中国における農薬リスク評価
2026-05-07

法規制の概要


中国農薬リスク評価法規概要


中国農業農村部は2017年6月に第3号部令として改正後の「農薬登録管理弁法」を公布しました。本規則は2017年8月1日より正式に施行されています。


本改正では初めて、農薬製品の登録申請者に対し「最大リスク原則」に基づいて必要なデータや資料を提出し、リスク評価の要件を満たすことが求められるようになりました。これにより、新規登録製品と既存登録製品との間で、安全性および有効性が同等であるか、あるいは明確な優位性を有することが担保される仕組みとなっています。


中国農業農村部公告第2569号(2017年)「農薬登録資料要求」において規定されるリスク評価は、主に以下の4つの分野から構成されています。

  • 農薬の健康リスク評価

  • 農薬の食のリスク評価

  • 農薬の環境リスク評価

  • 農薬の抵抗性(耐性)リスク評価


農薬リスク評価の概念


農薬における健康リスク、食のリスクおよび環境リスクの評価は、いずれも定量的リスク評価に分類されます。これらの評価は、主に以下の4つのステップで実施されます。


1.農薬リスク評価のステップ.png


農薬抵抗性リスク評価は定性的リスク評価に分類され、主に専門家の判断や非定量的手法を基に、リスクを「高」「中」「低」の 3 段階に区分して評価を行います。


農薬リスク評価の構成要素


中国、EU、米国における農薬リスク評価の枠組みはいずれも、試験データを基礎としています。具体的には、物理化学的性質、毒性試験、生態毒性試験、環境運命試験、残留試験、暴露評価およびドリフト(飛散)データなどが含まれます。


これらのデータを基に、各国の農薬登録要件を満たしながらリスクベースの安全性評価が行われます。まずリスクの有無を判断し、その後、各国の基準に従ってリスクの程度および発生可能性を評価し、適切なリスク管理措置を策定します。


また、有効成分や不純物・代謝物に懸念される毒性影響が確認された場合(例:グリホサートの発がん性など)、重点評価対象となり、必要に応じて追加の非定常試験が実施されることもあります。


2.農薬リスク評価の枠組み.png


農薬健康リスク評価


中国の農薬登録資料における健康リスク評価は、主に調製・散布作業者が農薬に暴露されることによって生じる健康影響の発生確率およびその程度を評価するものです。


基本原理および段階的評価方法は以下の通りです。




3.健康リスク評価 基本原理.png





4.健康リスク評価 段階的評価方法.png




農薬食のリスク評価


食のリスク評価は、作物・家畜・環境中での代謝過程や食品加工の工程を経て、最終的に食品中に残留する農薬が人体へ悪影響を及ぼす可能性を評価するものです。


基本原理および評価方法は以下の通りです。


5.食のリスク評価.png



農薬環境リスク評価


環境リスク評価は、環境中に放出された農薬有効成分が生態系全体へ与える影響を対象とします。


中国の登録資料要求では、環境運命試験、生態毒性試験および環境リスク評価報告が必要とされています。評価対象は以下の7分野です。

  • 水生生態系

  • 鳥類

  • ミツバチ

  • カイコ

  • 地下水

  • 非標的生物

  • 土壌生物


コスト削減と予測精度向上の観点から、環境暴露モデルが広く利用されています。主なモデルには水生生態系、地下水および土壌生物に関するモデルがあり、代表的なものとしてTOP-Rice、China-PEARL、PECSoil、PREASSなどがあります。


基本原理と評価方法は以下の通りです。


6.環境リスク評価.png


農薬抵抗性リスク評価


抵抗性リスク評価は定性的評価であり、標的生物における農薬耐性の発生しやすさおよびそのリスク管理手段を判断するために用いられます。


中国の農薬登録資料要求では、薬効試験データの一部として扱われています。


基本原理と構成内容は以下の通りです。


7.農薬抵抗性リスク評価.png


農薬リスク事前評価


「農薬リスク事前評価」とは、農薬登録試験の開始前に既存データを収集し、その品質を十分に検証したうえで、事前に包括的かつ科学的なリスク評価を実施する手法です。


その結果に基づき、適切な使用方法の設計、製剤改良、登録試験計画の最適化、および登録期間の短縮が可能となります。


事前評価の意義

  • 企業の自主評価:農薬の市場性だけでなく安全性も含め、長期的な経営戦略を構築し、持続可能な発展を実現します。

  • 無駄の回避:試験結果の事前予測により、不要な損失を防ぎます。

  • 競争力向上:コンプライアンス対応そのものが企業価値向上につながります。


事前評価の実施フレームワーク


8.農薬リスク事前評価.png


REACH24Hのサービス

  • 農薬登録のリスク事前評価

  • 中国における農薬健康リスク評価

  • 中国における農薬食のリスク評価

  • 中国における農薬環境リスク評価

  • 中国における農薬耐性リスク評価

  • EU・米国における農薬および消毒製品のリスク評価

  • WHO/FAO基準に基づく大規模農薬・衛生用農薬リスク評価

  • リスクベースの新規農薬登録コンサルティング

  • 代謝物・不純物の毒性評価

  • 残留定義の設定

  • 高次(生態)毒性試験および環境動態試験の試験監理

  • 環境暴露モデル計算および最適化

  • 感受性ベースライン試験の監理

  • 内分泌かく乱作用評価および試験監理

REACH24Hの強み

  • 国際認証毒性学者およびリスク評価専門家を擁する専門チームによる高水準の技術サポート

  • 中国・欧州・米国における豊富な農薬および消毒製品リスク評価実績

  • 2021年11月時点で約1,000件のリスク評価報告書作成実績

  • 豊富な協力試験機関ネットワークおよび試験監理サービス

  • 国内外専門家との長期的な協力関係による高品質かつ効率的なサービス提供

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