PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)に関する改正規則
2025年06月27日、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)およびその関連化合物に関する規制強化を目的として、難分解性有機化合物規則(POPs規則)(EU)2019/1021を改正する委任規則(EU)2025/718が欧州官報にて公布されました。
注目すべき内容
■ 本規則の背景には、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)はEUにおいて最初に規制対象となったパーフルオロアルキル化合物(PFAS)であり、その後に追加されたPFOA(ペルフルオロオクタン酸)と比較して、規制水準が技術的進展に見合っていないという認識がありました。
■ 近年、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)およびその関連物質については、より厳しい非意図的微量汚染物質(UTC)の濃度限度が設定されているため、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)についても同様の水準が技術的に可能であると考えられています。
■ EUはPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)に関する規制の全面的な見直しを決定し、以下のような点で変更が加えられました。
- PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)の定義を拡張・明確化し、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)やその関連化合物を対象に含めたうえで、構造式や該当化合物の範囲(X=OH、金属イオン型塩、ハロゲン化物、アミド、ポリマーなど)も明記
- 不純物(UTC)としての含有が認められる最大濃度を、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)に合わせて大幅に引き下げ
- 加盟国での代替実績を根拠に、非装飾用途の硬質クロム(VI)めっきにおけるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)の例外的な使用が廃止
- FOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)における「分析手法の可用性に関する記述」が削除され、他のPOPs物質との整合性が確保
■ これらの変更により、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)に関する規制はPFOA(ペルフルオロオクタン酸)と同等水準に引き上げられ、パーフルオロアルキル化合物(PFAS)全体に対する規制の整合性と厳格性が向上しています。
■ 具体的には、難分解性有機化合物規則(POPs規則)(EU)2019/1021の附属書IパートAで下記の通り改正されています。
改正欄 | 改正内容 |
第1欄(物質名と化学式の変更) | 「ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、その塩およびPFOS関連化合物」化学構造の説明(C8F17SO2X, X=OH、金属イオン型塩、ハロゲン化物、アミド、ポリマー等)も追加 |
第4欄第1項(PFOSおよびその塩の許容濃度) | 許容濃度が0.025 mg/kg(0.0000025 %)以下に引き下げ |
第4欄第2項(PFOS関連化合物の合算濃度) | 合算濃度が1mg/kg(0.0001 %)以下に設定 |
第4欄第4項および第5項の削除 | 第4項:PFOSの例外的な使用(非装飾用の六価クロム(VI)電解めっき)を削除 第5項:分析手法の記述を削除(他物質との一貫性を確保するため) |
難分解性有機化合物規則(POPs規則)(EU)2019/1021第4条第1項(b)とは?
■ 本規第4条第1項(b)は、難分解性有機汚染物質(POPs)が非意図的な微量汚染物質として含まれている場合に、その濃度が特定のしきい値以下であれば、一定の例外が適用されることを規定している条文です。
■ 同条項においては、
- 難分解性有機汚染物質(POPs)を意図的に使用していないこと
- その濃度が設定された閾値を超えていないこと
が確認される限り、当該物質を含む製品等の製造・輸入・使用は全面禁止の対象となりません。
参考情報
難分解性有機化合物規則(POPs規則)(EU)2019/1021
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