「使用済み化粧品原料リスト」の動的調整メカニズムが正式導入:1号、3号新規原料がリストIIに追加
2025-07-02

2025年6月24日、中国国家薬品監督管理局(NMPA)は2025年第61号公告「使用済み化粧品原料リスト」管理に関する事項の公告を発表し、「使用済み化粧品原料リスト」(以下、「リスト」と略)の管理方法に重要な変更を加えました:

「使用済化粧品原料リスト」管理方法の調整

1. 「リスト」の動的管理
今後「リスト」を動的に調整していくことを明確にするため、2025年6月24日より、「リスト」は公告形式での発表を終了し、更新後の「リスト」および「リスト」調整の説明は、NMPAウェブサイトを通じて適時に公開されます。また、NMPA公式ウェブサイトの「化粧品検索」セクションに、「使用済み化粧品原料リスト」の検索チャネルが追加されました。


『使用済み化粧品原料リスト』I の検索インターフェース


『使用済み化粧品原料リスト』II の検索インターフェース


2. 新規原料を「リスト」IIに追加

化粧品の新規原料は、「リスト」IIの設立を通じて「リスト」に追加されることが明確化されました。登録・届出済みの化粧品新規原料は、3年間の安全モニタリング期間が満了後、関連法規の要求に適合すると評価された場合、今後は「リスト」IIに一括追加されます。

同日付でNMPAが同時に発表した通知では、武漢中科光谷緑色生物技術有限会社(Wuhan CASOV Green Biotechnology Co.,Ltd.)が届け出たN-Acetylneuraminic acid(N-アセチルノイラミン酸)(国粧原備字20210001)および深圳市維琪医薬研発有限会社(Shenzhen Winkey Technology Co., Ltd )が届け出たbeta-alanyl hydroxyprolyldiaminobutyroyl benzylamide(β-アラニルヒドロキシプロリルジアミノブチロイルベンジルアミド)(国粧原備字20210003)の2つの原料が、「リスト」IIに追加されました。

3. 「過去最大使用量」項目の廃止

「リスト」I において、「製品の過去最大使用量」の項目は廃止されました。

なお、公告では「リスト」I に対する一部の調整の説明も発表され、以下のような内容が含まれます:

番号01371を含む7つの原料について、その中国語名またはINCI名/英語名を統一・標準化すること。

『化粧品安全技術規範』 に基づき、番号04696、08970を含む原料に付記されている「使用禁止」に関する備考内容の記述を、それに応じて調整すること。

『使用済み化粧品原料リスト』調整の意義

今回の調整後、「リスト」の一部の補足、充実、誤記修正はより柔軟に行われるようになり、従来のようにエクセルで完全なリストを公開する方法よりも頻繁になると見込まれます。企業はNMPAによる「リスト」更新情報に注目し、自社の内部原料データベースを更新する必要があります。

さらに、新規原料が3年間のモニタリング期間の要件を完了した後、いかにして「リスト」に組み入れられるかという道筋を明確化したことは、今回の公告のもう一つの重要な意義です。

2021年1月1日に施行された『化粧品監督管理条例』(以下、「条例」と略)第14条では、新規原料が登録・届出され、投入使用後3年間、新規原料の登録者・届出者は、毎年、薬品監督管理部門に対し、当該新規原料の使用状況および安全状況を報告する義務があります。また、3年間のモニタリング期間中に安全上の問題が発生しなかった化粧品新規原料は、国務院薬品監督管理部門が定める「リスト」に追加されることになります。

『条例』公布以降、化粧品監督部門も、3年間のモニタリング期間が満了後の新規原料の安全性評価方法、「リスト」への追加方法、そしてリストに記載すべき新規原料に関する情報の内容について、複数回にわたる検討と議論を重ねてきたと考えられます。そして最終的に、現在のこの追加経路が導き出されました。

「リスト」II の利用についての考察

「リスト」II において、表の見出し項目には以下のような内容が含まれます:

  • 番号

  • 中国語名称

  • INCI名

  • 英語名

  • CAS番号

  • 原料分子式

  • 化学構造式

  • 相対分子量

  • 使用目的

  • 使用範囲

  • 使用量

  • 備考欄


ここから、新規原料に関する化学的特性情報の提示が非常に詳細であることがわかります。同時に、新規原料の登録・届出時に実施される安全性評価は、具体的な使用目的、使用範囲、使用量を基礎として行われるため、この点においても非常に具体的な情報が提供されています。

しかし、原料の製造プロセス(製法)に関しては、厳格な限定条件は設けられていません。 「説明」には、以下のような事項のみが記載されています:

「原料の由来、製造プロセス等が、原料の物質的基盤または品質安全に実質的な影響を及ぼす場合には、実際の状況に基づいて備考欄に注記します。例えば、当該原料の種類、使用部位、製造プロセスの概要、菌株の由来、細胞の由来等」。

武漢中科光谷緑色生物技術有限会社と深圳市維琪医薬研発有限会社の2つの新規原料の届出時に公開された技術要求に基づき、N-アセチルノイラミン酸は大腸菌発酵プロセス(Escherichia coli fermentation process)を用い、β-アラニルヒドロキシプロリルジアミノブチロイルベンジルアミドは化学合成プロセス(chemical synthesis process)を用いています。現時点で、これら2つの原料は「リスト」II上の記載には、具体的な製造プロセス要件は示されていません。

粧研によれば、 この2つの原料は、「リスト」IIが定める使用目的および 使用範囲の要求さえ満たせば、現在公表されている安全使用量に基づき、使用済み原料として化粧品製品に使用することが可能であると考えられます。

新規原料が「リスト」に追加する意義

新規原料を届け出た企業に対して、その原料が『リスト』に追加されることには、主に以下の2つのメリットがあるとREACH24Hは考えています。:

  1. モニタリング期間関連業務の免除;

  2. 川下化粧品メーカーに対する毒物学試験報告の免除。

全体として、新規原料の市場販売にとって明らかに有利です。武漢中科光谷緑色生物技術有限会社と深圳市維琪医薬研発有限会社の両社は、モニタリング期間中に、NMPAと連携し、安全性モニタリング資料の準備方法や評価方法について積極的な検討を行ってきたものと考えられます。新規原料の届出および新規原料の「リスト」追加の面において、両社はまさに先駆者と呼ぶにふさわしい企業です。

今後、より多くの届出済み新規原料が順調に「リスト」に追加され、中国国内の化粧品研究開発により多くの原料選択肢を提供することを期待しています。

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