2026年8月15日より、中国生態環境部(MEE)は新規化学物質の届出受付を終了しました。従来届出告知の対象であった低トン数物質および所定条件を満たすポリマーについて、製造・輸入を行うには暫定登録申請ルートより資料を提出する必要があります。
REACH24Hが更新後のオンライン申請システムを確認したところ、新たに独立した「登録申請」の入口が追加され、「通常登録」「簡易登録」と並列して表示されていることが確認されました。
現行の申請フォームでは、中国国内の申請主体、1物質につき1申請という入力ルール、用途情報の必須入力、秘密情報保護に関する項目が明示されています。また、第三者による資料提出機能および主管当局による審査フローも引き続き設けられています。
実務上の重要ポイント: 従来、届出ルートでの対応を予定していた案件は、現在の申請フォームに合わせて内容を見直す必要があります。海外サプライヤーは申請前に、中国国内の申請主体、予定用途、秘密情報の提出手続きを必ず確認しておく必要があります。
企業が押さえるべき重要日程
中国生態環境部は2026年8月4日、環弁固体函〔2026〕301号を公表しました。同文書は7月31日で作成されており、「中華人民共和国生態環境法典」が施行された8月15日から、同時に適用されています。
影響を受ける新規化学物質の種類
本通知の対象となるのは、生態環境部令第12号「新化学物質環境管理登記弁法」(以下、第12号令)第10条第3項に定める届出要件を満たす物質です。具体的には、以下が含まれます。
年間製造・輸入量が1トン未満の新規化学物質
新規化学物質であるモノマーまたは反応体の含有率が2%以下のポリマー
所定の判定基準を満たす低懸念ポリマー
8月15日以前は、申請者が必要な届出資料一式を提出し、システム上の受領書を取得すれば、対象となる製造・輸入活動を開始することができました。
しかし、8月15日以降、上記カテゴリーには従来の届出制度が適用されなくなり、本通知に基づく暫定的な移行措置の下で申請・審査を受けることになります。
暫定ルートにおける必要資料
従来、届出の対象となっていた物質について、申請者は以下の資料を提出する必要があります。
新規化学物質環境管理登録申請書
当該物質が第12号令第10条第3項の該当要件を満たすことを示す裏付け資料
企業が保有している、当該物質の環境・健康有害性および環境リスクに関するその他の関連資料
正式な提出資料については、8月4日付通知の要求事項を基準とする必要があります。
また、更新後のシステムでは、実務上必要となる入力項目や添付資料に関する要求も追加されています。具体的には、予定用途情報や秘密情報保護に関する項目などです。
中国生態環境部は、簡易登録の審査手続および審査期間を参照して、これらの申請を審査します。申請を提出しただけでは審査・承認手続が完了したことにはなりません。企業は、補正や追加資料の提出を求められる可能性も想定して準備する必要があります。
現行の簡易登録制度では、技術審査に最長30日を要する場合があります。また、中国生態環境部は原則として20営業日以内に審査決定を行い、必要に応じて10営業日延長することができます。技術審査に要する期間は、審査決定の期間には算入されません。また、申請者が補正資料を準備・提出する期間は技術審査期間に算入されません。これらの法定期間はプロジェクト計画策定上の参考に過ぎず、実際の手続完了時期を保証するものではありません。
さらに企業は、暫定ルートに関連して公表されるシステム操作説明や実施ガイダンスにも従う必要があります。
オンライン申請システムの変更点
以下は、REACH24Hが2026年8月17日時点でオンライン申請システムを実際に確認した結果に基づき、現在のシステム仕様を整理したものです。実務上は、環弁固体函〔2026〕301号、第12号令、および今後公表される公式ガイダンスやシステム操作説明と併せて確認する必要があります。
1.独立した「登録申請」入口を新設
システムのトップ画面には、「通常登録」「簡易登録」「登録申請」の3つの申請入口が並列して表示されています。新たに設けられた「登録申請」は、通常登録または簡易登録のサブカテゴリーではなく、従来の届出要件に該当していた物質を受け付けるための独立した申請ルートとなっています。

2.申請主体は中国国内の企業に限定
「登録申請」フォームでは、申請者が中国国内において適法に登録された企業または事業体に限定されており、従来の代理人入力欄は削除されています。通常登録および簡易登録のフォームでも、申請主体に関する項目について同様の変更が確認されています。
そのため、海外の製造事業者や輸出事業者が直接申請者となることはできません。輸入物質については、該当する中国国内の輸入事業者を申請主体として設定する必要があります。海外企業は、申請前に各当事者の責任範囲や秘密情報の取扱方法について十分に協議しておくことが重要です。
3.1件の登録申請につき1物質のみ
旧届出フォームでは、1件の申請に複数の物質を入力することが可能でした。これに対し、新しい「登録申請」では、1物質につき1申請というルールが厳格に適用されています。複数の物質を取り扱う企業は、物質ごとに案件を分け、システムへの入力、裏付け資料の確認、社内承認などに必要な時間を十分に確保しておく必要があります。
4.予定用途情報の入力が必須に
新しいフォームでは、当該物質について予定している用途情報の入力が必須となっています。
入力項目には、用途分類、用途コード、具体的な予定用途、および当該用途における物質の機能などが含まれます。
申請前に、営業部門、研究開発部門、川下顧客などと実際の用途を確認し、オンライン申請フォーム、社内記録、サプライチェーン上で共有される情報の整合性を確保する必要があります。

5.物質識別情報の秘密保持には裏付け資料が必要
中国語・英語の化学物質名称、CAS番号、分子式、構造式などの識別情報について秘密保持を申請する場合、システム上で希望する保護期間、秘密保持を求める理由の概要を入力し、裏付け資料を添付する必要があります。第12号令第13条に基づき、営業秘密として保護する必要性を説明する資料も提出する必要があります。物質名称などの識別情報について認められる秘密保持期間は、最初の登録または届出の日から起算して最長5年間です。

6.第三者による資料提出機能は引き続き利用可能
申請主体は中国国内の企業に限定されていますが、システム上では引き続き、第三者による資料提出機能が利用できます。
物質識別情報、試験報告書その他機密性の高い技術情報を国内申請者に直接開示することが困難な場合、第三者より技術資料を提出可能です。当局のルールに基づき、国内申請者のその他申請資料と併せて審査が行われます。

7.申請後も審査が行われ、補正を求められる可能性があります
申請提出後は、形式審査および技術審査の進捗を継続的に確認し、補正や追加資料の提出を求める通知が発行されていないか注意する必要があります。
REACH24Hでは、担当者を決めてシステム上の通知を定期的に確認し、指定された期限内に回答することを推奨しています。対応が遅れた場合、受理または審査プロセス全体の遅延につながる可能性があります。
既に届出を完了している物質への対応
8月4日に公表された暫定通知では、既に届出受領書を取得している企業に対し、特定の日付までに登録証へ切り替えることは求めていません。
なお、6 月公表の改正ドラフトでは、既に届出を実施した申請者に対し、2026 年12月31日までに対応する登録証を取得するよう提案されていました。
ただし当該期限はドラフト上の記載に過ぎません。正式規則に盛り込まれない限り、届出告知受領書の失効期限とはならず、企業に対する法的強制義務も生じません。
正式な規制対応ルートと関連ガイダンス
通知では、中国生態環境部が新たな新規化学物質環境管理登録規則を正式に公布した時点で、本暫定通知は自動的に失効すると明記されています。
したがって企業は、8月4日付通知を移行期間中の実施根拠として位置付けるとともに、正式な「新化学物質環境管理登記弁法」、関連する技術ガイダンス、オンラインシステムの更新、および経過措置に関する実施説明を継続的に確認する必要があります。
6月に公表された改正案と現行の第12号令との詳細な比較については、REACH24Hの記事「12号令「新規化学物質環境管理登記弁法」改正案の要点解説」もご参照ください。
企業が今すぐ取り組むべきこと
中国で新規化学物質を製造、輸入、供給する企業は、以下の対応を優先して進める必要があります。
従来の届出案件の状況を整理する
締切前に申請を完了し、システム発行の受領書を取得しているか確認します。旧届出手続を完了していない案件については、「登録申請」ルートへ切り替える必要があります。中国国内の申請主体を確定する
輸入案件では、どの輸入事業者または中国国内の関連会社を申請者とするかを決定し、規制対応上の責任分担を書面で明確にします。複数物質の案件を分割する
物質ごとに個別の申請および関連資料を作成する必要があります。従来の届出制度で可能であった、複数物質を1件にまとめる申請方法は利用できません。用途情報を確認する
営業部門や川下関係者と連携し、用途分類、用途コード、具体的な用途、物質の機能について確認します。秘密情報の取扱方法を整理する
物質識別情報の秘密保持を申請する場合は、保護の必要性に関する説明および添付資料を準備し、必要に応じて第三者提出機能を利用するか検討します。システム上のステータスを継続的に確認する
システムからの通知を定期的に確認し、形式審査または技術審査において補正を求められた場合は、速やかに対応します。
REACH24Hの対応支援
REACH24Hは、海外の製造事業者・輸出事業者、中国国内の輸入事業者に対し、今回の新規化学物質環境管理に関する暫定登録要求への対応を支援しています。
主なサービス内容は以下のとおりです。
IECSC「中国現有化学物質名録」への収載状況を確認し、影響を受ける可能性がある物質をスクリーニング
適用される申請ルート、ポリマーの該当性、申請主体、およびサプライチェーン上のリスクを評価
申請資料のレビュー、用途情報・秘密情報関連資料の確認、データギャップ分析を実施し、必要に応じて試験計画を策定
登録ドシエの作成、第三者による資料提出の調整、補正対応、今後の規制対応計画を支援
低トン数物質やポリマーの申請を予定している企業は、REACH24Hまでお問い合わせください。「登録申請」ルートへの移行が、製造・輸入・出荷計画にどのような影響を及ぼすかを評価します。
中国 REACH における適切な申請ルートの判定をご希望の場合、物質情報をお送りください。
申請ルート、国内申請者の設定、必要資料、秘密情報保護の要否、計画されている製造・輸入時期を踏まえ、初期評価を実施いたします。
