2024年6月25日に高懸念物質(SVHC)候補リストが正式に250物質に追加された後、6月27日、欧州化学機関(ECHA)はスウェーデンから提出された新たな提案を公表し、デカブロモジフェニルエタン(DBDPE)をSVHCリストに追加する案が示された。
当該物質は新規臭素系難燃剤として使用されており、非常に高い残留性および非常に高い生物蓄積性(vPvB)を有することで、SVHC(高懸念物質)リストへの追加が提案されたものです。現在、当該提案に対するパブリックコンサルテーション(意見募集)が開始されており、2025年8月11日までに終了する予定です。
当該物質の詳細情報は以下の通りです:
注意すべきこと:
DBDPE(デカブロモジフェニルエタン)は高効率な添加型臭素系難燃剤であり、デカブロモジフェニルエーテル(DecaBDE)の代替品として広く使用されています。プラスチック、ゴム、樹脂、塗料、繊維製品などに幅広く利用されており、今回のSVHC提案はグローバルなサプライチェーンに新たなコンプライアンス上の課題をもたらすものです。
REACH24Hは、関係企業に対し、以下の対策を推奨しています:
リスクの全体的な評価を実施し、サプライチェーンパートナーと緊密に繋がり、パブリックコンサルテーション期間中に積極的に意見を提出すること。
製品の市場性を評価し、生産能力の最適化または代替物質の研究開発を推進すること。
SVHCリストの動向をよく把握し、物質がSVHCとして正式に認定された場合には、REACH規則に基づくコンプライアンスの義務を履行すること。
注意すべきこと:EU向け製品に今回新たに追加されたSVHC物質が含まれている場合、当該製品の製造業者または輸入業者は、2025年12月25日までに(リスト追加から6ヶ月以内)、REACH規則で定められたSVHC関連の義務を履行する必要があります。
EU REACH規則に基づき、全ての製品においてSVHC含有量が0.1%以上の場合、川下ユーザーに情報説明する必要があります:
- 物質または調整品中にSVHC含有量が0.1%以上の場合:
REACH規則に準じて安全データシート(SDS) を川下ユーザーに提供する必要があります。
- 成形品の中にSVHC含有量が0.1%以上の場合:
川下ユーザーに対して安全な使用に関する情報(少なくとも該当するSVHCの名称を含む)を提供する必要があります。消費者から情報提供の要求があったの場合、供給者は45日以内に無償で関連情報を提供する必要があります。
成形品の中のSVHC含有量が0.1%を超え、かつEU域内への年間輸出量が1トン以上の場合、EU域内の製造業者、輸入業者または唯一代理人(OR) は、ECHAに対してSVHC含有成形品の届出(SVHC Notification) を提出しなければなりません。
なお、SVHC物質を0.1%以上を含むEU向け製品は、SCIPデータベースへ(SCIP Notification)の情報提供 を完了した後、市場に投入可能です。