「新規化学物質環境管理登記弁法」改正意見募集稿:登録証・届出の移行

「新規化学物質環境管理登記弁法」改正意見募集稿:登録証・届出の移行

2026-07-28
中国生態環境部は2026年6月、「新規化学物質環境管理登記弁法(改正意見募集稿)」(以下「改正案」)を公表しました。

今回の改正案は、現行の生態環境部令第12号(以下「第12号令」)を部分的に修正するものではありません。申請者の要件、登録区分、届出から登録への移行、登録証取得後の責任、中国現有化学物質名録(IECSC)への収載制度など、新規化学物質管理制度全体を見直す内容となっています。

第7号令または第12号令に基づく登録証、あるいは第12号令に基づく届出受領書を保有する企業が、まず押さえておくべき点は以下の3つです。

  • 既に取得した登録証は、原則として引き続き有効です。

  • 第12号令に基づく届出については、経過措置期間内に登録証へ移行する必要があります。

  • 登録証に記載された事項に変更がある場合は、新制度に基づいて手続きおよび申請主体の適格性を改めて評価する必要があります。

本稿では、中国生態環境部が公開した改正案、起草説明および現行制度の条文を基に、各種証書・届出の移行ルールを整理します。

なお、改正案は現時点ではあくまで意見募集稿です。改正弁法は2026年8月15日に施行され、同日付で第12号令を廃止することが予定されていますが、最終的な条文、施行日および関連ガイドラインについては、正式に公布される文書を確認する必要があります。

改正弁法は 2026 年 8 月 15 日に施行され、同日付で第 12 号令を廃止することが予定されています。ただし、最終条文、施行日、関連ガイドラインに関しては、正式公布文書にて確認する必要があります。

制度全体の変更:3つの手続きから2つの登録区分へ

現行の第12号令では、新規化学物質環境管理の手続きは、通常登録簡易登録および届出の3種類に分かれています。

一般的には、年間生産量又は輸入量が10トン以上の場合は通常登録、1トン以上10トン未満の場合は簡易登録、1トン未満の場合、又は所定の条件を満たすポリマーについては届出が適用されます。

一方、改正案では、制度が通常登録と簡易登録の二種類に整理統合されます。年間生産量または輸入量が 1 トン以上のものは通常登録の適用対象となり、1 トン未満のものは簡易登録が適用されます。従来の届出制度は廃止されます。

新規化学物質登録制度の変更比較表(現行第12号令 vs 改正案)

制度項目

現行第12号令

改正案

企業が留意すべき実質的な変更

登録区分

通常登録、簡易登録、届出

通常登録、簡易登録

届出制度は廃止され、既存の届出事項は登録への切替えが必要です。

トン数基準

通常登録:10トン以上

簡易登録:1~10トン

届出:通常1トン未満

通常登録:1トン以上

簡易登録:1トン未満

1~10トンの新規案件は、簡易登録から通常登録へ移行し、審査期間にも変更が生じます。

申請者

主として中国国内の生産者または輸入者。海外企業は中国国内代理人を指定可能。一部の特殊な場合には加工使用者が申請可能

中国国内で適法に登録され、独立して法的責任を負うことができる生産者または輸入者に限定

越境サプライチェーン、代理人の手配、および加工使用者による直接申請ルートの見直しが必要です。

届出案件の

業務開始時点

資料一式を提出すれば、届出内容に従って業務を開始可能

簡易登録であっても、生産・輸入前に登録証を取得する必要があります

従来の「提出後すぐ業務開始できる」という時間的メリットはなくなります。

改正案第10条では、申請者を、中国国内で法令に基づき登録され、独立して法的責任を負うことができ、新規化学物質の生産または輸入を行う企業・事業単位としています。

そのため、届出から登録への移行、登録証の変更、新規プロジェクトの申請を行う際には、従来の海外申請者および中国国内代理人の仕組みをそのまま新制度へ引き継げるとは限りません。企業は、手続きに着手する前に、中国国内の輸入者または中国法人が新制度上の申請者要件を満たすかを確認する必要があります。

経過措置:2つの時間軸が事業の継続性を左右する

改正案では、既存の登録証および届出について、主に2つの経過措置が示されています。

  • 第7号令または第12号令に基づき既に取得した登録証は、新制度の施行後も引き続き有効です。ただし、登録証に記載された事項に変更が生じた場合には、新制度の規定に従って、改めて登録証を申請・取得する必要があります。

  • 第12号令に基づいて既に届出を行った物質については、届出申請者が2026年12月31日までに、新制度に基づく登録証を取得しなければならないとされています。

したがって、「既存の登録証が引き続き有効である」という規定を、「既存の届出も自動的に登録証へ切り替わる」と理解することはできません。

登録証と届出には、それぞれ異なる移行ルールが適用されます。前者は原則として効力を維持しますが、後者には明確な期限付きの移行義務が設けられています。

改正案では、新制度の施行前に第12号令に基づいて正式に受理された登録申請については、新制度の施行後も引き続き第12号令に従って処理できるとされています。

申請準備中、補正対応中、または技術審査中の企業は、自社案件が正式な「受理」状態に入っているかを早急に確認する必要があります。

現行第12号令に基づく証書・届出:区分ごとの確認が必要

既存案件については、すべてを一律に扱うのではなく、届出、簡易登録証、通常登録証の区分ごとに移行方法を判断する必要があります。

既存の届出物質:期限内の移行が必要だが、移行先は数量とポリマー属性によって異なる

既存の証明書・状況

改正案における移行上の結論

重点的に確認すべき事項

一般物質の届出

(年間活動量1トン未満)

届出は廃止され、2026年12月31日までに簡易登録証を申請・取得する必要があります。

適格な中国国内の生産者または輸入者が申請主体となるか、実際の活動量が引き続き1トン未満か、物質識別情報、既存の届出情報および活動記録が新規申請を支えられるかを確認する必要があります。

特殊ポリマーの届出

(モノマー・反応体含有率 2% 以下の新規化学物質、

低懸念のポリマー)

届出は廃止されます。

1トン未満の場合は簡易登録、

1トン以上の場合は通常登録を申請します。

申請数量、ポリマー要件への適合性を示す証明資料、および改正案第11条のデータ免除要件に該当するかを確認する必要があります。

既存届出案件で

識別情報保護を申請する場合

登録申請時に、営業秘密保護の必要性に関する説明資料を提出する必要があります。

物質名、CAS番号またはその他の識別情報を開示した場合の影響を評価し、秘密保持の必要性を説明する資料を準備する必要があります。

ポリマー届出物質には重要な緩和措置:

改正案では、以下のいずれかに該当するポリマーについて、通常登録を申請する場合の資料要件を軽減する仕組みが示されています。

  • 低懸念ポリマーに該当する場合

  • 新規化学物質に該当するモノマーまたは反応体の含有率が2%以下である場合

これらのポリマーについては、試験報告書・資料、汚染リスク評価報告書および高有害性化学物質の社会経済効果分析資料の提出が免除される可能性があります。

ただし、これは「資料を一切用意する必要がない」という意味ではありません。企業は、対象ポリマーが低懸念ポリマーまたは2%ルールの要件を満たすことを示す証明資料を提出する必要があります。

現行の簡易登録証(1~10トン):証書は有効だが、今後は「簡易登録」として管理できない

現行の第12号令では、年間生産量または輸入量が1トン以上10トン未満の物質は、簡易登録の対象です。改正案では、既に取得した簡易登録証は、新制度の施行後も引き続き有効とされています。ただし、登録証に記載された事項が変更される場合には、新制度に基づいて登録証を再申請する必要があります。

企業は、これらの物質を以下の2つの観点から改めて確認する必要があります。

  • 改正案では、年間生産量または輸入量が1トン以上の物質は、すべて通常登録に分類されます。そのため、新規申請を行う場合、または既存登録証の記載事項に実質的な変更が生じる場合には、従来の簡易登録ではなく、通常登録として申請することになります。

  • 改正案では、中国全国における累計年間生産量・輸入量が10トン未満の通常登録物質について、汚染リスク評価報告書および高有害性化学物質の社会経済効果分析資料を免除できるとしています。一方、条文上は、物理化学的性状、健康毒性および生態毒性に関する試験報告書または資料について、同様の一律免除は規定されていません。具体的な資料一覧や試験要件については、正式規則および今後公表される関連ガイドラインを確認する必要があります。

改正案第37条では、通常登録物質は、最初の登録から5年が経過した後、中国生態環境部によって中国現有化学物質名録(IECSC)に収載されることを基本としています。

ただし、以下の4つのケースは収載対象から除外されます。

  • 中国全国の累計年間生産量・輸入量が10トン未満である場合

  • 新用途環境管理の対象である場合

  • 所定のポリマーデータ免除を適用した場合

  • 登録証が撤回又は取消となった場合

したがって、単一企業が保有する1~10トンの登録証が5年を経過したという理由だけで、その物質がIECSCに収載されると判断することはできません。

現行の通常登録証(10トン以上):引き続き有効だが、「5年後の名録収載」は企業が独自に判断できない

現行第12号令に基づいて取得した通常登録証についても、改正案では「引き続き有効であり、変更が生じた場合は新制度に従う」という基本ルールが適用されます。

新規で追加予定の高トン数プロジェクトについて、企業は改正案第 11 条に基づき試験資料、汚染リスク評価報告書および対応するリスク管理措置を準備しなければなりません。高有害性化学物質に該当する場合、さらに事業実施の必要性に関する社会経済効果分析資料を提出する必要があります。

IECSC収載は行政公告として継続的に確認

通常登録物質のIECSC収載については、企業の社内管理台帳上で自動的にステータスを変更するのではなく、中国生態環境部による行政手続きと公告を確認する必要があります。前述の4つの除外事由に該当しない場合であっても、最終的な収載は、国務院生態環境主管部門が組織し、正式に公告することによって成立します。

最初の登録から5年目に入っている、または間もなく5年を迎える物質については、以下を改めて確認することが推奨されます。

  • 最初の登録日

  • 実際の生産量および輸入量

  • 新用途環境管理の対象であるか

  • ポリマーデータ免除を適用しているか

  • 登録証が現在も有効であるか

第7号令に基づく歴史的な証書:有効性が維持されても、旧制度上の条件を無視できない

改正案第44条では、第7号令および第12号令に基づき取得した登録証を、いずれも「引き続き有効」とする対象に含めています。ただし、第7号令に基づく簡易申告や科学研究届出には、それぞれ異なる当時の適用条件があります。そのため、証書や受領書の種類ごとに、適用範囲を確認する必要があります。

第7号令下の区分

改正案における初期判断

企業への留意点


科学研究届出

(科学研究目的、

<0.1トン/年)

改正案では、「科学研究、検査、測定、モニタリング等の技術サービスに用いる化学物質は本弁法の適用対象外とする」という規定が新たに追加されています。そのため、従来の科学研究届出は、今後免除対象に移行する可能性があります。

この免除の具体的な適用範囲、台帳管理および証明資料の要件については、正式な法令またはガイドラインで明確化されるのを待つ必要があります。明確になる前に、既存の適法管理を独自に停止すべきではありません。


通常登録

(≥1トン/年)

既に取得した証書は引き続き有効です。

まだ IECSC に収載されていない物質については、引き続き当局による名録追加公告を確認する必要があります。過去の登録年限のみを根拠に、物質が既に名録へ収載されたと独自に判断してはなりません。

簡易登録の基本類型

(<1トン/年)

既に取得した証書は引き続き有効です。

証書記載事項に変更が生じた場合には、新制度に基づいて、簡易登録または通常登録のいずれが適用されるかを改めて判断する必要があります。

工程および

製品の研究開発

(<10トン/年、

2年以内)

既存の証書は引き続き有効ですが、従来の有効期間条件については引き続き確認が必要です。

この類型の証書の有効期間は、最初の活動開始日から2年間です。企業はまず証書が既に期限切れとなっていないかを確認したうえで、新制度との接続を検討する必要があります。

科学研究

(0.1~1トン/年)

既存の証書は引き続き有効です。用途が確かに科学研究に該当する場合、将来的には改正案における科学研究免除の適用を受けられる可能性があります。

用途、数量およびプロジェクトに関する証拠資料を保管し、正式な免除要件が明確化されるのを待つ必要があります。

中間体・輸出専用品

(<1トン/年)

既存の証書は引き続き有効です。

証書記載事項に変更が生じた場合には、新制度に基づいて、簡易登録または通常登録のいずれが適用されるかを改めて判断する必要があります。

新規化学物質モノマー

含有率≤2% ポリマー

・低懸念ポリマー

(トン数制限なし)

既存の証書は引き続き有効です。

変更または新規申請が生じる場合には、新しい数量基準に従って手続きを行います。ポリマー要件を満たす場合には、改正案第11条の資料免除を活用できる可能性があります。

この部分での実務上の課題は、「証書が自動的に失効するかどうか」だけではありません。

企業は、少なくとも以下の事項を整理する必要があります。

  • 旧証書の効力が及ぶ範囲

  • 最初の活動日

  • 証書に記載された用途

  • 証書に記載された数量

  • 新制度における変更手続きとの整合性

特に、工程研究開発や科学研究に関連する証書・届出については、プロジェクトの開始・終了、用途変更、試料の商業化、数量の増加などを重点確認項目に含める必要があります。

企業が今行うべきこと:実行可能な対応チェックリスト

優先度

対応策

目的

直ちに

着手

新規化学物質に関する証憑の総合台帳を作成し、物質名、証書/届出番号、過去の法令根拠、申請者、代理人、初回活動日、登録数量、用途、ポリマー属性、CBI 状態および名録収載状況を項目ごとに整理します。

2026年12月31日までに切替えが必要な第12号令の届出案件を特定するとともに、第7号令下の研究開発系証書の有効性リスクを把握します。

優先的に

完了

すべての第12号令届出案件について、「トン数―主体―ポリマー―CBI」の4つの観点から再点検を行い、簡易登録/通常登録への切替一覧を作成します。

切替ルートを明確にし、海外申請者+代理人の組合せでは新規申請が直接できないという問題に、早期に対応できるようにします。

並行して

推進

販売、委託加工、流通および調達に関する契約ひな形を見直し、登録証番号、登録用途、汚染リスク管理措置および環境管理要求に関する情報伝達条項を契約に盛り込みます。

改正案第31条の契約ベースの情報伝達要求を満たし、SDS のみに依存する状況を回避します。

制度整備

物質、ロット、用途および川下流通先ごとに追跡可能な活動記録管理体制を構築し、年次アップロード、初回活動報告および公開情報対応の責任部門を明確にします。

毎年5月31日までの活動記録アップロード、通常登録における初回活動報告、および情報公開義務への対応を支援します。

継続的に

フォロー

正式な弁法、登録ガイド、様式、および IECSC 追加公告を継続して確認します。また、技術資料、科学研究免除、CBI、およびポリマー証明など、まだ明確化されていない事項については、一定のコンプライアンス上の余裕を確保して対応します。

意見募集稿に示された制度の方向性を、最終的な実施細則と誤認することを防ぎます。

今回の改正案は、より明確な生産・輸入前の登録制度、厳格化された申請主体の要件、追跡可能なサプライチェーン情報伝達、および統一的な登録後記録管理を通じて、中国の新規化学物質管理における責任の連鎖を再構築するものです。

企業にとって最も確実な対応は、正式規則の公布後まで待つことではありません。

現時点から、以下の準備を進めることが重要です。

  • 既存の登録証・届出の棚卸し

  • 中国国内申請主体の適格性確認

  • 届出から登録への移行計画の作成

  • データおよび試験資料の確認

  • 契約・サプライチェーン台帳の見直し

正式な規則が公布された後は、最終条文および関連ガイドラインに基づき、実施内容を速やかに調整する必要があります。

免責事項:
本文は公開法令に基づく汎用的な解説に過ぎず、個別の化学物質、用途、プロジェクトに対する法的助言ではございません。実際の登録手続き、資料要件及び免除ルールの適用に関しては、正式公布の法令、ガイドライン、主管当局の指針に従って判断してください。

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