5月が過ぎ、グローバルな化粧品規制にはどのような新しい動きがあったのでしょうか?ご覧ください
欧州
1. EU SCCSがブチルパラベンに関する最終意見を発表
2025年5月2日、EU消費者安全科学委員会(SCCS)は、ブチルパラベンに関する最終意見(SCCS/1674/25)を発表しました。
SCCSは、今回の曝露評価に含まれるすべての化粧品について、0.5歳~1歳、1歳~3歳、3歳~6歳、6歳~10歳の子どもがブチルパラベンを防腐剤として使用する場合、酸として計算した最大濃度が0.14%を超える時、複数製品を併用した際に安全ではないと判断しました。ボディーローションの他、該当する製品カテゴリにおいて、単一の皮膚用製品または口腔用製品の使用は安全です。また、濃度を引き下げた場合には、単品使用でも併用でも、すべての年齢層および評価された対象製品で安全であるとされています。
2. EU SCCSがサリチル酸に関する最終意見を発表
2025年5月2日、EU SCCSはサリチル酸に関する最終意見(SCCS/1675/25)を発表しました。
SCCSは、3歳~10歳の子どもに対しては、ボディーローションを除き、サリチル酸は単一の皮膚用製品または口腔用製品カテゴリで単独使用される場合にのみ安全です。同時に、洗い流し製品ではサリチル酸濃度を0.5%に、残留製品では0.15%、口腔ケア製品では0.1%に下げることを推奨しています。これらの濃度で使用する場合、3歳~10歳の子どもにとって安全であるとされています。
3. EU SCCSがサリチル酸メチルに関する初期意見を発表
2025年5月2日、EU SCCSはサリチル酸メチルの子どもへの曝露に関する評価意見(SCCS/1676/25)を発表し、SCCS/1654/23を正式に修正しました。SCCSは、サリチル酸メチルを0歳~3歳の子ども向け製品に使用する場合、歯磨き粉では濃度が0.4%を超えず、その他製品では0.02%を超えない場合に限り、安全であると判断しました。
4. EUが化粧品成分リストを改訂、CMR物質に関する変更
2025年5月12日、欧州委員会は(EU) 2025/877規則を公布し、EU化粧品規則(EC) No 1223/2009の附属書II(使用禁止)および附属書III(使用制限)を正式に改訂しました。CLP規則(EC) No 1272/2008に基づき新たに特定された発がん性、変異原性または生殖毒性(CMR)物質20品目以上が禁止リストに追加されました。本規則は2025年9月1日から施行されます。
5. EUが化粧品成分リストの改訂を予定
2025年5月21日、欧州委員会は世界貿易機関(WTO)にG/TBT/N/EU/1140号届出を提出し、(EC) No 1223/2009(EU化粧品規則)の改訂を予定していると表明しました。今回の改訂では、附属書II(禁止)、附属書III(制限)、附属書IV(化粧品への使用が許可される着色剤リスト)、附属書V(化粧品への使用が許可される防腐剤リスト)が対象となります。
主に2024年6月に改訂された(EC) No 1272/2008(EU CLP規則)附属書VIに明記されたCMR物質が新たに追加される予定です。本規則は2026年第1四半期に可決・施行される見込みです。
6. EUが2026年第1四半期までに「動物実験ゼロ」行動計画を策定予定
2025年5月27日、欧州委員会の執行副委員長であるセジュルネ氏は、欧州市民イニシアティブ(ECI)による「化粧品の動物実験禁止を守るため」への対応として、EU委員会が最遅でも2026年第1四半期までにロードマップを完成させる予定であると表明しました。
ロードマップの発表後は、新たな評価手法 (NAMs:New Approach Methodologies)がREACH規則を含む15の動物実験を要求する立法分野において導入され、EUの化学物質規制全体に大きな影響を及ぼすと見込まれます。
7. 英国がベンゾフェノン-3の使用制限を改訂
2025年5月8日、英国は世界貿易機関(WTO)にゆ届出(G/TBT/N/GBR/102)を提出し、化粧品中のベンゾフェノン-3(Benzophenone-3)の使用条件を改訂すると示しました。
草案が採択された場合、2026年1月21日に正式施行され、ベンゾフェノン-3を含む製品に対しては経過措置がとられます。規定により、2026年1月21日以前に市場に販売された製品は、2026年7月21日まで販売可能です。
8. 英国SAG-CSがホルムアルデヒド放出剤に関する最終意見を発表
2025年5月、英国の消費者製品の化学物質の安全性に関する科学諮問グループ(Scientific Advisory Group on Chemical Safety in Consumer Products, SAG-CS)は、ホルムアルデヒド放出剤に関する最終意見(SAG-CS opinion 16)を発表しました。この意見では、ホルムアルデヒド放出剤のラベル表示閾値に関する評価が行われました。
SAG-CSは、残留型または洗い流し型製品を使用する際、防腐剤としてのホルムアルデヒド放出剤のラベル表示閾値を10 mg/kg(10 ppm)または0.001%とすることが、消費者保護において合理的であると判断しました。
9. 英国SAG-CSがホモサレートに関する評価意見を発表
2025年5月、英国SAG-CSは化粧品における紫外線吸収剤ホモサレートの使用に関する評価意見(SAG-CS opinion 17)を発表しました。SAG-CSは、日焼け止め製品中のホモサレートの最大使用濃度が10%である場合、安全だと判断しました。
10. 英国SAG-CSが4-MBCに関する初期意見を発表
2025年5月、英国SAG-CSは、紫外線吸収剤4-メチルベンジリデンカンファー(4-MBC)の化粧品における使用について評価意見(SAG-CS opinion 18)を発表しました。審査可能なデータが限られており、遺伝毒性および内分泌かく乱の潜在的リスクも考慮した上で、SAG-CSは、日焼け止め製品やその他の化粧品における4-MBCの使用安全性を確認できないと判断しました。
北米
1. 米国カリフォルニア州が12種の酸・アルカリ類を「候補化学物質リスト」に追加
2025年4月24日、米国カリフォルニア州有害物質規制部(DTSC)は、12種類の酸・アルカリ類物質を「認可候補リスト(Candidate Chemicals List)」に追加すると発表しました。これらの化学物質はパーソナルケア製品や洗浄製品に広く使用されており、皮膚のやけど、眼の損傷、呼吸器への刺激を引き起こす可能性があるとされ、一部の物質は生殖毒性や発達毒性も有すると指摘されています。特に子ども、美容業界従事者、清掃作業者などの敏感性が高い集団において、曝露リスクが高まるとされています。意見募集はすでに終了しました。
2. カナダが化粧品成分ホットリストの改訂を予定
2025年5月14日、カナダ保健省は、化粧品成分ホットリスト(Hotlist)を改訂する予定であると発表しました。今回の改訂では、新たに3成分を追加し、4成分の使用要件を修正する予定です。
3. 米国FDAが83件の化粧品の輸入を拒否
2025年4月、米国食品医薬品局(FDA)は、14か国から輸入された83件の化粧品の輸入を拒否しました。
拒否件数が最も多かった国は中国本土(17件)、続いてポルトガル(12件)、カナダとインドが同数(各9件)で第3位でした。中でもスキンケア製品の比率が最も高く、次いでメイクアップおよびヘアケア製品でした。主な違反理由は、新薬申請手続きの未実施、着色剤の使用、ラベル表示の不備などでした。
通知対象製品について、通報対象者がその適合性を証明できず、是正措置の計画も提出できなかった場合、FDAは「最終通知(final notice)」を発出し、製品は返送または廃棄される可能性があります。
南米
ブラジルが化粧品登録申請の補足資料受理要件を明確化
2025年5月29日、ブラジル国家衛生監督庁(Anvisa)は、化粧品登録申請に関する補足資料(addenda)の受理要件に関する新基準を公布しました。審査プロセスの効率化を目的としており、規則は2025年6月9日より施行されます。
新基準によれば、Anvisaが正式な技術審査手続をまだ開始していない場合に限り、補足資料の提出が受理されます。申請ステータスが「審査中(Under Analysis)」に変更されると、審査プロセスの妨げを避けるため、新たな資料の提出は受理されません。
アジア
1. 中国台湾地区が香料および防腐剤成分の検査方法を発表
2025年4月10日、中国台湾地区は「化粧品中の特定香料成分の検査に関する推奨検査法リスト」を発表しました。これは15種類の香料成分の検査に適用されます。
また、5月21日には、「化粧品中防腐剤の検査方法(第六版)」を発表し、15種類の防腐剤成分の検査に適用されます。
2. タイが二酸化チタンを含む化粧品に対する規制要件を新設
2025年4月21日、タイ食品医薬品局(Thai FDA)は、粉末状の二酸化チタン(Titanium Dioxide)を含み、吸入リスクがある化粧品に対し、新たな規制要件を発表しました。
新しい規制は、粉末状の二酸化チタンで、含有量が1%以上かつ空気力学的粒径が10マイクロメートル以下の粒子を含み、吸入リスクのある化粧品に適用されます。具体的には以下が含まれます:パウダー/粉塵/フレーク状の化粧品、加圧スプレー製品(例:エアゾール)、非加圧スプレー製品です。
製造業者または輸入業者は、以下のコンプライアンス対応を行う必要があります:
使用する二酸化チタンの物理的形態を識別・確認します。
製品が3件の部長級公告におけるすべての適用要件を満たしていることを保証します。
製品情報ファイル(PIF)に関連原料情報を保存し、規制当局の確認に備えます。
3. インドネシアが化粧品の安全性・品質・有効性評価申請資料の要件改訂を予定
2025年4月29日、インドネシア国家医薬品食品監督庁(BPOM)は、化粧品の安全性・品質・有効性評価に関する申請資料の要件を改訂すると発表しました。
改訂内容には、申請の一般要件、資料提出プロセス、評価期間が含まれており、申請者および資料の明確化、「迅速評価ルート」の導入、通常評価および迅速評価の所要時間が明示されています。
4. タイがヘルスプロダクト(化粧品含む)の電子証明書システムを導入
2025年5月1日より、タイ食品医薬品局(Thai FDA)は、化粧品、食品、医療機器などのヘルスプロダクトに対して、電子証明書(e-Certificate)システムの正式運用を開始しました。
電子認証手続きは既存のe-Submissionプラットフォーム上で行われ、電子署名(e-Signature)と電子証明書検証システム(e-Certificate Verification System)が統合されています。企業が新システムに円滑に移行できるよう、Thai FDAは公式ウェブサイトにおいて、操作マニュアル、電子証明書テンプレート、検証手順ガイドなどの各種支援資料を提供しています。
5. マレーシア、ハラール認証申請の電子化を実施
2025年5月8日、マレーシア・イスラム開発局(JAKIM)は、2025年5月5日より、マレーシア・ハラール認証証明書(SPHM)の電子化(e-Cert)を正式に実施したと発表しました。すべてのSPHM申請で、JAKIM、州イスラム宗教評議会(MAIN)、または州イスラム宗教局(JAIN)のハラール認証審査委員会により承認されたものについては、MYeHALALシステムを通じて電子的に証明書が発行されます。承認された企業は、自身でオンライン上からハラール認証証明書を印刷することができます。紙媒体の証明書が必要な場合は、別途料金が発生します。
6. ベトナムが『化粧品管理条例(草案)』を発表
2025年5月15日、ベトナム保健省(MoH)は『化粧品管理条例(草案)』を発表しました。本草案は、化粧品関連規制の現代化および業界監督の強化を目的としています。草案には、化粧品の届出、製造、輸出入、PIF(製品情報ファイル)、広告と表示、品質審査、製品リコールなどの内容が含まれています。
REACH24Hの化粧品登録および市場参入進出サービス
中国における化粧品コンプライアンスサービス
化粧品および新原料の登録・届出
歯磨き粉の届出
化粧品・原料・歯磨き粉の安全性評価
毒性および有効性試験のモニタリング
原料データベース構築
原料提出コードの申請
中国国内責任者サービス
カスタマイズ型コンプライアンス研修
化粧品海外進出コンプライアンスサービス
欧米地域:EU、英国、アメリカ
アジア:日本、韓国、ベトナム、インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール
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