EU・オーストラリ農薬規制の最新動向 2026

EU・オーストラリ農薬規制の最新動向 2026

2026-03-13

近年、欧州およびオセアニア地域では、農薬規制体系の見直しと管理強化が同時に進められています。2025年末、欧州委員会は「食品および飼料の安全規制の簡素化案」を公表し、農薬有効成分の承認制度について「無期限承認」と「動的再審査」を導入する構造的改革を提案しました。この改革は、従来の定期的な再評価制度から、科学的リスクに基づく柔軟な管理モデルへの移行を示しています。

同時に、EUでは農薬補助剤の使用禁止、有効成分の市場退出など、製剤および有効成分管理に関する規制強化も進められています。一方、オーストラリアではAPVMAが簡略登録制度の要件を見直し、高リスク有効成分の再評価を加速させるなど、農薬規制の技術的厳格性を引き上げる動きが続いています。さらに、オーストラリアとニュージーランドの規制協力強化により、両国市場への登録効率の向上も期待されています。

REACH24Hでは、EUおよびオーストラリアを中心とした農薬規制の主要な政策動向を整理し、企業が留意すべきコンプライアンス対応のポイントを概説します。

EU農薬有効成分管理制度の大幅転換:「無期限承認」と「動的再審査」導入へ

2025年末、欧州委員会は「食品および飼料の安全規制の簡素化案」を公表し、農薬有効成分の管理制度に対する構造的改革を提案しました。今回の見直しが以下のように示されています。

  • 従来の「定期再審査」制度から、「無期限承認」制度への移行が提案されています。

  • 承認後は、新たな科学的知見に基づき、リスクが確認された場合にのみ再評価を行う仕組みが導入されます。

  • また、生物的防除製品および低リスク植物保護製品の審査手続の迅速化を図り、持続可能な農業への転換を促進する方針が示されています。

これらの改革は、承認制度の柔軟性を高めるとともに、持続可能な農業資材への政策的支援を強化することを目的としており、EUの農薬管理が従来の定期的な管理から動的な対応を重視する枠組みへ移行する動向を示しています。

REACH24Hからの提案:

  • 法案の動向および施行スケジュールを継続的に確認し、中長期の目線で製品ポートフォリオおよび登録戦略の見直しを行ってください。

  • 政策の動向を踏まえ、「低リスク」または「生物由来」に該当する製品の開発および登録機会を積極的に検討してください。

  • 高い潜在力を持つ有効成分については、新たな管理制度の下での長期的価値を評価し、研究開発資源の配分を最適化してください。

EU、14種の農薬補助剤を禁止へ:処方コンプライアンスに新たな課題

2025年12月、欧州委員会は農薬法規改正案を公表し、14種の農薬補助剤(Co-formulants)を追加しました。これらの物質については、植物保護製品および補助剤製品における使用が禁止されることが明記されています。本改正は2026年に正式に発効する見込みであり、加盟国には2年間の移行期間が設けられます。この期間中、禁止補助剤を含む既承認製品については、処方の変更または登録の撤回を行う必要があります。

今回の改正は、非活性成分に対する規制をさらに強化するものであり、EUが農薬製剤の全成分の安全性を重視している姿勢を示しています。また、企業の処方設計およびサプライチェーン管理に対しても、より高い対応が求められます。

REACH24Hからの提案:

  • 現行製品のリストを速やかに確認し、禁止対象となる補助剤が含まれているかを特定してください。

  • 影響を受ける製品については、できるだけ早く処方最適化または代替案の検証を進め、移行期間内に適合対応を完了してください。

  • 将来の登録リスクを低減するために、現在申請中または今後申請予定の新製品については、禁止補助剤の使用を厳格に回避してください。

メトキシフェノジド、ブプロフェジンが2026年にEU市場から退出へ:高リスク有効成分の淘汰が加速

2026年、EUでは2種類の殺虫剤の使用が全面的に終了する予定です。

  • メトキシフェノジド(Methoxyfenozide)の承認有効期限は2026年3月31日までであり、再評価申請が提出されなかったため、期限到来後に承認は自動的に失効します。

  • ブプロフェジン(Buprofezin)については、内分泌かく乱特性があると認定されており、欧州委員会はすでに禁止案の草案を公表しています。正式な禁止措置は2026年中に公布される見込みです。

EU法規に基づき、各加盟国は禁用措置の発効後、在庫製品の販売および使用に関する猶予期間を設定することができます。ただし、その期間は加盟国ごとに異なるため、企業は各国の具体的な実施安排を確認する必要があります。

REACH24Hからの提案:

  • 関連企業は速やかに製品の処方および登録状況を確認し、上記有効成分が含まれているかどうかを特定してください。

  • 対象加盟国が公表する在庫消化期限を継続的に確認し、生産停止、在庫消化および市場退出の計画を科学的に策定してください。

  • 代替農薬の導入可能性を同時に評価し、登録準備および圃場試験を前倒しで進めることで、事業の円滑な移行を確保してください。

オーストラリアのAPVMA新規則:「非常に類似する」製剤の登録要件を強化

2025年、オーストラリア農業・動物用医薬品局(APVMA)は、「参照製品」に基づく簡略登録ルートについて2つの重要な措置を公表しました。

  • 6月、第6類および第7類の「非常に類似する」製剤に関する新規則を公表し、引用される参照製品について、APVMAに安全性・有効性および貿易コンプライアンスの評価を支える完全な技術データが提出されていることを明確に要求しました。

  • 12月にはさらに「参照製品使用ガイド」を公表し、適用範囲をItem 6、7、10、12および14などの低データまたはデータ提出不要の申請区分に拡大しました。これにより、参照製品の資格認定、データへのアクセス可能性および適法な引用ルートが体系的に整理されました。

これらの動きは、APVMAが従来の「名目的な類似性」に基づく審査から、「技術データの支え」に基づく審査へと移行していることを示しており、簡略登録の要件および技術的厳格性が大きく引き上げられています。

REACH24Hからの提案:

  • 既に提出済みで未承認の申請については、引用している参照製品のデータ完全性およびコンプライアンス状況を直ちに再確認し、必要に応じて申請の取下げと戦略見直しのうえ再申請を検討してください。

  • 新規申請予定の製品については、提出前にAPVMA公開データベースまたは公式チャネルを通じて参照製品が最新要件を満たしているかを確認し、単一または複数の参照製品に基づく登録戦略を慎重に設計してください。

  • 「名目的な類似性」のみに依拠した申請を避け、技術資料が十分な裏付けを有していることを確保することで、却下リスクおよび時間コストの低減を図ってください。

APVMA、農薬重点品目の再評価が加速:主要有効成分に関する規制決定を相次ぎ公表

2025年下半期、オーストラリア農業・動物用医薬品局(APVMA)は高リスク有効成分に対する再評価を継続的に推進し、複数の重要な決定を相次いで公表しました。

  • パラコートおよびジクワット:米国環境保護庁(EPA)の評価結果を受け、APVMAは2025年11月26日、再評価決定の公表を再度延期することを発表しました。最終決定は2026年半ばに公表される見込みです。

  • ジメトエート:2025年11月11日より、ジメトエートを含有する製品について、ブルーベリー、ラズベリーおよびブラックベリーへの使用に関する登録およびラベル承認が停止されました。

  • フェニトロチオン:2025年8月19日、最終再評価決定が公表され、農作物、牧草地、園芸、穀物貯蔵および鶏舎など、既存用途の大部分が撤回されました。

これらの動きは、APVMAが高毒性、高残留性または生態リスクを有する物質に対する規制を継続的に強化していることを示しており、規制判断の進行も明らかに加速しています

REACH24Hからの提案:

  • 原薬サプライヤー:既に登録済みまたは申請予定の原薬がAPVMAの最新の毒性および環境安全基準を満たしているかを全面的に確認し、必要に応じて追加データの準備または退出対応を検討してください。

  • 製剤企業:使用している原薬のコンプライアンス状況を重点的に確認するとともに、製品用途が依然として承認範囲内にあるかを確認し、用途撤回による市場供給の中断を回避してください。

  • 対豪事業に関わる企業:継続的なモニタリング体制を構築し、2026年に予定されているパラコートおよびジクワットなど主要物質の最終決定を注視し、製品ポートフォリオおよび登録戦略を適時調整してください。

オーストラリアとニュージーランドの規制協力を強化:APVMAとNZFS、評価結果の共有で合意

2025年11月24日、オーストラリア農業・動物用医薬品局(APVMA)とニュージーランド食品安全局(NZFS)は、農薬および動物用医薬品の新製品評価結果の共有に関する協力協定を正式に締結しました。本協力は、規制資源の効率的な活用と重複審査の回避を目的としており、製品の両国市場への参入効率が大きく向上することが期待されています。これにより、トランス・タスマン(Trans-Tasman)規制が実質的な前進を遂げたことを示しています。

企業にとっては、今後、質の高い単一の評価結果を基礎として、オーストラリアとニュージーランド双方での登録申請を同時に支えることが可能になる見込みであり、上市までの期間短縮およびコンプライアンスコストの低減につながる可能性があります。

REACH24Hからの提案:

  • 企業はオーストラリアとニュージーランド市場を連動した一体として捉え、製品計画の初期段階から両国の登録戦略を統合的に設計してください。

  • 協定の実施細則を継続的に確認し、特にデータ形式、各国用途への適合性およびラベル要件などの差異に注意してください。

  • プロジェクト初期段階においてAPVMAまたはNZFSと積極的にコミュニケーションを取り、当該製品が評価結果共有の対象となるかを確認し、最適な申請ルートを明確にしてください。

まとめ

欧州およびオセアニア地域では、農薬有効成分の管理制度改革、補助剤規制の強化、有効成分の市場退出および再評価の加速など、規制環境が大きく変化しています。これらの動向は、農薬製品の研究開発、登録戦略および市場管理に対して、より高度なコンプライアンス対応を求めるものとなっています。

企業にとっては、各国当局の規制更新を継続的にモニタリングするとともに、製品ポートフォリオの見直し、処方設計の最適化および代替製品の導入計画を適時検討することが重要です。

REACH24Hでは、各国規制の最新動向を継続的に整理し、制度解釈、文書整備、登録・申告実務まで一貫した支援を行っています。規制対応に関するご相談がございましたら、customer@reach24h.comまでお気軽にお問い合わせください

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