EU|POPs規則改正ーPFOS及びその誘導体
2025-09-16

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)に関する改正規則

2025年06月27日、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)およびその関連化合物に関する規制強化を目的として、難分解性有機化合物規則(POPs規則)(EU)2019/1021を改正する委任規則(EU)2025/718が欧州官報にて公布されました。

注目すべき内容

■ 本規則の背景には、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)はEUにおいて最初に規制対象となったパーフルオロアルキル化合物(PFAS)であり、その後に追加されたPFOA(ペルフルオロオクタン酸)と比較して、規制水準が技術的進展に見合っていないという認識がありました。

■ 近年、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)およびその関連物質については、より厳しい非意図的微量汚染物質(UTC)の濃度限度が設定されているため、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)についても同様の水準が技術的に可能であると考えられています。

■ EUはPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)に関する規制の全面的な見直しを決定し、以下のような点で変更が加えられました。

 - PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)の定義を拡張・明確化し、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)やその関連化合物を対象に含めたうえで、構造式や該当化合物の範囲(X=OH、金属イオン型塩、ハロゲン化物、アミド、ポリマーなど)も明記

 - 不純物(UTC)としての含有が認められる最大濃度を、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)に合わせて大幅に引き下げ

 - 加盟国での代替実績を根拠に、非装飾用途の硬質クロム(VI)めっきにおけるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)の例外的な使用が廃止

 - FOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)における「分析手法の可用性に関する記述」が削除され、他のPOPs物質との整合性が確保

■ これらの変更により、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)に関する規制はPFOA(ペルフルオロオクタン酸)と同等水準に引き上げられ、パーフルオロアルキル化合物(PFAS)全体に対する規制の整合性と厳格性が向上しています。

■ 具体的には、難分解性有機化合物規則(POPs規則)(EU)2019/1021の附属書IパートAで下記の通り改正されています。

改正欄改正内容
第1欄(物質名と化学式の変更)

「ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、その塩およびPFOS関連化合物」化学構造の説明(C8F17SO2X, X=OH、金属イオン型塩、ハロゲン化物、アミド、ポリマー等)も追加

第4欄第1項(PFOSおよびその塩の許容濃度)許容濃度が0.025 mg/kg(0.0000025 %)以下に引き下げ
第4欄第2項(PFOS関連化合物の合算濃度)合算濃度が1mg/kg(0.0001 %)以下に設定
第4欄第4項および第5項の削除

第4項:PFOSの例外的な使用(非装飾用の六価クロム(VI)電解めっき)を削除

第5項:分析手法の記述を削除(他物質との一貫性を確保するため)

難分解性有機化合物規則(POPs規則)(EU)2019/1021第4条第1項(b)とは?

■ 本規第4条第1項(b)は、難分解性有機汚染物質(POPs)が非意図的な微量汚染物質として含まれている場合に、その濃度が特定のしきい値以下であれば、一定の例外が適用されることを規定している条文です。

■ 同条項においては、

 - 難分解性有機汚染物質(POPs)を意図的に使用していないこと

 - その濃度が設定された閾値を超えていないこと

が確認される限り、当該物質を含む製品等の製造・輸入・使用は全面禁止の対象となりません。

参考情報

委任規則(EU)2025/718

難分解性有機化合物規則(POPs規則)(EU)2019/1021


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転載元:株式会社先読 (URL: https://www.sakiyomi.co.jp/)

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