2023年7月3日、ブラジル技術規格協会(ABNT)は、GHS分類、SDSおよびラベルに関する改訂版「ABNT NBR 14725:2023」を正式に発表しました。当規格は、国連GHS第7版を参考にして、2年間の移行期間を経て、2025年7月4日より強制的に施行されます。つまり、すべての企業は来月までにコンプライアンスの更新を完了する必要があります。
現行の規格と比較して、新しい規格には一連の重要な変更が含まれています。まず、法規の仕組みでは、ABNT NBR 14725-1:2009、ABNT NBR 14725-2:2019、ABNT NBR 14725-3:2017、ABNT NBR 14725-4:2014という4つの独立した規格が統合され、より完全かつ広範囲にわたる「ABNT NBR 14725:2023」となりました。危険有害性分類、ラベル、SDSに関する改訂の要点は以下の通りです。
危険有害性の分類
ブロックの変更
新規格では、一部の危険有害性クラスの分類ブロックが新たに追加・調整されました。
濃度限界の調整
新規格では、一部の分類に一般的な濃度限界が任意で追加されました(呼吸器感作性カテゴリー1、皮膚感作性カテゴリー1、発がん性カテゴリー2など)。
ラベルの変更
1、小容量容器(≤250ml)に対する代替ラベル方法
折りたたみラベル、吊り下げラベル、中間包装などの代替的な表示方法が認められます。
2、シグナルワードの統一
注意「tenção」と警告「Cuidado」は、注意「Atenção」に統一されます。
3、一部の危険有害性情報および注意喚起文の変更
新たな危険有害性情報:H206、H207など。
新たな注意喚起文:P212、P302+P335+P334など。
更新された危険有害性情報:H270、H314。
更新された注意喚起文:P103、P210など。
削除された注意喚起文:P221、P235+P410など。
4、ラベル上の成分情報の開示要件
混合物または合金については、急性毒性、皮膚腐食性、眼への重篤な損傷、生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性、感作性、特定標的臓器毒性、吸入危険性を引き起こす成分を表示する必要があります。
急性毒性、皮膚腐食性、眼への損傷、特定標的臓器毒性(一次暴露)カテゴリー3および吸入危険性については、最も深刻な影響を与える成分の表示に限定することも可能です。
安全データシート(SDS、ポルトガル語では「FDS」)
1、書類名称の変更
「FISPQ(Ficha de Informações de Segurança de Produtos Químicos)」が、「FDS(Ficha com Dados de Segurança)」に変更されます。
2、緊急連絡先の要件変更
SDSの第1項には、24時間対応可能な緊急連絡先を明記する必要があります。
化学製品に関する安全性、健康および環境に関する情報を提供するための供給者または第三者の連絡先は、緊急時に毎日24時間対応可能であることが求められます。
3、固体製品のSDS第9項に新たな必須項目
固体製品に対しては、「粒子の特性」に関する情報がSDS第9項において必須記載事項となります。
企業への影響
ブラジルの新規格が強制的に施行されることにより、企業は2025年7月4日までに、化学品の分類、SDSおよびラベルを全面的に更新し、ABNT NBR 14725:2023の要件に適合させる必要があります。これには、SDS名称の変更、24時間緊急連絡先の明記、分類の調整、ラベル要素の修正、固体製品SDSへの「粒子の特性」項目の追加などが含まれます。期日までのコンプライアンス対応は、製品がブラジル市場にスムーズに参入するための鍵となります。対応が遅れた場合、通関の遅延や罰金などのリスクが発生する可能性があります。
REACH24Hは、引き続きブラジルを含む各国のGHS動向を注視してまいります。ABNT NBR 14725:2023やその他の法規に関する詳細情報をご希望の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。