「新規化学物質環境管理登記弁法」改正案、化粧品業界への影響

「新規化学物質環境管理登記弁法」改正案、化粧品業界への影響

2026-06-23

2026年6月11日、中華人民共和国生態環境部「新化学物質環境管理登記弁法(改正意見募集稿)」に関する意見募集通達(環弁便函〔2026〕199号)を公表しました。現在施行中の同弁法は生態環境部令第12号(以下「12号令」)として2020年4月に公布されており、発行から6年を経て全面的な改正が進められています。意見提出の締切は2026年7月12日となります。

化粧品が適用除外製品リストから削除

化粧品業界にとって今回の改正で最も注目すべき点は、適用除外範囲の見直しです。改正案において化粧品は新規化学物質登録制度の規制対象に組み込まれることになります。

現行の12号令では、化粧品最終製品は新規化学物質の規制対外となっています。化粧品の原料が新規化学物質に該当する場合、原料メーカーまたは輸入業者が登録・届出手続きを実施すればよく、最終製品を製造する企業側は追加の対応を行う必要がありません。

今回の改正案では、化粧品最終製品に含まれる新規化学物質も規制対象となります。そのため、輸入化粧品事業者は化粧品の登録・届出手続きに加え、該当原料に関する新規化学物質登録・届出を事前に完了させる義務が生じます。市場参入までの手続き全体や審査の負担が大幅に増加する見込みです。

なお、現在本改正案は意見募集段階のため、正式な条文・付属ガイドライン・審査基準はまだ確定しておりません。今後発出される補足文書により、詳細な監督ルールが明確化される予定です。

また、今回の規制変更は化粧品業界に限らず、医薬、農薬、食品、飼料、肥料など複数業界に波及するため、今後各監督当局、業界団体、国内外製造・輸入企業を対象とした意見交換や協議が広く実施される見通しです。

化粧品企業への影響と対応策

改正が実施される背景

立法面の根拠として、今回の12号令改正は「中華人民共和国生態環境法典」の規定を施行するための施策となります。

化粧品は直接消費者の健康に関わる製品ですが、使用後は大半が都市下水処理システムに流入するため、環境に負荷がかかります。特に環境中で分解されにくい成分は水生生物に蓄積し、生態系へ長期的な影響を及ぼす可能性があります。

単独の排出量は化学工場の産業排出と比較すると少ないものの、使用人口・使用頻度を積算すると無視できない規模となります。従来の「原料のみ規制」から「最終製品まで管理範囲を拡大」することで、ライフサイクル全体の環境リスクをカバーする仕組みへと強化されます。

新規化学物質に該当する化粧品原料の規模

中国では「中国既存化学物質目録(IECSC)」に収載されていない物質が新規化学物質と判定されます。一方、化粧品原料の使用には「既使用化粧品原料目録(IECIC)」というポジティブリストが定められており、2つの目録のCAS番号を照合することで新規化学物質に該当する原料を把握することが可能です。

REACH24Hが両目録の公開版データを用いてCAS番号のクロス照合を実施したところ、「既使用化粧品原料目録」に記載されているものの「中国既存化学物質目録」に収載されていない原料は約1,559種存在することが確認できました。この数値は概算ですが、規模感の参考となります。

動物由来原料、植物由来原料、化学合成原料、ペプチド原料、発酵由来原料などが含まれ、中でも植物由来原料の割合が高い状況です。

法令が正式施行された場合、企業の対応策

現在改正案は意見募集期間中のため、多くの化粧品業界団体や企業が意見提出を準備しており、正式な条文や付属ガイドラインの発表後、業界全体が受け入れやすい管理ルールに調整される見込みです。ここでは改正案の方向性に基づき、想定される対応業務をご紹介いたします。

まず新規化学物質の登録・届出は製品の生産・輸入前に実施する事前コンプライアンス手続きです。今回の改正案では従来の届出制度が廃止され、すべて登録制度に統合される予定です。

年間の国内生産・輸入トン数によって登録区分が2種類に分かれています。

  • 通常登録:年間製造・輸入量1トン以上

  • 簡易登録:年間製造・輸入量1トン未満

各登録区分ごとに提出が必要な試験データの要件が定められており、物理化学的性状データ、健康毒性試験データ、生態毒性試験データを整備する必要があります。

このうち健康毒性試験の要求項目は、現在化粧品原料の安全性評価で求められているデータと類似しております。一方、生態毒性試験では、生分解性、水生生物毒性、陸生生物毒性、生体内蓄積性などの試験データを新たに用意する必要が生じます。


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