グローバルな化学品貿易におけるコンプライアンス体系の中で、韓国化学物質の登録・評価に関する法律(略称 K-REACH、正式名称:The Act on Registration and Evaluation, etc. of Chemicals)は、企業が韓国市場へ参入する際にコンプライアンス制度の核心的な法規です。
2025年にかけて段階的に施行される一連の改正により、韓国K-REACH の規制枠組みは一層細分化され、K-CCA(化学物質管理法)および K-OSHA(産業安全保健法)などの関連法規との連動が強化されました。これにより、国境を越えた化学品取引において、コンプライアンス対応の完全性および適時性に対する要求が一段と高まっています。
REACH24Hは、2025年の最新政策動向を踏まえ、韓国K-REACHに関する基本的な管理要件を、この記事では整理させていただきます。
韓国K-REACHの最新概要
韓国K-REACHとは、韓国化学物質の登録・評価に関する法律(The Act on Registration and Evaluation, etc. of Chemicals)の略称です。本法は2015年1月1日より正式施行されました。その後、K-REACH 改正案が2018年2月28日に韓国国会で可決され、2019年1月1日より改正法が施行されています。
化学物質管理に対する新たな要求に対応するため、韓国化学物質の登録・評価に関する法律(K-REACH)は、2025年に一連の重要な制度改正を迎えました。これらの改正は、新規化学物質の申告基準や有害性の分類体系といった基本制度にとどまらず、K-CCA(化学物質管理法) や K-OSHA(産業安全保健法)に基づくコンプライアンス要件にも影響を及ぼしています。
韓国K-REACHによれば、年間トン数が0.1トン以上の新規化学物質及び年間トン数が1トン以上の既存化学物質は、韓国市場に入る前に登録が必要とされます。
韓国K-REACHの規制対象と対応義務者
規制対象
韓国K-REACHでは、化学物質、化学物質から成る混合物および製品が規制の対象とされています。
対応義務者
韓国内における化学物質の製造業者と輸入業者
韓国へ化学物質を輸出する海外の製造業者(代理人選任・OR制度に従う必要がある)
重点管理物質を含有する製品の製造業者
韓国K-REACHの申告と登録要件
韓国K-REACHの申告
韓国K-REACH において、「申告」は「登録」と異なるコンプライアンス義務です。申告は、主に低い年間トン数の新規化学物質や特定の新規ポリマーに対して適用されます。しかし、企業が定められた手続きによる申告を行わない場合、または提出された分類データが不完全・不正確である場合、当該物質は韓国環境部により 「有害性未確認物質」として扱われる可能性があります。
年間製造・輸入量1トン未満の新規化学物質については、登録手続きを履行する必要はありませんが、韓国市場へ投入する前に申告を完了して当局の審査を通過することが義務付けられています。
韓国K-REACHの登録
1. 新規化学物質
新規化学物質とは、韓国環境部が公示する「既存化学物質リスト」(最新版:2025年8月更新)に収載されていない化学物質を指します。それに、韓国市場において初めて流通する物質や、環境部による有害性分類が未確認の物質も、新規化学物質に含まれます。
トン数区分:年間製造・輸入量1トン以上(2025年の改正案により、トン数の閾値は従来の 0.1 t/aから 1 t/a に引き上げられました。年間製造量・輸入量が 1トン未満の新規化学物質については、登録ではなく「新規物質申告」の義務を履行する必要があります。)
コンプライアンス上のリスク:新規化学物質には登録猶予期間が一切ありません。そのため、初回の製造・輸入の前に、所定の正式登録手続きをすべて完了しておく必要があります。登録を行わずに当該物質を流通させた場合は、「未登録行為」として取り扱われ、最高1億ウォンの罰金および 5年以下の懲役刑が科される可能性があります。
2. 既存化学物質の登録
既存化学物質とは、韓国の「既存化学物質リスト」に収載されており、かつ韓国内において明確な流通履歴が確認されている物質を指します。これには、既存化学物質の水和物や、各構成成分がすべて既存化学物質である多成分物質などが含まれます。
トン数区分:年間製造量または輸入量が 1トン以上の既存化学物質については、有害性および流通量に応じて段階を分けて登録が行われます。
登録タイプ:韓国K-REACHにより、EU REACHの管理規則に基づき、既存物質は予備申告、後予備申告と正式登録の3つに分けられています。
予備申告:取扱量が1t/a以上の既存化学物質(取扱量は2016-2018年の1年間の最大量によって計算)は、登録猶予期間を取得するように、2019年6月30日までに予備申告を行わなければなりません。
後予備申告:2019年7月1日より、関連物質は後予備申告で登録猶予期間を取得することが可能となります (後予備申告は輸出量が1トン以上になる前に完了させる必要がある)
正式登録:相応猶予期間内に正式登録を完了します。
3. 特定化学物質の登録
特定化学物質とは、「低トン数であるがリスクが高い物質」、または「流通量が多いであるが明確に管理されてこなかった物質」を指します。それに、韓国内における新規化学物質の年間生産量・輸入量の総量が1トン以上となる場合、または既存化学物質の年間生産量・輸入量の総量が 10 トン以上となる場合も該当します。
特定化学物質については、韓国環境部が公式告示により公表する「特定物質登録リスト」を基準として管理が行われます。こうした物質は、医薬品中間体、電気化学製品、食品接触材料用化学品などの分野に及び、「個別企業では年間トン数が1トン未満であるが、産業全体としての流通量が多く、潜在的リスクが高い」という特徴があります。そのため、リスト方式による管理を通じて、規制の強化が図られています。
韓国K-REACH登録の免除ケース
以下のケースに該当する場合、正式な「登録免除申請書」および証拠資料を提出し、韓国環境部の審査を受けた場合に限り、K-REACHの登録義務は免除されます。
輸入後、輸出のみに用いられる物質
科学研究、化学分析に用いる場合(試薬など)
表面処理物質
非分離中間体または輸送条件が厳しくコントロール可能な輸送用分離中間体
PLC (低懸念ポリマー)
R&Dの用途
化学物質またはその製品の開発
工程の改良または進歩
化学品応用に関するテスト
製品の試作または試製
韓国K-REACH登録の猶予期間
猶予期間とは、韓国K-REACH において既存化学物質を対象として設けられた「コンプライアンス上の移行期間」を指します。その目的は、企業に対して、試験の実施、データの整備および登録・申告手続きを完了するための十分な準備期間を与えることにあります。
また、猶予期間の期限は、物質種類のごとに異なります。2025年の改正案において猶予期間の終了時点自体は変更されていませんが、猶予期間におけるコンプライアンス規制の要件は強化されています。
1. 新規化学物質
猶予期間は一切設けられていません。
初回の製造・輸入の前に、正式登録(年間製造量・輸入量≥1トンの場合)、または申告(1トン未満の場合)を完了する必要があります。登録・申告を完了しないまま製造・輸入を行った場合には、直ちに「未登録」または「未申告」として、法令に基づく最重の罰則が科され、当該貨物は差押えあるいは廃棄の対象となります。
2. 510物質(PEC)
猶予期間は 2018年6月30日をもって終了しています。
現時点で当該物質を製造・輸入する場合、製造・輸入前に登録を完了することが必要となります。
3. 既存化学物質(510 物質は含まない)
猶予期間は年間製造量・輸入量および有害性区分に基づいて設定されています。企業は、自社が取り扱う物質のトン数およびリスク区分を確認した上で、適用される登録期限を明確に把握し、期限超過を回避する必要があります。猶予期間内に正式登録が完了していない場合、当該物質の韓国内における製造および輸入は認められません。猶予期間は以下のとおりです:

年間製造量・輸入量が 1,000トン以上の物質および CMR 物質(CMR 物質リストは既に公表済み)は第1段階に該当し、2021年12月31日までに登録を完了する必要があります。
年間製造量・輸入量が 100トン~ 1,000トンの物質は第2段階に該当し、2024年12月31日までに登録を完了する必要があります。
年間製造量・輸入量が10トン~100トンの物質は第3段階に該当し、2027年12月31日までに登録を完了する必要があります。
年間製造量・輸入量が1トン~10トンの物質は第4段階に該当し、2030年12月31日までに登録を完了する必要があります。
重点管理物質を含有する製品に関する通報(消費者用製品に限る)
韓国K-REACH では、重点管理物質を含有する製品について、製造・輸入の前に通報を完了することは、企業が韓国へ製品を輸出する際に履行すべき主要なコンプライアンス義務の一つです。
(一)重点管理物質の定義
ヒトまたは動物に対して、発がん性や変異原性、生殖機能への異常、内分泌かく乱を引き起こすおそれがある物質。またはそのようなリスクを有する物質
ヒトの体内または動植物の体内において高い蓄積性を示し、かつ環境中で長期間残留する物質
ヒトが接触した場合に、肺、肝臓、腎臓等の臓器に損傷を与えるおそれがある物質
ヒトまたは動植物に対する有害性の程度が、第1から第3までの物質と同等またはそれを上回る物質
現時点で韓国環境省が公布された重点管理物質リストには、合計699つの物質があります。
(二)重点管理物質を含有する製品
下記の2つの条件を同時に該当しなければなりません。
製品に各重点管理物質の含有量が製品総重量の0.1%を超えた場合。
製品に含有する重点管理物質の総量が1tを超えた場合。
(三)重点管理物質の通報内容
通報人の情報
重点管理物質の名称
申告対象製品に含有される重点管理物質の含有量および当該重点管理物質の年間トン数
製品の写真および取扱説明書
製品の用途および人体における主な暴露経路
分類およびラベル
(四)サプライチェーンにおける情報伝達
韓国K-REACHは、サプライチェーン各段階における情報伝達義務を明確化することにより、化学品のライフサイクルにわたる安全管理体制を構築しています。その情報伝達要件は、物質の製造、輸入、流通から使用に至るまでの全過程に及びます。

川下は、物質の実際の用途に関する情報を提供し、川上を協力して K-REACHへのコンプライアンスを完了する必要があります。
化学物質および製品を韓国へ輸出する際には、いずれも韓国のGHSに適合した安全データシート(SDS)を提出する必要があります。
相応した安全ラベルの提供が必要です。
中国企業としてK-REACHへの対応策へ
対策一:ORに委託する、または韓国に支社を設立して対応する方法
ORへの依頼、または支社の設立をする場合、企業は法規対応のためにコストを多くかける必要があると意味しますが、それと同時に対韓貿易権を自主的に掌握し、さらに自由で積極的に韓国市場を開拓することができます。
対策二:韓国の輸入業者に委託して対応する方法
韓国の輸入業者に依頼して取り組んでもらう場合、企業にとって費用を節約することができますが、貿易主導権の喪失や商業秘密の漏えいなどのおそれがあります。
韓国K-REACHの規制管理措施
韓国のK-REACH 第50条、第51条、第52条、第54条(罰則)の規定は以下の通りです。
5年以下の懲役または1億ウォン以下の罰金
登録(申告)を行わない、または虚偽の登録(申告)を行った場合
登録変更を行わない、または虚偽の変更申告を行った場合
重点管理物質を含む製品の申告を行わない、または虚偽の申告を行った場合
3年以下の懲役または5,000万ウォン以下の罰
登録免除の申告を行わない、または虚偽の申告を行った場合
未登録物質を使用または販売した場合
1年以下の懲役または3,000万ウォン以下の罰金
川下の事業者へ情報を伝達しない、または虚偽の情報を伝達した場合
不正な手段でデータを取得し、登録に使用した場合
1,000万ウォン以下の罰金
免除に関する変更を行わない、または虚偽の変更を行った場合
個別登録の承認を得ずに共同登録を行った場合
変更された情報について通知しない、または虚偽の情報を伝達した場合
関連する登録書類・記録の保存義務を履行しなかった場合
弊社のサービス
ORへの委託サービスを提供
リード登録人(連合提出)
データ検索及びデータ品質評価
データ共有代理
化学品リスクアセスメントレポートの作成と提出
製品通報
(登録、通報)免除材料の作成と提出
年間コンサルティング
安全技術説明書(SDS)およびラベルの作成
新規物質申告および登録
データ不備分析
実験管理
コンプライアンス分析方案の作成
法規トレーニング
その他の関連法規および義務
韓国K-OSHA
韓国K-OSHAとは、「労働安全衛生法」の略称であり、主に新規物質を規制しいる法規です。
年間量0.1〜1トンの新規物質:輸入前にOSHA登録(新規物質の有害性・危険性調査)を完了し、急性毒性(経口または吸入)試験報告書や基本的な物理化学的性状情報を提出する必要があります。
年間量1トン以上の新規物質:輸入前にOSHA登録が必要であるが、1トン以上のK-REACH登録書類が自動的にOSHA登録をカバーするため、追加データは必要ありません。
対処時間:輸入前に登録を完了し、登録証明書を取得します
応対主体:韓国境内の生産業者と輸入業者
対処方法:韓国K-OSHAではORの概念はあります。輸入業者に重要な情報が明らかにされないようにするために、TPRに代わって第三者に登録を完了させることができます。また、各輸入業者は、それぞれ独立して登録を行う必要があります。
処罰:違反した場合は、懲役5年以下、1000万ウォン以下の罰金で科せられます。
公式プロセス:文書審核と証明書の発行のための45営業日
韓国CCA
韓国CCAとは、「化学物質管理法案」の略称であり、その重要性は化学物質が人間の健康と環境にもたらすリスクをコントロールすることです。
韓国CCAには「化学物質証明書」という項目があります。化学物質証明は、製造・輸入の前に、製造業者・輸入業者が生産・輸入する物質に対して自己検査を行い、その物質にはCCAが規制する物質が含まれるかどうかを確認することです。また、その検査結果は確認書Letter of confirmation(LOC)に記入し、韓国KCMA(韓国化学物質管理協会)に提出必要があります。
応対主体:韓国境内の生産業者と輸入業者(しかし、実際のサプライチェーンとコンプライアンス対応では、韓国の輸入業者の中には非韓供給業者にLOCの作成を要求するものもあります。そして、非韓供給業者は確認済みのLOCに署名し、物質確認書の添付書類として輸入業者に転送し、共に官庁に提出します。)
具体的な要求:
各化学製品(物質または混合物)の個別確認書が必要
材料または混合成分の変更を再提出することが必要
異なる輸出国からの同じ化学製品は個別確認書を提出することが必要
韓国K-BPR
韓国では2018年に「生活化学製品及び殺生物剤の安全管理に関する法律」(「化学製品安全法」/韓国K-BPR法規と略称)が公布されて以来、生活化学製品の安全確認、殺生物剤の予備登録、リスク評価などを含む予防的管理法規システムが構築されました。
韓国K-BPR法規の主な目的は、生活化学製品の安全管理、および殺生物剤の有効成分、製品、処理された製品のコンプライアンス等を通じて、人類の健康と環境の安全を保護し、公共の安全の発展に貢献することです。
韓国K-REACHコンプライアンスに関するよくある質問(FAQ)
Q1:2025年の K-REACH 改正における主な変更点は何ですか。
A1:主な変更点は、申告の閾値が見直されたことです。従来、0.1 t/a であった新規物質の申告閾値が1t/a に引き上げられ、「申告(1t/a未満の場合)」と「登録(1t/a以上の場合)」の区分が明確化されました。
また、従来から指定されていた有毒物質の区分が細分化され、K-CCAおよび K-OSHAとの連動規制が強化されました。これにより、物質の毒性学的特性に基づいた規制措置および要求事項がより明確に定められています。
さらに、従来に実施されたコンプライアンス対応の承継の合法性が認められ、OR 変更に関する制度運用が明示されました。
Q2:海外事業者が化学品を韓国へ輸出する場合、必ず ORを委任する必要がありますか。
A2:はい、必要です。韓国K-REACH の規定により、海外の製造業者は韓国環境部に対して登録または申告資料を直接提出することができません。そのため、韓国内にORを委任してコンプライアンス義務を履行する必要があります。同時に、OR は海外事業者を代表して韓国の規制当局と連絡し、相応する法的責任を負わなければなりません。
なお、企業が韓国に支店を設立した場合には、当該支店が直接コンプライアンス主体として対応することが可能です。
Q3:登録免除に該当する物質についても、他のコンプライアンス書類を提出する必要がありますか。
A3:はい、必要です。登録免除の条件に該当する場合であっても、企業は韓国環境部に対して「登録免除申請書」および関連する証拠資料(試薬用途、研究用途に関する証明、輸出専用であることの証明、PLC/低懸念ポリマーなど)を提出する必要があります。これらの資料について当局の審査を経て承認された場合に限り、登録または申告の免除が認められます。
Q4:新規物質には猶予期間がないとのことですが、登録に要する期間はどの程度ですか。
A4:新規物質の登録期間は、当該物質のトン数区分および既存の国際データの整備状況に応じて判断されます。一般的には、用途情報の収集および登録ドシエの作成に約3か月を要します。さらに、ヒト毒性試験および生態毒性試験の実施が必要となる場合、試験期間が6~18か月程度延長される可能性があります。そのため、海外事業者については、初回輸出前に全ての登録手続きを完了できるよう、早期に計画を立てることが望ましいと考えられます。
Q5:予備登録を完了している既存化学物質について、猶予期間終了後も正式登録を完了していない場合、どうなりますか。
A5:猶予期間終了後に正式登録を完了していない既存化学物質は、韓国内での製造および輸入が禁止されます。このような状況下で当該物質の流通を継続した場合、「未登録物質」として取り扱われ、高額な罰金が科される可能性があるほか、関係責任者が刑事責任を問われる可能性があります。
