環境管理登記弁法」改正案 WTO/TBT 意見募集に関する解説

2026-07-27
2026年7月1日、中国は「新規化学物質環境管理登記弁法」の改正案を世界貿易機関(WTO)へ通報しました。

WTO通報番号「G/TBT/N/CHN/1351/Rev.1」に関する国際意見募集は、2026年8月30日まで受け付けられています。中国 REACH規制対応が必要な製造事業者、輸入業者、海外サプライヤー、多国籍企業および川下ユーザーは、登記ルート、申請者の要件・責任、データ提出基準、営業秘密保護、サプライチェーンの情報伝達等に対し、改正案がもたらす影響を把握する必要があります。

  • WTO/TBT通報日: 2026年7月1日

  • 国際意見募集期限: 2026年8月30日

  • 中国国内の意見募集期限: 2026年7月12日(終了済み)

改正案について、2 つの意見募集手続の相違点

中国生態環境部(MEE)が実施した国内意見募集と、WTO/TBT通報に基づく国際意見募集は、いずれも同一の改正案を対象としています。ただし、両者はそれぞれ独立した手続です。

中国生態環境部による国内意見募集は2026年7月12日に終了しましたが、WTO/TBTに基づく国際意見募集は引き続き行われています。なお、改正案の核心的な改正内容については、REACH24H が事前公開した「新規化学物質環境管理登記弁法」改正案の要点解説もご確認ください。

比較項目

中国生態環境部による国内意見募集

WTO/TBT国際意見募集

対象文書

「新規化学物質環境管理登記弁法(改正意見募集稿)」

同一の改正意見募集稿

主な目的

中国国内の関係当局、団体、企業および個人から意見を募集すること

国際的な透明性確保義務を履行し、貿易上の不必要な障害となる可能性がある要件を把握すること

主な参加者

中国国内の行政機関、団体、企業および一般市民

WTO加盟国政府、各国の照会所、および加盟国の制度を通じて参加する企業・業界団体

期限

2026年7月12日――終了済み

2026年8月30日――受付中

提出方法

中国生態環境部の意見募集通知に記載された書面及び電子メールでの提出先

各WTO加盟国のTBT照会所およびWTOのePingプラットフォーム

改正手続は現在どの段階にあるのか

「新規化学物質環境管理登記弁法」は、中国生態環境部が制定する部門規則です。

中国生態環境部の意見募集通知によると、今回の改正は、「中華人民共和国生態環境法典」の関連規定を実施し、新化学物質環境管理登記制度をさらに整備することを目的として進められています。

段階

主な作業

進捗状況

草案作成および予備的な意見聴取

現行制度、運用実績および中国国内外の関連制度を検討

予備調査および関係者との協議を完了

中国国内の公開意見募集

関係当局、地方政府、業界および一般市民から意見を募集

2026年6月11日に開始し、7月12日に終了

WTO/TBT通報

改正案を他のWTO加盟国に公開し、書面による意見提出期間を設定

2026年7月1日に通報。意見募集期限は8月30日

意見の検討および改正

中国国内外から提出された意見を検討し、必要に応じて改正案を修正

今後実施される見込み

適法性審査、審議および公布

正式な採択・公布前に、法的適合性および上位法との整合性を審査

未実施

現時点では、改正案の内容が変更される可能性があります。

WTO/TBT手続を通じて提出された意見は、中国側の検討対象となる可能性があります。ただし、意見を当局が検討するという事実だけでは、全ての意見が採択されたり、規制施行が延期・廃止されたりする保証はありません。

企業は、正式な規則が公布された後に、最終的な要求事項と施行スケジュールを確認する必要があります。

WTO/TBT国際意見募集が化学企業にとって重要な理由

WTOのTBT協定は、規制の透明性を高め、強制的技術規則、自主規格および適合性評価手続が、国際貿易に不必要な障害をもたらすことを防ぐための枠組みです。

今回の意見募集では、企業は、改正案に定めるデータ提出、試験実施、登記手続、情報開示、移行措置等の要件が実際の国際サプライチェーンに与える影響に関し、具体的な裏付け資料を提示可能です。

企業にとって、この手続は、改正案の要求事項と、国際標準、主要貿易相手国の規制制度、またはすでに確立されているグローバルなコンプライアンス実務との相違を確認する機会となります。

また、以下のような実務上の懸念事項を提示することもできます。

  • 重複試験

  • 海外で取得したデータの受入れ

  • 営業秘密情報の保護

  • 輸入事業者の責任

  • 経過措置期間

  • サプライチェーンにおける情報共有

正式な意見を提出しない企業にとっても、国際意見募集期間は、事前に規制影響評価を実施する重要な機会となります。

最終規則の公布を待つことなく、データの所有権、契約、試験戦略、申請主体の設定、川下への情報伝達などについて、必要となる変更の検討を始めることができます。

意見提出主体と有効意見の作成要件

WTO/TBTの枠組みでは、企業は通常、国内法令に対する意見をWTO事務局へ直接提出するのではなく、各国・地域のTBT照会所などを通じて調整します。

海外企業および業界団体は、まず自国・地域の照会所が定めている手続と、独自の社内提出期限を確認する必要があります。多国籍企業グループでは、本社、中国法人、輸入事業者および業界団体の間で調整が必要になる場合もあります。

関係者

確認すべき事項

推奨される対応経路

海外の製造事業者、

輸出事業者および業界団体

海外データの受入れ、試験方法、営業秘密情報の保護、輸入事業者の責任、経過措置期間

該当するWTO加盟国のTBT照会所を通じて提出するか、ePingで適切な窓口を確認

多国籍企業グループ

および外資系企業

データ権利、中国国内の申請主体、輸入量管理、製品・物質ポートフォリオ、契約および情報伝達

本社、各国の照会所、中国法人および業界団体の間で調整

中国国内の製造事業者、

輸入事業者および業界団体

登記基準数量、利用可能なデータ、試験費用、審査期間、川下への情報伝達、経過措置

中国のWTO/TBT照会所に確認し、制度運用上の問題については国内当局または業界団体の窓口を利用

川下ユーザーおよび

サプライチェーン関係者

物質の特定、登記情報へのアクセス、用途制限、リスク管理措置、契約および記録保存

主要サプライヤー、輸入事業者または業界団体を通じて根拠資料を集約

妥当な意見を作成するには、技術的根拠、貿易への影響を明記し、実行可能な改善案を記載する必要があります。

具体的には、以下の要素を盛り込むことが重要です。

  • 改正案の該当条項を特定します。

  • 実務上どのような影響が生じるかを説明します。

  • 根拠となるデータや事例を提示します。

  • 国際標準または確立された実務と比較します。

  • 可能な場合は、実行可能な代替案または具体的な条文案を提案します。

2026年8月30日までに企業が実施すべき対応事項

1.物質ポートフォリオを確認する

関係する物質について、法人単位、物質同一性、予定用途、年間数量およびサプライチェーン上の役割ごとにスクリーニングを実施します。

各物質について、以下を確認する必要があります。

2.登記および経過措置への影響を評価する

既存の登記・届出、保有データ、契約および社内システムを確認します。

企業は、以下の項目に変更が生じる可能性を評価する必要があります。

  • 登記区分

  • 申請主体の設定

  • 必要となる試験

  • コンプライアンスコスト

  • 経過措置期間中の対応業務量

ただし、正式な要求事項は改正案と異なる可能性があることにも留意する必要があります。

3.根拠に基づく規制意見を準備する

単に「規制導入によりコストが上昇する」と主張するだけでは説得力に欠けます。

より説得力のある意見とするためには、以下の要素を組み合わせる必要があります。

  • 改正案の具体的な条項

  • 特定の事業活動に及ぼす影響

  • 可能な範囲で定量化した時間または費用

  • 貿易との関連性

  • 技術的または規制上の根拠

  • 実行可能な代替案または修正文案

4.サプライチェーンおよび秘密保持体制を見直す

以下の責任関係を明確にする必要があります。

  • 規制対応用データを誰が所有しているか

  • 当該データを誰が使用できるか

  • 誰が登記責任を負うか

  • リスク管理情報および登記情報を誰が川下へ伝達するか

購買、受託製造、代理、販売および秘密保持に関する契約では、法令上伝達が必要な情報と、営業秘密情報として保護される情報とを明確に区分する必要があります。

なお、2026年8月30日を内部の意見原稿作成締切日として設定してはなりません。技術的なレビュー、経営層の承認、翻訳、該当する TBT 照会窓口との調整に十分な期間を確保してください。各国の TBT 照会窓口は、公示された締切日より前に内部受付締切を設けている場合があります。

REACH24H のサービス

REACH24Hは、海外の製造事業者、輸出事業者、輸入事業者および多国籍企業グループに対し、中国の新化学物質関連要求が事業に及ぼす影響の評価と、実行可能なコンプライアンス戦略の策定を支援しています。

企業の物質ポートフォリオ、サプライチェーンモデルおよび既存のデータ権利に応じて、以下のサービスを提供します。

規制影響評価

物質、用途、年間数量およびサプライチェーン上の役割を、改正案および現行の中国REACH制度と照合します。

登記および経過措置戦略

想定される登記ルート、制度移行に必要な作業量および申請主体の設定を評価します。

データおよび営業秘密情報のレビュー

利用可能なデータ、データの所有権、試験データの不足、海外データの利用可能性および秘密情報の漏えいリスクを評価します。

サプライチェーンコンプライアンス計画

契約、情報伝達に関する責任分担および登記後の管理措置を確認します。

REACH24Hは、対象となる可能性がある物質のスクリーニング、登記・経過措置上のリスク評価、データおよび秘密保持体制の確認、実行可能なコンプライアンス計画の策定を支援します。

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