2つの改正規則
2024年09月27日、欧州官報にて、POPs条約(ストックホルム条約)を背景にEU域内で難分解性物質を規制するPOPs規則の改正規則が2件、公布されました。
■ ヘキサブロモシクロドデカン(HBCDD)に関する改正規則
■ メトキシクロールに関する改正規則
注目すべき内容
HBCDDに関する改正規則
■ 従来、HBCDDの不純物としての許容値水準は、100 mg/kg (重量比 0.01%)として記載されていました。
■ EU域内におけるHBCDDの製造、上市、使用は、ほぼ段階的に廃止されているが、HBCDDはリサイクルプラスチックおよびその製品に含まれおり、元々は難燃処理されていたリサイクル高分子材料の新たな用途が、子供用玩具、食品接触製品、ポリスチレン包装材などの製品に制限対象臭素系難燃剤の望ましくない含有をもたらしているという懸念が指摘されています。
■ HBCDDが様々な廃棄物処理過程に存在しており、リサイクル活動との関連性が考慮され、製品中の濃度は可能な限り低減する必要があるとされています。
■ 不純物としての許容値水準を75mg/kg (重量比0.0075%) に改正
■ ただし、建築または土木工事で使用するEPSおよびXPS断熱材の生産におけるリサイクルポリスチレンの使用については、不純物としての許容値水準を100 mg/kg (重量比 0.01%)に設定
■ 現在はEPSのリサイクルが限定的であり、今後数十年の間に、解体EPS断熱材のリサイクルが大幅に拡大することが予想されています。
メトキシクロールに関する改正規則
■ 附属書1に新規エントリーとして追加
物質 | CAS No. | EC No. | 中間用途又はその他の仕様に関する特定の免除 |
Methoxychlor “Methoxychlor” refers to any possible isomer of dimethoxydiphenyltrichloroethane or any combination thereof. | 72-43-5 | 200-779-9 | 本エントリーにおいて、第4条(1)(b)項は、物質、混合物又は成形品に含まれるMethoxychlorの濃度が 0.01 mg/kg(0,000001 % 重量%)以下の場合に適用される。 |
■ POPs条約に関連して、2023年05月01日から12日にかけて開催された第11回会議において、メトキシクロールを附属書Aに含めるために条約の附属書Aを改正することが決定されていました。今回の改正はその内容を反映したものとなっています。
参考情報
■ Commission Delegated Regulation (EU) 2024/2555
■ Commission Delegated Regulation (EU) 2024/2570
第4条第1項(b)とは?
免除規定の第1及び2段落で登場する「第4条第1項(b)」とは何でしたでしょうか?
これは、「非意図的な微量汚染物質として存在する物質」に対する適用除外を定める項目のことです。
まず、POPs規則では、第3条「製造、上市及び使用の管理、ならびに物質のリスト化」の条項で、基本となる規制内容が規定されています。それは、附属書Iの物質、それを含む混合物、成形品の製造、上市および使用を禁止することや、附属書IIのの物質、それを含む混合物、成形品の製造、上市および使用を制限することです。
ですが、この厳しい規制内容には、特定の免除規定が設けられており、それが第4条「管理措置からの免除」条項で規定されています。
そのメインとなる免除規定が第1項の(a)と(b)の2つがあり、(a)は、ラボスケール(試験所で使う規模)用途や標準物質としての用途について、そして(b)は、非意図的な微量汚染物質として存在する物質についてのものです。但し、この(b)の免除については、特に混合物や成形品中の物質について、どの濃度以下で「微量」なのかという点が焦点になりがちで、免除規定の中でれが特定される傾向にあります。
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