欧州化学機関(ECHA)は、ヘルシンキ時間2025年6月、REACH規則に基づく高懸念物質(SVHC)候補リストに新たに3つの有害化学物質を正式に追加したと公表しました。今回の更新により、SVHCリストの総エントリー数は250項に達しました。
新規追加されたSVHC物質は以下の通りです:
1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-[(トリメチルシリル)オキシ]トリスロキサンおよびデカメチルテトラシロキサンは、いずれも一般的な直鎖シロキサンであり、優れた潤滑性、低い界面活性、良好な拡散性および安定性で知られています。この二つともコンディショナー、エモリエント、溶剤またはキャリアとして、化粧品や個人用ケア製品(スキンクリーム、ヘアコンディショナー、制汗剤、メイクアップ化粧品等)に広く使用されています。その特有の構造は高残留性・高蓄積性(vPvB)の特性をもたらし、環境中で分解されにくく、生物体内に蓄積しやすいため、SVHCリストに指定されました。
一方、活性ブラウン51は、複雑な構造を持つアゾ系反応性染料で、優れた水溶性と付着性を有します。当該物質は主に繊維処理製品や繊維染色に使用されます。関連実験により、この物質は潜在的なヒトに対して生殖毒性を持つ可能性が示されたため、SVHCリストに指定されました。
注意すべきこと:EU向け製品に今回新たに追加されたSVHC物質が含まれている場合、当該製品の製造業者または輸入業者は、2025年12月25日までに(リスト追加から6ヶ月以内)、REACH規則で定められたSVHC関連の義務を履行する必要があります。
REACH規則に基づき、全ての製品においてSVHC含有量が0.1%以上の場合、川下ユーザーに情報説明する必要があります:
- 物質または調整品中にSVHC含有量が0.1%以上の場合:
REACH規則に準じて安全データシート(SDS) を川下ユーザーに提供する必要があります。
- 成形品の中にSVHC含有量が0.1%以上の場合:
川下ユーザーに対して安全な使用に関する情報(少なくとも該当するSVHCの名称を含む)を提供する必要があります。消費者から情報提供の要求があったの場合、供給者は45日以内に無償で関連情報を提供する必要があります。
成形品の中のSVHC含有量が0.1%を超え、かつEU域内への年間輸出量が1トン以上の場合、EU域内の製造業者、輸入業者または唯一代理人(OR) は、ECHAに対してSVHC含有成形品の届出(SVHC Notification) を提出しなければなりません。
なお、SVHC物質を0.1%以上を含むEU向け製品は、SCIPデータベースへ(SCIP Notification)の情報提供 を完了した後、市場に投入可能です。
同時に、EUエコラベル規則(ESPR)に基づき、SVHC物質を含む成形品はEUエコラベルを申請することができなくなります。