食品接触材料 (FCM) の日本市場参入・規制対応|ポジティブリスト適合・JCII 手続き・コンプライアンス支援

食品接触材料 (FCM) の日本市場参入・規制対応|ポジティブリスト適合・JCII 手続き・コンプライアンス支援

2026-08-28
日本の食品接触材料(FCM)コンプライアンスは、関連製品の日本市場への参入における必須要件です。日本の規制体系では、原材料の管理、製品の適合性確認、サプライチェーンにおける情報伝達など、複数の段階にわたる対応が求められます。

その中核となるのが、食品用器具・容器包装に使用される合成樹脂のポジティブリスト制度(Positive List:PL)です。同制度は2020年6月1日に施行され、5 年間の経過措置終了に伴い、2025 年 6 月 1 日から全面強制適用となり、合成樹脂製品の原料に明確な法的制約が課されています。関連企業は、「食品衛生法」および食品用器具・容器包装の基準を基本として、合成樹脂の基材を構成するモノマー等や添加剤が現行PLに適合しているか、また規定された使用条件や制限を満たしているかを確認する必要があります。さらに原料から最終製品まで一貫した適合性情報をサプライチェーン全体で伝達できる管理体制の構築が求められます。

REACH24Hでは、合成樹脂、添加剤、マスターバッチ、食品包装、食器・調理器具などを取り扱う企業に向けて、日本PLの収載状況調査、製品コンプライアンス評価、試験管理、適合性情報文書の作成、未収載物質のPL収載申請支援、さらにJCIIへの入会および確認証明書等の取得支援を提供しています。

日本の食品接触材料とは

日本の「食品衛生法」では、食品に接触する器具及び容器包装(Utensils, Containers and Packages:UCP)について規定されています。

  • 器具とは、食品または食品添加物と直接接触して使用される機械、器具、食器その他の物品を指します。

  • 容器包装とは、食品または食品添加物を入れたり包んだりするもので、食品または食品添加物と直接接触するものを指します。

代表的な対象製品・材料には、以下のようなものがあります。

  • 食品包装・容器:プラスチックフィルム、袋、容器、カップ、トレー、ボトル、キャップ、ガスケットなど。

  • キッチン用品・食器類:カップ、皿、カトラリー、調理器具、鍋、まな板、保存容器、その他食品と直接接触する可能性のある部品など。

  • 上流原材料:合成樹脂、モノマー、添加剤、マスターバッチ、着色剤、コーティング、接着剤など、合成樹脂製の食品接触材料に使用される各種原材料です。一方、ガラス、陶磁器、ホーロー、金属、ゴム、木材といった合成樹脂以外の素材は合成樹脂 PL の適用外となります。ただし PL 適用外=食品衛生法の適用除外ではないため、各素材・製品の規格基準への適合確認が必要です。

日本の食品接触材料を所管する主な機関

機関・制度

主な役割

企業が確認すべきポイント

消費者庁(CAA)

食品衛生規格基準の策定・改正を所管し、器具・容器包装の規格、PL 制度、新物質の相談・申請手続きも担当する

適用範囲の確認、PL収載状況、規格基準・試験法、新規物質の相談・PL改正手続

食品安全委員会(FSCJ)

食品に関連する化学物質等について独立した食品健康影響評価を実施し、器具・容器包装についても科学的な安全性評価を行う

新規物質の安全性データ、溶出・ばく露評価、毒性・安全性評価の考え方

厚生労働省・検疫所

食品衛生法に基づき、器具・容器包装の輸入届出、輸入時監視検査を実施する

商業輸入時の届出、材質・適合性に関する説明資料、試験成績書等

JCII 食品接触材料

安全センター等

業界自主リストおよび管理体制の構築を推進する。会員資格による申請を通じ、適合性証明書の発行、試験検査ならびにコンプライアンスコンサルティングサービスを提供する。

入会資格・会員サービス、確認証明書・適合確認書等、サプライチェーンでの情報伝達

日本FCMの法規制体系とポジティブリスト(PL)

日本の食品接触材料規制は、「食品衛生法」を基本法とし、「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)に定められた具体的な規制措置、合成樹脂のポジティブリスト制度、適正製造管理(GMP)、試験法、輸入手続、業界の自主管理制度を補完的に活用し、法的義務と業界自主管理を両立させたサプライチェーン全体をカバーする規制枠組みを形成しています。

ポジティブリスト制度の核心は、食品接触材料に使用する合成樹脂およびその原料に、安全性評価を経て使用が許可されたポジティブリスト収載物質のみを使用し、適用される合成樹脂グループ、使用条件、添加量、その他の制限事項を順守することです。

現在施行されている日本のポジティブリストは 2 つの表に分かれています。

  • 合成樹脂:分子量 1000 Da 以上の固形状合成樹脂を対象とし、素材構造ごとに21区分に分類。使用可能なモノマー・出発物質が定められています。

  • 合成樹脂の添加剤:各基材に使用する添加剤の使用量上限、使用制限条件が規定されています。

注意点:合成樹脂PL制度の適用外でも、日本 FCM 関連法規の適用除外とはなりません。ゴム、ガラス、陶磁器、金属などは各素材の規格基準・試験要件への適合確認が必要です。非意図的添加物質 (NIAS)、表面処理剤、食品へ移行する機能性物質についても由来・用途に応じ、個別評価が求められます。

日本PLに未収載物質への対応方法

PL制度の対象となる物質について、基材を構成するモノマー等または添加剤が現行PLと照合できない場合、まず以下を確認する必要があります。

  • 物質名、CAS番号、化学構造等が既存の収載物質と一致するか

  • 別名や包括名称、既存条項の下でカバーされていないか

  • 物質そのものは収載されていても、使用条件や制限値が想定用途と一致していないのか

  • 当該物質がそもそもPL規制対象に該当するか

その上で、物質の種類や使用条件に応じて、次のような対応ルートを検討します。

  • 添加剤等に関する別表の改正・収載手続

  • 安全性審査に関する申請・相談を行い、必要な安全性データについて当局の評価を受ける

  • モノマー等通知その他関連リストの改正・収載に向けた手続

  • 当該物質がPL対象外であることを技術的に整理する、または一定の条件を満たす場合に他の適用可能なルールを検討する

一般的に検討される資料

  • 物質名、CAS番号、化学構造式、組成範囲、分子量、分析方法

  • 製造工程、純度、不純物、残留モノマー、ロット間の品質情報

  • 技術的機能、使用予定の材質、最大添加量、接触する食品の種類、接触温度・時間

  • 海外における認可・使用状況、提案するPL収載内容および制限条件

  • 溶出量または食事ばく露評価

  • 想定されるリスクレベルに応じた毒性・安全性データ

正式な申請に進む前に、まず技術的な実現可能性とデータギャップを評価することが重要です。主管機関による安全性評価が必要となる場合、プロジェクト期間は提出資料の完成度、追加試験の要否、当局による審査状況などによって変動します。

よくある誤解:「JCII認証」とは何か?

取引先やサプライチェーンとのやり取りでは、JCIIの会員制度を通じて行われるPL適合性の確認、確認証明書等の文書発行、関連サービスなどを総称して、「JCII認証」や「JCII Certificate」と呼ぶケースがあります。ただし、JCII の文書は日本国の強制 PL 制度とは別物で、法定コンプライアンス義務を代替する効力は持ちません。当該文書は日本 FCM のサプライチェーン取引で広く認知され、法定 PL を補完する業界自主管理制度として活用されています。

比較項目

国家ポジティブリスト(PL制度)

JCIIの業界サービス

制度の性質

「食品衛生法」に基づく法定のコンプライアンス要件

業界関連機関による会員制度、PL適合性確認、文書発行、試験、相談等

管理主体

消費者庁

JCII 食品接触材料安全センター

主な判断内容

対象物質が該当する合成樹脂FCMへの使用を認められており、規定された制限条件を満たしているか

会員資格、提出資料、適用ルール等に基づき、適合性の確認や所定の文書発行を行う

必須かどうか

PL適用範囲に該当する場合は適合が必要

通常は川下の顧客の要求、購買基準、企業の自主的な管理方針などによって異なる

日本国外の企業

日本へ輸出する対象FCM材料・製品は、日本の PL 規格へ適合する義務がある

海外企業の入会は可能だが、日本国内連絡窓口の設置および日本語での手続きが必須

そのため、手続きを開始する前に、取引先が実際に求めているものが、PL制度への適合性を示す情報なのか、JCIIの確認証明書等なのか、あるいはその両方なのかを確認することが重要です。必要な成果物を明確にしてから、JCIIへの入会、試験の要否、必要期間や費用を評価することで、不要な手続を避けることができます。

日本FCMコンプライアンス対応の流れ

1.製品・物質の確認

対象となる製品や物質が食品接触材料の原材料または最終製品に該当するかを確認します。

製品名・物質名、化学構造、用途を整理するとともに、川下の顧客が求める成果物や文書を明確にします。

2.PL適用範囲の確認

製品を構成する各部材について、どの部分が合成樹脂PLの対象となり、どの部分にその他の材質別規格・製品規格が適用されるかを整理します。

3.PL収載状況・使用制限の確認

基材を構成するモノマー等および添加剤について、PLへの収載状況、使用可能量、使用条件、制限事項を一つずつ確認し、情報不足や潜在的な不適合リスクを特定します。

製品によっては、対象材質の規格基準や川下で想定される使用条件を踏まえ、適合性を確認するための試験を実施します。

4.対応ルートの選定

現行PLに収載されていない物質、またはPLに定められた規格・使用条件と一致しない物質について、PL収載申請、安全性審査、その他利用可能な対応ルートを評価します。

5.サプライチェーンへの適合性情報の伝達

川下の企業による適合性確認を支援できるよう、物質のPLステータス、使用制限、試験結果、使用上の注意事項などを整理した文書を作成します。

取引先からJCII文書の提出を求められている場合は、あわせてJCIIへの入会、適合性確認、確認証明書等の取得ルートを検討します。

REACH24Hの日本FCMコンプライアンスサービス

1.日本PL収載状況調査・ステータス確認

基材を構成するモノマー等や添加剤が現行PLに収載されているかを調査します。別表の該当条項、基材区分、使用制限、物質同定情報などを確認するとともに、ポリマー、UVCB、塩類、混合物、明確なCAS番号を持たない物質などについても個別にマッチング分析を行います。

2.製品・処方コンプライアンス評価

材料の多層構造、処方、食品との想定接触条件などを踏まえ、ポジティブリスト、材質別規格、製品試験、サプライチェーン文書などの要求事項を総合的に評価します。

3.未収載物質および日本PL収載申請支援

申請ルートとデータギャップを評価し、添加剤リストの改正、安全性審査、モノマー等に関する収載・改正手続に必要な資料の準備を支援します。また、必要に応じて事前相談、当局からの照会への対応、追加資料の作成・補正までサポートします。

4.日本食品接触材料の試験プラン策定・試験管理

製品の材質および想定用途に応じて必要な試験項目を確認し、適切な試験方案を策定します。さらに、試験機関との調整、試験進捗の管理、試験成績書が実際の用途や規制要求を適切にカバーしているかの確認まで支援します。

5.適合性情報・サプライチェーン文書

PL収載状況、使用制限、適用用途、試験根拠、使用上の注意事項などを整理し、サプライチェーンで使用できる適合性説明資料、確認文書、顧客質問票への回答資料などの作成を支援します。

6.JCII入会・適合確認文書取得支援

取引先の要求や企業の状況に基づいて適切な会員種別を確認し、JCIIへの入会手続および確認証明書等の申請を支援します。REACH24Hが専任窓口として、日本語によるコミュニケーション、試験管理、申請に必要な資料一式の準備・調整を行います。

7.主管機関・業界関連機関とのコミュニケーション支援

物質同定、PL適用範囲、申請手続、技術的な解釈などについて、必要に応じて事前相談、問い合わせ、追加資料の提出などを支援します。

8.日本市場参入に関する追加支援

規制動向の継続的なフォロー、社内研修などにも対応し、材料レベルのコンプライアンス確認から日本市場への実際の製品展開まで、プロジェクトに応じた支援を提供します。

REACH24Hが選ばれる理由

日本法人・現地チームによるサポート

REACH24Hは日本に現地法人を設置しています。日本の現地チームを活用し、日本企業、業界関連機関、試験機関、その他の関係者とのコミュニケーションを支援することで、日本国外の企業によるプロジェクト進行を効率化します。

JCIIとの継続的なコミュニケーション

REACH24Hは、JCIIの食品接触材料安全センターと継続的な情報交換・コミュニケーションを行っています。また、CRAC 2025ではJCII企画部門の専門家を講師として招き、日本の食品接触材料規制について講演いただきました。こうした業界との交流を通じて、日本の規制制度や実務の動向を把握し、企業による日本市場への対応を支援しています。

法規制と材料技術の両面から評価

最終製品だけでなく、ポリマー、モノマー、添加剤など複数のレベルからコンプライアンス上の課題を分析します。食品接触材料分野における技術的な知見を活かし、製品の構成や用途に合わせた効率的な評価と個別対応策を提案します。

PL照会・申請・試験・JCII対応を一括支援

一つのプロジェクトの中で、日本PLの収載状況調査、製品コンプライアンス評価、PL収載申請、試験プラン、サプライチェーン文書、JCII関連手続まで一貫して対応できます。複数のサービス事業者との個別調整を減らし、プロジェクト全体の情報を一元的に管理できます。

中国・EU・米国など他市場にも展開可能

日本向けプロジェクトを起点として、中国、EU、米国など他の主要市場における食品接触材料の規制要求についても評価できます。複数市場へ同一材料・製品を展開する企業について、各国・地域の要求事項の違いを踏まえたコンプライアンス対応を支援します。

日本食品接触材料コンプライアンスに関するよくある質問(FAQ)

Q1.物質が日本のポジティブリストに収載されていない場合、必ずPL収載申請が必要ですか?
A:必ずしも必要とは限りません。まず、その物質がPLの規制対象であるか、別名称や既存条項でカバーされていないか、モノマー・基材・添加剤のどのカテゴリーに該当するか、また一定の条件下で利用できるその他のルートがないかを確認する必要があります。現行PLに収載されておらず、かつPL対象となる合成樹脂の原材料として使用する予定であることが確認された場合に、PLの改正・収載や安全性審査などの対応を検討します。
Q2.分子量1,000以上のポリマーであれば、自動的に日本PLに適合しますか?
A:いいえ。分子量 1000Da 以上であるだけでは PL 適合とはなりません。分子量は基材の安全性評価要素の一つに過ぎず、モノマー、添加剤、使用条件も併せて確認する必要があります。
Q3.ガラス、陶磁器、金属、木材、ゴム製品についてもPL確認が必要ですか?
A:これらの材料は、通常、合成樹脂ポジティブリストの中心的な対象ではありません。ただし、「食品衛生法」に基づく各材質・製品の規格基準や試験要件が適用される可能性があります。また、製品にプラスチック製のガスケット、コーティング、食品との直接接触層などが含まれる場合は、その部材について個別にPL適用性を判断する必要があります。
Q4.日本の食品接触材料に関する試験成績書があれば、製品は適合していると判断できますか?
A:いいえ。試験は、あくまで特定のサンプル、試験項目、試験条件に対する結果です。そのため、試験成績書だけでなく、原材料のPL収載状況、使用制限、実際の処方、製造条件との整合性、さらに試験条件が実際の食品接触用途を適切にカバーしているかを確認する必要があります。
Q5.日本の国PLとJCIIは何が違いますか?
A:日本の国PLとは、食品衛生法に基づく合成樹脂ポジティブリスト制度であり、対象となる材料・物質について法的に適合する必要があります。一方、JCIIは一般財団法人化学研究評価機構であり、その食品接触材料安全センターでは、条件を満たす会員に対して適合性確認、確認証明書等の発行、試験、情報提供・相談などのサービスを提供しています。したがって、国PLへの適合とJCIIによる文書発行は同じものではありません。
Q6.海外企業もJCIIへ入会できますか?
A:はい。JCIIの現行公開情報によると、日本国外の企業も正会員として入会申請することができます。ただし、日本国内に連絡窓口を設置する必要があり、入会申請およびその後の関連業務は日本語で行う必要があります。企業の事業内容やサプライチェーン上の役割によって適切な会員種別が異なるため、申請前に確認することが重要です。
Q7.日本FCMコンプライアンスには、通常どのくらいの期間・費用が必要ですか?
A:必要となる期間・費用は、対応内容によって大きく異なります。例えば、単一物質のPL収載状況調査、製品全体のコンプライアンス評価、規格試験、JCII関連手続、新規物質のPL収載申請では、それぞれ必要な資料、試験、作業量が異なります。製品または物質の情報、用途、現在お持ちの資料、最終的に必要となる成果物をご提供いただければ、段階ごとの想定スケジュールと費用をご提案します。

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