2025年8月1日、中国国家市場監督管理総局(SAMR)は、強制国家標準「電器電子製品有害物質制限使用要求(GB 26572-2025)」を正式に承認・公布しました。当該標準は2027年8月1日から正式に施行され、従来の推奨国家標準「GB/T 26572-2011」に完全に取って代わります。これにより、中国のRoHS関連規制が強制標準の段階へ移行し、電気電子産業のグリーンで持続可能な発展を推進する上で重要な意味を持ちます。
「GB 26572-2025」は、「電器電子製品有害物質制限使用管理弁法(MIIT第32号令)」に基づく初めての強制付属国家標準です。技術内容においては、従来の推奨標準である「GB/T 26572-2011 電器電子製品における規制物質の規制量要求」と「SJ/T 11364-2014(電子電気製品有害物質制限使用標識要求)」の2つを統合・整備し、中国版RoHSの有害物質規制要件をEU版RoHSと完全に連携させました。
現在、この標準の全文はまだ公開されていません。
今回更新された主な内容
有害物質の種類が増加
規制対象の有害物質が、従来の6種類(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル、ポリ臭化ジフェニルエーテル)から10種類に増加しました。新たに4種類のフタル酸エステル類物質が追加されました(具体的な物質と許容限度は以下の表を参照)。
新たに追加された4種類の有害物質とその許容限度
製品の分類管理
電器電子製品の分類と有害物質の制限使用要求が追加されました。製品はカテゴリーI(基準達成リストに含まれる製品)とカテゴリーII(基準達成リストに含まれない製品)に分けられ、カテゴリーIの製品は許容限度と表示の要件を満たす必要があり、カテゴリーIIの製品は許容限度を満たすことが推奨されます。
試験方法と判定ルールの統合
有害物質の試験方法として、GB/T 39560シリーズ標準(IEC 62321シリーズ標準)の使用が統一されました。
金属上のめっきにおける六価クロムの判定ルールも調整されました。
表示と適合性評価の要求強化
「SJ/T 11364-2014」の表示要求が組み込まれ、QRコードや画面表示などのデジタル表示形式が導入され、企業のRoHS管理コストの削減が図られます。
有害物質の含有量に関する適合性宣言のための技術サポート文書には、より高い要求が求められます。文書には、製品の有害物質リスクが高い部品をカバーする試験報告書を含めることが求められ、適合性評価結果全体の信頼性を高めます。
移行期間の措置
当該標準の施行日(2027年8月1日)より前に生産または輸入された製品は、引き続き販売および使用が可能です。施行日から13ヶ月目以降は、生産または輸入されるすべての製品が新標準の要件を満たす必要があります。
REACH24Hからのアドバイス
1. サプライチェーンの徹底的な調査:既存の製品とサプライチェーンを直ちに徹底的に調査し、特にプラスチック、塗料、接着剤などのリスクの高い材料に含まれる新たに追加されたフタル酸エステル類をスクリーニングし、すべての原材料と部品が新標準の要件を満たしていることを確認してください。
2. 早期の技術アップグレード:新たに追加されたフタル酸エステル類に対し、企業は前もって代替材料や製造プロセスを探し、技術開発と製品アップグレードを行う必要があります。
3. 規制要件への早期対応:「基準達成管理リスト」の動向に注意を払い、製品のコンプライアンス戦略を適時に調整してください。また、抜き打ち検査に備え、技術サポート文書を(製造中止後3年間以上)保管しておいてください。
4. コンプライアンス準備の徹底:2027年8月1日の正式施行日までに、製品テスト、表示の更新、文書の整理などのコンプライアンス作業に十分な時間を確保し、製品が中国市場でスムーズに流通できるようにしてください。
今回の標準の更新と施行は、単なる法規制上の要件だけでなく、産業のグリーン化と質の高い発展に向けた必然的なトレンドです。企業はこれに積極的に対応し、有害物質管理を製品のライフサイクル全体に組み込むことで、法規制要件を適合し、市場競争力を向上させる必要があります。