背景概要
中国や欧州連合では、化粧品と医薬品の定義が明確に区別されています。一方、米国では、化粧品と医薬品が重なり合うことがあります。つまり、同じ製品が化粧品である同時に、一般用医薬品(over-the-counter, OTC)でもあります。
米国における化粧品の定義
連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C法)によると、化粧品とは「人の体に塗る、馴染ませる、スプレーする等により、体をきれいに清潔し、美しくし、魅力を高め、または外見を変えるためのもの(石鹸以外)」と定義されます。
米国の化粧品は、メイクアップ(フェイス/アイ、成人/子供向け)やヘアカラー・パーマ製品、口腔ケア製品、制汗剤、ベビーケア製品、パーソナルクレンジング製品、タンニング製品など17のカテゴリーに分類されます。
米国における医薬品の定義
医薬品とは、食品以外のもので、病気を診断・治療・緩和・予防すること、または人や動物の身体構造や機能に影響を与えることを目的とする製品を指します。
米国におけるOTC製品の定義
OTC製品は医薬品の一種であり、米国食品医薬品局(FDA)の監督・管理を受けています。OTC製品は、FDAが定める製品の品質・有効性・安全性の基準を満たさなければなりません。米国では、OTC製品にはさまざまな種類があり、一般的な解熱鎮痛剤や風邪薬、制汗剤などもOTC製品に分類されます。
米国のOTC化粧品
現在、米国では一部のリスクが少々高く、特定の効能や成分を含む化粧品をOTC製品として管理しています。
例えば、フケシャンプーは洗髪機能においては化粧品に該当しますが、フケ防止の効果を持つためOTC医薬品にも該当します。そのため、フケ防止シャンプーは米国で化粧品とOTC製品の両方に分類されます。そのような製品には、フッ化物を含む歯磨き粉や制汗効果のあるデオドラント、日焼け止め製品などもあります。
米国のOTC製品に対する規制要件
OTCモノグラフの合致
OTCモノグラフに記載されている活性成分は、「一般的に安全かつ有効である(Generally Recognized as Safe and Effective, GRASE)」と認定されています。つまり、ある活性成分がFDAのOTCモノグラフに記載されている場合、また関連要件を満たすことを前提に、FDAがその製品の安全性と有効性を確認しているということです。
モノグラフには、活性成分の使用基準や制限、ラベル、その他の一般要件が記載されています。製品がモノグラフの要件を満たしている場合、FDA承認を受けなくて、上市前に製品リストを簡単に行ってすみます。
OTCモノグラフに記載された活性成分を含む製品は、上市前にFDA承認を受けませんが、その他の適合要件を満たす必要があります。
OTC関連の工場は、工場登録を行う必要があり、またFDAの関連GMPを遵守しなければなりません。
市場で販売されるOTC製品は、全米医薬品コード (NDC) (医薬品及びパッケージをを識別するために使用される11桁のコード)を取得する必要があります。
OTC製品は、市場販売開始後5日以内に製品リスト登録を完了します。
OTC製品に関するラベル要件を遵守する必要があります。
注意すべきなのは、米国「2022 年化粧品規制現代化法(MoCRA)」の施行後、化粧品も工場登録および製品リスト登録を行う必要になりました。。ただし、その工場登録および製品リスト登録は、OTCのとは異なるプラットフォームで行われます。製品が化粧品とOTCの両方に該当する場合、化粧品プラットフォームでの製品リスト登録は不要となります。
新薬承認申請
OTCモノグラフに合致しない場合、製品の適合ルートは新薬承認申請(New Drug Application, NDA)となります。この申請プロセスでは、完全な医薬品申請資料を提出する必要があります。しかし、一般的に化粧品企業がこの方法を選択することは比較的稀なケースになります。
米国OTCモノグラフの登録プロセス
DUNS(ダンズナンバー)の申請
工場登録
NDCラベラーコードの取得(NDC labeler code)
全米医薬品コードの再提出(National Drug Code, NDC)
製品リスト
ラベル適合の確報
当社のサービス
REACH24H JAPAN株式会社は、専門知識と豊富な経験を活かし、米国OTCおよび化粧品登録・コンプライアンスに対応できるようワンストップサービスを提供します。
ダンズナンバーの申請(DUNS Number)
化粧品の工場登録および製品リスト提出
OTC化粧品の製品配合・ラベル審査
米国FDA OTC製品(化粧品)の登録製品の年次更新
米国FDA OTC登録・申告に関するよくある質問
製品がOTC規制の対象かどうかはどうやって判断するか?
製品の宣伝:製品ラベルや広告、ウェブサイト、その他の宣伝資料は非常に重要です。化粧品が医薬品としての効能にかかわる場合、その製品はOTC医薬品として監督・管理される可能性があります。
製品の成分:製品に含まれる成分の中には、医薬品として認識されているものがあり、その成分が業界で一般的に治療目的で使用されている場合です。例えば、歯磨き粉にあるフッ化物が挙げられます。
OTCのモノグラフ:米国のモノグラフ(OTC Monograph)は、特定の薬効を有する活性成分の基準とみなすことができます。モノグラフに記載されている成分は、効能が製品のと一致していれば、その製品はOTC製品として規制される可能性が高いです。
米国OTC製品(化粧品)における宣伝の要件は何ですか?
製品の想定される使用用途は、製品カテゴリーを分類する基準となります。FDAは主に製品の訴求内容、消費者の認識、成分に基づいて製品の想定用途を確認し、その製品のカテゴリーを判断します。
化粧品の医薬品効能にかかわる広告表現には、にきび・ざ瘡の治療、フケ防止、消炎、湿疹の治療、抗菌、虫歯予防、制汗、しわ・シミの除去、ひび割れ治療、日焼け防止などが挙げられます。
米国OTC製品(化粧品)におけるラベルの要件は何ですか?
OTC製品には特別なラベル要件があります。例えば、活性成分と非活性成分の別途記載し、活性成分に関する具体的な含有量と使用目的の記載などが必要です。OTCモノグラフに記載されている活性成分や製品タイプについて、モノグラフには具体的なラベル要件も定められています。