中国NMPA、化粧品登録・届出制度が最適化!動物実験・データ共有・先行発売などのメリット

中国NMPA、化粧品登録・届出制度が最適化!動物実験・データ共有・先行発売などのメリット

2026-08-04

2026年7月29日、中国国家薬品監督管理局(NMPA)は、「化粧品の登録・届出に関する事項の公告(2026年第70号)」(以下「公告第70号」)を公布しました。本公告は、2025年に公表された「国家薬品監督管理局による化粧品規制改革の深化と業界の高品質な発展の促進に関する意見」を実行するための中核的な関連文書です。動物実験の免除・削減、提出資料の合理化、上市までの期間短縮など、企業にとって複数のメリットをもたらす制度改正が盛り込まれています。

以下では、今回の制度改革において企業が押さえておくべき5つの重要なポイントを解説します。

中国における動物実験免除の対象をさらに拡大

中国では、化粧品に関する動物実験の免除・削減が一段と加速しています。公告第70号では、免除対象となる製品カテゴリーが明確に示されました。

新たに免除対象となる製品

  • パーマ用特殊化粧品

  • 非酸化型染毛特殊化粧品

  • シミなどを物理的に覆う効果のみを有する美白特殊化粧品

  • 新原料配合の一般化粧品(子ども用化粧品を除く)

免除を受けるための前提条件

  • 製造企業が、所在国・地域の政府主管部門から発行された、製造品質管理体系関連の適格証明書を取得していること

  • 製品の安全リスク評価により、製品の安全性を十分に確認できること

改正のメリット

今回の措置は、国際的な動物実験の3R原則、すなわち「代替法の活用(Replacement)」「使用数の削減(Reduction)」「苦痛の軽減(Refinement)」に沿ったものです。申請段階における企業の費用負担と所要期間を大幅に削減し、革新的な製品の迅速な上市につながることが期待されます。

また、公告第70号では、免除対象を継続的に見直す仕組みも導入されました。科学研究の進展に応じて、国家薬品監督管理局の化粧品技術審査部門は、技術ガイドラインを策定することにより、動物実験の免除・削減対象となる製品範囲を適時調整できます。

今後、代替毒性試験法の成熟に伴い、免除対象がさらに拡大する可能性があります。企業にとっては、今後も継続的な制度改善を見込める内容であり、革新的な製品をより迅速に市場へ投入するための後押しとなります。

中国における類似処方製品におけるデータ共有

公告第70号では、同一シリーズで色調のみが異なる製品を念頭に、処方体系が類似する製品について、安全性試験データおよび効能評価データを共有できる制度が導入されました。

正式版と意見募集稿を比較すると、正式版では「処方体系が類似する製品」の判定範囲が大幅に拡大され、より多くの製品カテゴリーが対象となりました。一方で、安全性評価報告書をそのまま共有する仕組みは削除され、科学的原則に基づき、製品ごとに必要な評価を行うことがより明確に求められています。

表1 類似処方製品の安全性技術資料

項目

正式版

意見募集稿

主な相違点

類似処方

製品の定義

処方中、着色剤、香料、pH調整剤、高分子ポリマー系増粘剤、パール剤の種類・含有量、およびそれらの変更に伴って調整される溶媒・充填剤の含有量のみが異なり、その他の処方成分の種類・含有量、製品の剤形および使用方法が同一である製品を指します。

処方中、着色剤および香料の種類・含有量、ならびにそれらの変更に伴って調整される成分の含有量のみが異なり、基本処方の成分の種類・含有量、製品の剤形および使用方法が同一である製品を指します。

正式版では、pH調整剤、高分子ポリマー系増粘剤およびパール剤の種類・含有量の相違に加え、それらに対応する溶媒・充填剤の含有量の相違も類似処方の範囲に含まれました。

共有可能

な資料

微生物学的・理化学的試験

毒性試験

ヒト安全性試験

微生物学的・理化学的試験

毒性試験

ヒト安全性試験

安全性評価

正式版では、安全性評価報告書をそのまま共有可能とする規定は削除されました。安全性評価報告書については、「化粧品安全性評価技術ガイドライン」の「類似製品の評価原則」に従い、原料、リスク物質、安定性、防腐効果および包装材との適合性などを含む包括的な安全性評価を行うことが求められます。

追加資料

1. 代表製品としての妥当性に関する説明

2. 処方体系の類似性に関する説明

3. 共有する試験・評価報告書の科学性および合理性を評価・確認した資料

1. 代表製品としての妥当性に関する説明

2. 処方体系の類似性に関する説明

3. 相違する着色剤または香料成分の安全性評価

4. 共有する試験・評価報告書の科学性および合理性を評価・確認した資料

製造場所が

異なる場合

製造場所が異なる場合は、各工場について代表製品を選定し、微生物学的・理化学的試験を実施します。

毒性試験およびヒト安全性試験の報告書は共有できます。

微生物学的・理化学的試験を改めて実施します。

毒性試験、ヒト安全性試験および安全性評価などの試験・評価報告書は共有できます。

正式版では、製造場所が異なる場合、それぞれの製造場所で微生物学的・理化学的試験を行う必要があることが、より明確になりました。

表2 類似処方製品の効能評価データの共有

項目

正式版

意見募集稿

主な相違点

類似処方

製品の定義

処方中、着色剤、香料、防腐剤、pH調整剤、高分子ポリマー系増粘剤、パール剤の種類・含有量、およびそれらの変更に伴って調整される溶媒・充填剤の含有量のみが異なり、その他の処方成分の種類・含有量、製品の剤形および使用方法が同一である製品を指します。

処方中、着色剤、香料および防腐剤の種類・含有量、ならびにそれらの変更に伴って調整される成分の含有量のみが異なり、基本処方の成分の種類・含有量、製品の剤形および使用方法が同一である製品を指します。

正式版では、pH調整剤、高分子ポリマー系増粘剤およびパール剤の種類・含有量の相違に加え、それらに対応する溶媒・充填剤の含有量の相違も類似処方の範囲に含まれました。

共有可能

な資料

代表製品の効能表示評価データを共有できます。

効能表示評価試験資料の概要を公表する際には、試データを共有している旨を説明する必要があります。

なし

追加資料

一般的な効能の場合:効能表示評価試験報告書、処方体系の類似性に関する説明、同等性評価などの関連資料を、企業が自ら保管し、当局の確認に備えます。

特殊化粧品の効能の場合(美白・日焼け止め・抜け毛防止):効能表示評価試験資料・処方体系の類似性に関する説明

なし

改正のメリット

この措置は、口紅、チーク、アイシャドウなどのメイクアップ製品や、同一シリーズの香水などに直接的なメリットをもたらします。関連試験にかかる費用を大幅に削減し、新製品の上市期間を短縮できるため、企業はファッショントレンドをより的確に捉えやすくなります。

また、公告第70号では、類似処方製品の判定範囲についても継続的に見直す仕組みが設けられました。科学研究の進展に応じて、国家薬品監督管理局の化粧品技術審査部門は、技術ガイドラインの策定を通じて、類似処方製品として認められる範囲を適時調整できます。

中国における原料安全性情報を企業による「自社保管」へ変更

公告第70号では、原料安全性情報に関する申請資料の簡素化が行われました。製品の登録・届出時に、原料安全性情報資料および原料安全性情報の届出コードを入力する必要がなくなります。

意見募集稿と比較すると、正式版では、入力が免除される項目と引き続き入力が必要な項目が明確になりました。また、必要資料の提出方法が追加され、原料製造業者や原料の品質規格に変更が生じた場合には、情報更新または変更申請を行う必要があることも明確にされています。

新制度の主な要求事項

申請資料の簡素化

原料安全性情報は、企業が自ら保管し、当局による確認に備える方式へ変更されます。製品の登録・届出時には、原則として原料製造業者の名称のみを入力します。

重要な品質規格に関する例外的な提出要件

「化粧品安全技術規範」などの技術文書において、原料の品質規格に関する要求が定められている場合、登録者・届出者は、製品処方欄または安全性評価資料に、当該原料の品質規格または試験報告書を提出する必要があります。

登録・届出済み製品に関する継続的な情報更新

① 企業による情報更新

登録・届出済み製品について、原料製造業者が追加・変更された場合、または原料の品質規格が追加・変更された場合であっても、処方中の原料含有量、および原料を構成する具体的な成分の種類・比率に変更がない場合には、登録・届出情報プラットフォームを通じて、原料製造業者の情報を企業が自ら更新します。

② 変更申請

以下のいずれかに該当する場合は、関連要求に従って変更申請を行う必要があります。

  • 処方中の原料含有量、原料中の主要機能成分の含有量および溶媒に変更はないものの、原料の品質を確保するために添加される微量の安定剤、酸化防止剤、防腐剤などについて、その種類または含有量が変更された場合

  • 製造工程の最適化などにより、主要機能成分の純度が高くなった場合

改正のメリット

企業の申請負担を大幅に軽減

原料安全性情報の届出コードを取得し、製品情報と関連付けるための煩雑な手続きや待機時間が不要となります。これにより、登録・届出時に企業が提出する資料の負担が大幅に軽減されます。

主体的責任を明確化

規制の考え方が転換され、品質・安全確保に関する主体的責任は登録者・届出者に帰属することとなります。企業には、原料サプライチェーンに関する社内管理体制を一層整備することが期待されます。

業界全体の効率を向上

新製品の上市準備に要する期間が短縮され、企業は市場ニーズにより迅速に対応できるようになります。これにより、化粧品産業の質の高い発展が後押しされます。

製造拠点の国境間移転と中国国内責任者の変更を簡素化

国境を越えた製造場所の移転に関する要件を緩和

登録・届出済み製品について、製造場所を国境を越えて移転または追加する場合、例えば輸入製品を中国国内生産へ切り替える場合であっても、以下の条件を満たせば、従来の試験・評価報告書を共有できます。

  • 登録者・届出者に変更がないこと

  • 製品名称に変更がないこと

  • 処方に変更がないこと

  • 適用する製品基準に実質的な変更がないこと

共有できる資料には、毒性試験、ヒト安全性試験、安全性評価および効能評価などの試験・評価報告書が含まれます。

新たな製造場所については、微生物学的・理化学的試験のみを実施すればよいことになります。

中国国内責任者の変更を企業が自主的に決定可能

中国国内責任者を変更する際に従来求められていた、旧中国国内責任者の押印済み同意書や裁判文書などの提出要件が撤廃されます。

変更時に必要となる主な資料は、以下のとおりです。

  • 公証を受けた授権書

  • 対象製品リスト

  • 各製品に関する責任を引き受ける旨の誓約書

「登録者届出者」および「中国国内責任者」は、中国向け化粧品輸出制度に関する日本の公的資料でも用いられている表記です。

改正のメリット

今回の改革により、国境を越えて製造場所を移転する製品について、登録・届出資料の要求が大幅に簡素化されます。生産要素の国際的な移動が円滑になり、対外開放の拡大や外国企業による投資の促進につながるとともに、貿易障壁による影響を抑える効果も見込まれます。

また、中国国内責任者を変更する際に、旧責任者の押印済み同意書を求める要件が撤廃されたことで、ブランド企業と中国国内の代理事業者が提携関係を終了・変更する際の手続上の障壁が解消されます。

これにより、企業は市場環境や事業戦略の変化に応じて、中国国内責任者の変更をより自主的に判断できるようになります。

世界の新製品の「中国先行発売」を後押し

中国の化粧品分野における先行発売市場を育成するため、公告第70号では、海外の新製品を中国にて世界先行発売、または中国と他国・地域で同時上市する場合について、以下の措置を定めています。

自由販売証明書(CFS)の提出を免除

登録者・届出者の所在国、または製品の生産国・地域において、すでに販売されていることを証明する書類を提出する必要がなくなります。登録者・届出者は、当該製品を中国で先行発売する旨の誓約書を提出すればよいことになります。

販売包装資料の提出方法を柔軟化

登録・届出時に提出する生産国・地域向けの販売包装資料については、完成実物に限らず、デザイン図での提出が認められます。これにより資料準備期間を大幅に短縮可能です。

改正のメリット

この改革により、世界の新製品を中国市場へ導入する際に生じていた制度上のタイムラグが実質的に解消されます。意見募集稿と比較すると、正式版では「処方および製造工程の革新性に関する説明資料」の提出要件が削除されました。企業は、中国先行発売に関する誓約書を提出することで、この措置を利用できます。これは、中国市場への新製品投入を検討する世界の化粧品企業に対して、積極的かつ明確なメッセージを発信するものです。

REACH24Hからのアドバイス

公告第70号では、動物実験の免除・削減、試験データの共有、国境を越えた製造場所の移転手続きの簡素化など、実務に即した複数の改革措置が導入されました。

これらの措置により、企業は費用と時間を節約できるだけでなく、世界の新製品を中国市場へ導入する際のハードルを引き下げることができます。また、ブランド企業による研究開発や製品上市を迅速化するうえで、従来の障害となっていた手続きの解消にもつながります。

今後、これらの制度上のメリットは、企業の研究開発・申請負担および生産・事業運営コストをさらに軽減し、化粧品産業のイノベーションを一層促進すると考えられます。

ブランド企業は、今回の政策要件を速やかに把握し、自社製品への適用可能性を整理・確認することが重要です。安全性を確保するという基本原則を堅持したうえで、今回の制度改正によるメリットを市場競争力の向上につなげることをお勧めします。

関連記事:

中国 NMPA、化粧品新原料登録・届出制度を大幅改正|リスク区分緩和・提出資料簡素化

中国化粧品NMPA登録・届出サービス | 普通化粧品の届出と特殊化粧品の登録

中国シミ・美白化粧品のNMPA登録サービス

中国|日焼け止め化粧品のコンプライアンス:注意すべき要点

規制に関する詳細については、お問い合わせください。
お問い合わせフォーム