米国・カナダ・中南米農用規制の最新動向 2026

米国・カナダ・中南米農用規制の最新動向 2026

2026-03-13

近年、アメリカ地域における農薬規制は、デジタル化、制度改革および管理強化を軸として大きく変化しています。2025年、米国環境保護庁(US EPA)は農薬登録管理の近代化を目的として新たなデジタルプラットフォーム「MyPest」を導入するとともに、農薬ラベルの二言語表示政策を公表しました。これにより、農薬登録管理およびラベル規制の運用が新たな段階へと移行しています。

同時に、カナダではPMRAによる「継続的監督」制度の導入が進められており、農薬製品のライフサイクル全体を対象とするリスク管理体制が構築されつつあります。さらに、メキシコでは登録手続の簡素化改革が実施され、ブラジルでも農薬法規の体系的改正が検討されています。

これらの政策動向は、北米および中南米市場における農薬登録戦略やコンプライアンス対応に重要な影響を及ぼす可能性があります。REACH24Hでは、米国、カナダおよびラテンアメリカ地域における主要な農薬規制動向を整理し、企業が留意すべき対応ポイントを概説します。

米国農薬規制の最新動向:MyPest導入およびEPAの再編

2025年、米国環境保護庁(US EPA)は農薬管理体制の近代化に向けた取り組みを進めています。

  • 1月17日、新たなデジタルプラットフォーム MyPest が稼働し、農薬登録申請者は申請状況をオンラインで確認できるようになりました。

  • 5月以降、EPAでは内部組織の再編が進められており、審査体制の効率化および審査案件の滞留解消が図られています。

これらの動きにより、米国の農薬登録制度では手続きのデジタル化および運用効率化が進めみ、企業にとって製品投入を加速しやすい環境が整いつつあります。

REACH24Hからの提案:米国市場を対象とする企業は、この機会を活用し、適切に対応を進めてください。

  • MyPestシステムのアカウントを早期に登録・有効化し、進捗通知、文書管理および当局との連絡機能を十分に活用することで、申請案件の管理能力を高めてください。

  • EPAの審査迅速化の動向を踏まえ、重点製品の登録申請を優先的に進めることで、コンプライアンス対応期間を短縮し、市場投入のタイミングを確保してください。

米国EPAの農薬二言語ラベル政策:2025年から段階的、2030年までに全面適用へ

2025年3月、米国環境保護庁(EPA)は農薬ラベルの二言語表示政策を正式に公表し、米国内で販売される最終用途農薬製品のラベルに英語とスペイン語の両方を表示することを義務付けました。この政策は2025年12月より段階的に適用されます。

  • 第1段階の対象は、使用を制限する農薬(RUPs)および一般に使用できる農薬のうち急性毒性区分1の農業用途農薬に該当します。

  • 2030年までに対象範囲はすべての農薬製品へ拡大され、全品目への適用が義務化されます。

ラベル更新情報は、EPAの新デジタルプラットフォーム「MyPest」を通じて提出・管理される予定です。これにより、言語要件とデジタル管理の双方への対応が求められる段階に移行しています。

REACH24Hからの提案:

  • 米国で販売中の製品リストを整理し、適用段階および対応期限を明確にしてください。

  • ラベル表示の専門翻訳、書式調整および法規適合性確認を早期に開始し、英語とスペイン語の表示内容の一致およびEPA様式要件への適合を確保してください。

  • 既存在庫の販売計画と新ラベルへの切替スケジュールを適切に管理し、表示不適合による販売停止や通関遅延のリスクを回避してください。

米国FIFRA 25(b)薬効ガイドライン公表:最低リスク農薬規制の厳格化

2025年3月、米国AAPCO傘下のFIFRA 25(b)ワーキンググループは、初の「25(b) 最低リスク農薬に関する薬効評価ガイダンス(Minimum Risk Pesticides Efficacy Guidance)」を公表しました。このガイドラインは、はじめて統一基準を設定し、最低リスク農薬(Minimum Risk Pesticides)の薬効表示、試験根拠、ラベル表現に関するコンプライアンス要件を体系的に示すものです。

本動向は、米国における25(b)製品の管理が厳格化される傾向を示しています。「低リスク」に分類される製品であっても、検証可能な有効性根拠が求められます。

REACH24Hからの提案:

  • ガイドラインの内容動向を継続的に確認し、薬効データ要件および表示可能範囲の理解を深めてください。

  • 既存の25(b)製品について、ラベルおよび市場での表示内容を整理し、今後想定される審査基準との整合性を確認してください。

  • 新規に申請を予定している製品については、科学的根拠に基づいた薬効データの整備方針をあらかじめ検討し、誇大表示や根拠不十分による規制リスクを回避してください。

カリフォルニア州DPR「優先審査」試行を開始:変更申請手続きの迅速化

2025年11月より、米国カリフォルニア州農薬規制当局(DPR)は、6か月間の「優先審査」試行プログラムを開始しました。この制度は、特定の製品変更に関する登録変更申請(例:ラベル改訂、処方の軽微変更等)を対象に、審査の迅速化ルートを提供するものです。試行結果が良好な場合、今後は恒常的な制度として運用される可能性があり、同種申請の審査期間短縮も見込まれます。

今回の試行プログラムは、カリフォルニア州が規制運用の効率化に向けた取り組みを進めていることを示すものであり、企業にとって製品改良や市場対応を加速させる上での有利な環境が整いつつあります。

REACH24Hからの提案:

  • リフォルニア州向けに既に準備中、または計画中の変更申請が本試行の対象条件に該当するかを確認してください。

  • 制度適用期間中に条件を満たす申請を優先的に提出し、審査迅速化の機会を活用してください。

  • 技術資料および申請書類を事前に十分整備し、形式審査段階での差戻しを回避することで、審査短縮効果を最大化してください。

カナダ農薬規制、PMRAの「継続的監督」制度が導入へ

2025年10月、カナダ保健省有害生物管理局(PMRA)は「農薬継続的監督規則案PRO2024-01」に関するパブリックコメントの総括を公表し、多くの利害関係者から支持を得たことを明らかにしました。これにより、「継続的監督(Continuous Oversight)」という新たな規制枠組みが正式に導入される見通しとなっています。

新制度の下では、すべての登録農薬製品が動的かつ継続的な健康・環境リスク監視の対象となり、コンプライアンス状況の継続的な追跡が行われます。さらに登録時に提出されたデータと実際の製品との整合性を保証するために、PMRAは「定期的化学検証」メカニズムを導入し、企業に対して製造プロセスの長期的な安定性および製品ロット間の一貫性を確保することを求めます。

今回のカナダ農薬規制変更は、企業のコンプライアンス責任が単なる登録取得にとどまらず、研究開発段階から製造、流通、使用まで、製品のライフサイクル全体にわたって継続することを意味します。

REACH24Hからの提案:

  • 企業は、世界各国の科学文献および規制動向を継続的にモニタリングする体制を構築し、製品の安全性評価に影響を及ぼす可能性のある新たな科学的知見を迅速に把握してください。

  • コンプライアンス管理を「受動的対応」から「予防的リスク管理」へ転換し、製品のリスクを早期に特定するとともに、適切な対応計画を策定してください。

  • 社内の品質管理および製造一貫性管理体制を強化し、PMRAが求める定期的化学検証の要件に対応できる体制を整備してください。

カナダPMRA、農薬登録年次手数料制度を改革へ:段階制料金モデルの導入を検討

規制体系の持続可能性を高めるため、カナダ有害生物管理局(PMRA)は2026年に農薬登録証の年次維持手数料制度を正式に改革する計画です。現行の一律料金制度を見直し、登録証の保有数に応じた段階制料金モデルへ移行する方針です。関連する年次手数料通知は、2026年4月に各登録証保有者へ送付される予定です。

今回の改革は、規制コストのより公平な分担を図るとともに、企業による製品ポートフォリオの最適化および高付加価値登録への集中を促すことを目的としています。なお、小規模企業、生物農薬製品、および新規有効成分を含む製剤などのカテゴリーについては、規定に基づき手数料の一部減免を申請できる可能性があります。

REACH24Hからの提案:

  • 企業はカナダの登録証の保有状況を事前に整理し、新しい料金体系の下での年次コストの変化を試算してください。

  • 多数の登録証を保有する企業については、製品統合や更新時期の調整などにより、費用負担の最適化を検討してください。

  • 手数料減免の適用条件に該当するかを確認し、必要な申請資料を早期に準備することで、コンプライアンスコストの低減を図ってください。

メキシコ、農薬・肥料登録管理手続の簡素化:審査期間を大幅短縮

2025年12月3日、メキシコは「農薬および肥料の管理手続簡素化改革協定」を正式に施行しました。これにより、農業化学製品の規制管理は効率化の新たな段階に入ったとされています。今回の改革では、申請資料の簡素化、登録区分の統合、手続コードの統一などの重要な分野に焦点が当てられており、審査プロセスが大幅に最適化され、登録審査期間の短縮が見込まれています。これは、メキシコ政府が農業資材の市場参入効率の向上を重視している姿勢を示すものです。

ラテンアメリカ市場への展開を検討する企業にとっては、これは上市を加速する機会となる一方で、申請資料の整備状況およびコンプライアンスの正確性に対して、より高い要求が課されることになります。

REACH24Hからの提案:

  • 企業は新規則における資料要件、登録区分および審査期限の変更内容を体系的に確認してください。

  • 既存の製品ポートフォリオを事前に整理し、新しい申請ルートに適合するよう調整することで、手続上の誤判断による遅延を回避してください。

  • 申請提出前にコンプライアンスの事前確認を実施し、資料がメキシコ当局の最新要件を満たしていることを確保してください。

ブラジル農薬法規の大幅改正を検討

ブラジル農務省(MAPA)によると、同国は規制運用の効率化および科学的意思決定の強化を目的として、現行の農薬管理法規について体系的な改正作業を進めているとしています。現在、一部条項については技術的または政策的な論点が残っており、関係省庁間の協議および利害関係者との意見交換の段階にあります。正式な公布および施行時期は現時点で確定していません。

新規則はまだ初期段階にありますが、登録要件、データ基準、審査手続、または高リスク物質の管理など、複数の重要分野に影響を及ぼす可能性があります。そのため、ブラジルで事業を展開している企業、または同国市場への参入を検討している企業にとって、今後の規制動向は重要な影響をもたらす可能性があります。

REACH24Hからの提案:

  • 企業は、MAPA、ANVISA、IBAMAなどの公式チャネルおよび信頼できる業界情報プラットフォームの更新を継続的に確認してください。

  • 既存の製品ポートフォリオを事前に整理し、潜在的なコンプライアンスギャップを評価することで、将来的な法規改正に備えた対応余地を確保してください。

  • 専門機関との連携を維持し、最新の規制解釈および戦略的提言を適時取得してください。

まとめ

アメリカ地域では、農薬管理制度のデジタル化、ラベル規制の強化、継続的リスク監督制度の導入など、複数の政策改革が同時に進められています。これらの動向は、農薬製品の登録、表示管理および市場流通の各段階において、企業のコンプライアンス対応をより高度化させるものと考えられます。

企業にとっては、各国の制度変更を継続的に把握するとともに、登録申請戦略、ラベル管理、製品ポートフォリオおよび品質管理体制の見直しを適時進めることが重要です。REACH24Hでは、各国規制の最新動向を継続的に整理し、制度解釈、文書整備、登録・申告実務まで一貫した支援を行っています。規制対応に関するご相談がございましたら、customer@reach24h.comまでお気軽にお問い合わせください

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