中国 NMPA、化粧品新原料登録・届出制度を大幅改正|リスク区分緩和・提出資料簡素化

中国 NMPA、化粧品新原料登録・届出制度を大幅改正|リスク区分緩和・提出資料簡素化

2026-07-20
2026年6月25日、中国国家薬品監督管理局(NMPA)は、新版「化粧品新原料登録・届出および資料管理規定」(以下「新規定」)を公布しました。「新規定」は2026年7月15日から施行され、同時に2021年に公布された旧「化粧品新原料登録・届出資料管理規定」(以下「旧規定」)は廃止されます。同日、中国食品薬品検定研究院(NIFDC)は「化粧品新原料登録・届出資料技術通則」(以下「技術通則」)を公表し、同じく2026年7月15日から施行すると発表しました。

今回の改定は、旧規定の施行後初となる大幅な見直しです。「新規定」と「技術通則」は相互に連携しながら、制度上の管理範囲を明確にし、「管理要件」と「技術要件」を分けて整理しました。「新規定」は新原料の登録・届出資料に関する基本要件と管理措置を定め、「技術通則」は具体的な技術要件を定めることを中心とします。これにより、技術要件をより柔軟に改定することが可能となり、業界の発展に即した運用が期待されます。

「技術通則」では、提出資料の要件や登録・届出区分などが複数の点で調整・合理化され、化粧品新原料の登録・届出に関する技術要件が一層明確になりました。本稿では、「技術通則」の主な変更点を解説し、企業が化粧品新原料の登録・届出を進める際の技術的な参考情報を提供します。

5種類の効能原料を低リスク区分へ

「技術通則」は、従来の6区分による分類を引き継ぎつつ、各区分の具体的な条件を調整しました。旧制度で高リスクとされていた効能の範囲は、防腐、日焼け止め、着色、染毛、シミ・美白、抜け毛防止、ニキビケア、シワ改善(物理的作用によるものを除く)、フケ防止、消臭などでしたが、新制度では「防腐、日焼け止め、着色、染毛、シミ・美白」の5種類に限定されました。これは、「化粧品監督管理条例」で登録対象とされている効能範囲と一致します。

抜け毛防止、ニキビケア、シワ改善、フケ防止、消臭の5種類の効能を持つ原料は、高リスク区分から外れました。そのため、生殖発生毒性試験、慢性毒性/発がん性併合試験、ヒト長期使用試験などを一律に実施することは求められません。

新制度と旧制度における区分分類の比較は、以下のとおりです。

区分

技術通則

旧規定

主な変更点

1

防腐、日焼け止め、着色、染毛、シミ・美白の効能を有する新原料。

国内外で初めて使用される、防腐、日焼け止め、着色、染毛、シミ・美白、抜け毛防止、ニキビケア、シワ改善(物理的作用によるものを除く)、フケ防止、消臭の効能を有する新原料、および国内外で初めて使用されるその他の生物活性が高い化粧品新原料。

「抜け毛防止、ニキビケア、シワ改善、フケ防止、消臭」を削除し、これらのリスク区分を引き下げました。

2

防腐、日焼け止め、着色、染毛、シミ・美白の効能を有しない新原料。

国内外で初めて使用される、防腐、日焼け止め、着色、染毛、シミ・美白、抜け毛防止、ニキビケア、シワ改善(物理的作用によるものを除く)、フケ防止、消臭の効能を有しない新原料。

抜け毛防止、ニキビケア、シワ改善、フケ防止、消臭の効能を有する原料は、区分2の要件に基づいて届出できます。

3

防腐、日焼け止め、着色、染毛、シミ・美白の効能を有し、かつ化粧品において3年以上の安全使用歴があることを十分な根拠をもって証明できる新原料。

防腐、日焼け止め、着色、染毛、シミ・美白、抜け毛防止、ニキビケア、シワ改善(物理的作用によるものを除く)、フケ防止、消臭の効能を有しない新原料であり、海外で上市済みの化粧品において3年以上の安全使用歴があることを十分な証拠資料により証明できるもの。

1. 抜け毛防止、ニキビケア、シワ改善、フケ防止、消臭の効能を削除し、リスク区分を引き下げました。

2. 安全使用歴の証拠として認められる範囲を拡大しました。

3. 区分の順序を見直し、高リスク原料を前に配置して区分1と対応させました。

4

防腐、日焼け止め、着色、染毛、シミ・美白の効能を有せず、かつ化粧品において3年以上の安全使用歴があることを十分な根拠により証明できる新原料。

防腐、日焼け止め、着色、染毛、シミ・美白、抜け毛防止、ニキビケア、シワ改善(物理的作用によるものを除く)、フケ防止、消臭の効能を有し、海外で上市済みの化粧品において3年以上の安全使用歴があることを十分な証拠資料により証明できる新原料。

1. 抜け毛防止、ニキビケア、シワ改善、フケ防止、消臭の効能を有し、3年以上の安全使用歴がある新原料は、区分4の要件に基づいて届出できます。

2. 安全使用歴の証拠として認められる範囲を拡大しました。

3. 区分の順序を見直し、中・低リスク原料を後に配置して区分2と対応させました。

5

安全な食経験があることを十分な根拠により証明できる新原料。

安全な食経験を有する化粧品新原料(原料として使用する部位が食用部位と一致すること)。

6

1種類または複数種類の構造単位が共有結合で連結し、平均相対分子量(数平均)が1,000 Daを超え、相対分子量が1,000 Da未満のオリゴマー含有量が10%未満で、構造および性質が安定したポリマー(生物活性が高いものを除く)。

化学合成により、1種類または複数種類の構造単位が共有結合で連結し、平均相対分子量が1,000 Daを超え、相対分子量が1,000 Da未満のオリゴマー含有量が10%未満で、構造および性質が安定したポリマー(生物活性が高い原料を除く)。

原料由来に関する「化学合成」の制限条件を削除し、ポリマーの定義範囲を拡大しました。

既存の安全性情報の活用

「技術通則」は、新原料の実際のリスク水準に応じて安全評価関連の要件を見直しました。安全性評価を前提として、一部の毒性学試験およびヒト長期使用試験を免除・軽減するとともに、既存データの活用を強化しています。

各区分における毒性学資料の要件は、以下のとおりです。

各区分における毒性学資料の要件.png

「技術通則」は、既存の安全性に関する背景情報を十分に活用することを重視しており、安全性評価の要件を満たす場合には、一部の毒性学試験を免除できるとしています。

  • 既存の毒性データの再利用を強化:急性経口毒性または急性経皮毒性について、既存の安全性背景情報から、新原料の急性経口毒性が実質的に無毒、または急性経皮毒性が低毒性以下であることが示される場合、当該毒性学試験を免除できます。また、生殖発生毒性試験および慢性毒性/発がん性併合試験についても、十分な科学的根拠があり、他のデータによって関連する安全性リスクを十分に評価できる場合には、科学的根拠および研究データを提出することで、該当試験を免除できます。

  • 試験方法および試験機関の資格に関する認定範囲を拡大:中国の他の国家標準または国際的に一般に認められた方法に基づいて試験を実施済みの場合、完全な試験報告書を提出し、試験方法の出典を明示する必要があります。さらに、採用した方法と「化粧品安全技術規範」に定める方法との差異、および当該差異が新原料の安全性評価の結論に及ぼす可能性のある影響を項目ごとに分析し、比較分析と関連する科学的根拠資料を提出します。新原料の安全性評価の結論に影響しないことが確認できれば、既存の試験データを利用できます。これに伴い、試験機関の資格要件も調整されました。

  • 動物代替法の利用範囲を拡大:企業は、国際的な権威機関が収載している代替法を用いて試験を実施できるようになります。これにより、国際貿易上の技術的障壁の低減と、化粧品の輸出入促進が期待されます。

区分1に該当する新原料については、すべての原料に「ヒト長期使用試験」を求める制度ではなくなり、シミ・美白効能を有する新原料に限って同試験の要件が維持されます。また、区分3または区分5で登録するシミ・美白効能の新原料について、100名以上の消費者が当該新原料を含む化粧品を1年以上継続使用した安全使用情報を提出できない場合には、ヒト長期使用試験資料を追加提出する必要があります。

原料分類の明確化

「技術通則」は、原料の由来と物質特性に基づき、より詳細なマトリックス型の資料要件を設定しました。原料は、化学合成由来、天然由来(植物、動物、鉱物に細分化)、バイオテクノロジー由来、その他の4種類に明確に分類されます。さらに、各分類の中で「単一化合物」と「混合物(ポリマーを含む)」を区別し、原料タイプごとの固有リスクに応じた資料提出要件を定めています。このマトリックス型の管理により、企業は技術通則に示された各原料分類の要件と照合しながら、自社原料に必要な資料をより正確に準備できます。

資料提出の簡素化

「技術通則」は、提出資料の要件を大幅に合理化し、従来は申請資料一式への添付が必要だった多くの技術資料について、企業が社内で保管し、当局の確認に備え、企業側が保管する方式に変更されました。

  • 効能:防腐、日焼け止め、着色、染毛、シミ・美白、抜け毛防止の6種類の効能を除き、その他の使用目的に関する効能根拠資料は、企業が社内で保管し、当局の確認に備えます。

  • 品質規格:原料の含有量/純度、指標成分、安全性リスク物質など、新原料の品質・安全性と密接に関係する指標を除き、その他の指標に関する試験方法の文書およびバリデーション資料は、申請資料への添付が一律には求められず、社内保管に変更されます。

  • 物理化学的性質および化学組成:新原料について必要な物理化学的研究を実施し、化学組成を十分に研究・分析する必要がありますが、関連研究資料は社内で保管し、当局の確認に備えることができます。

  • 安定性:基礎的な安定性研究により原料の安定性が良好であることが確認されている場合、または特定の保管条件や注意事項などによって関連する安全性リスクを有効に管理できる場合、加速試験および長期安定性試験の資料は社内保管とすることができます。3年間のモニタリング期間が終了する際、登録者・届出者は最終年度報告書において、新原料の実際の使用における安定性の状況を説明する必要があります。

  • 製造工程:製造に使用する原材料、主要工程、新原料の品質・安全性評価と密接に関係する工程パラメータを除き、詳細な製造工程、具体的なパラメータ、製造記録などは社内で保管し、当局の確認に備えます。

以上のとおり、効能根拠資料、一部の試験方法文書およびバリデーション資料、加速試験・長期安定性試験資料など、一部の登録・届出資料は提出不要となり、企業が保管する方式へ変更されました。一方で、「技術通則」は提出要件を簡素化しながらも、企業の主体的責任をより明確にしています。企業は引き続き必要な安全性評価を漏れなく実施し、すべての原資料が真正、完全かつ追跡可能であり、当局の求めに応じていつでも提示できる状態を確保しなければなりません。この見直しは、規制当局が安全確保の下限基準を維持しつつ、企業にとってより利便性と効率の高い申請ルートを整備するものです。

追加要件の明確化

資料提出を簡素化する一方で、「技術通則」は化粧品新原料の登録・届出資料について、いくつかの新たな要件も定めました。REACH24Hでは、企業の参考となるよう主な追加要件を以下のとおり整理しました。

原料名称および命名根拠

  • 中国語名称:原料の由来、製造工程、組成などに基づいて名称を設定し、命名根拠を添付します。

  • 英語名称:中国語名称を参照して設定します。

  • INCI名称:「国際化粧品成分辞典とハンドブック」に収載されている場合は、INCI名称および関連根拠を提出できます。届出後にINCI名称を追加する場合は、「化粧品新原料届出情報更新技術ガイドライン」に基づき、情報の変更または更新を行うことができます。

  • 化学名称:明確な化学構造を有する場合、化学物質の命名原則に従って化学名称を提出し、置換位置などの重要情報を示す必要があります。

複数ロットの原料品質規格試験報告書

品質規格と照合し、3ロットの新原料に関する試験報告書を提出するとともに、品質規格への適合状況およびロット間の安定性を分析・説明する必要があります。

安全性に関する背景情報

区分1または区分2として登録申請または届出を行う新原料について、既存の安全性背景情報を収集・検討する必要があります。具体的には、新規化学物質に該当するか、既存の分類・懸念情報(危険化学品の分類、GHS分類、内分泌かく乱物質に該当するかなど)、その他の既存毒性学資料、臨床研究、集団疫学調査、類似化合物の毒性情報などを確認します(具体的な項目は表3を参照)。関連研究資料は企業が社内で保管し、当局の確認に備えます。

区分1または区分2として登録申請または届出を行う植物抽出物などの複雑な混合物については、原料組成の研究結果を踏まえて合理的に分析する必要があります。一定の割合を占める一方で安全性情報が不足している成分については、必要な研究を実施し、安全性背景情報の一覧表を提出します。

区分6として登録申請または届出を行う新原料について、ポリマーを構成するモノマー単位の相対分子量が1,000 Da未満であり、かつ中国で化粧品原料として使用された実績がない場合、上記要件を参照し、ポリマーのモノマー単位に関する既存の安全性背景情報を提出する必要があります。

安全性背景情報.png

「技術通則」は、一方で原料の申請資料に関する提出要件を大幅に合理化し、手続上の負担を軽減しています。他方で、化学組成、品質規格、安全性背景情報、リスク判断などの重要な工程については、技術要件を強化し、企業の主体的責任をより明確にしました。企業は原料イノベーションを加速させると同時に、研究開発の深度と品質管理の両面で、これまで以上に高い水準を確保する必要があります。


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