アジア太平洋における化学品規制の最新動向と事務対策 2026
2026-02-06

2026年前後、アジア太平洋の各国で化学品管理制度の見直しと法的枠組みの強化が進んでいます。

中国では環境法体系の整備が進展し、化学物質の環境リスク管理制度の上位法的枠組みが整理されつつある一方、韓国ではMSDS制度の改正により情報管理の強化が求められています。また、ベトナム新「化学品法」の施行や、インドにおける製品規制制度の運用見直し、インドネシアにおけるHalal認証の適用期限についても重要な動向が見られます。

REACH24Hでは、これらの法規動向を整理し、規制対応に関する企業の輸出入手続き、文書整備、分類評価、登録義務の履行に関わる実務要件をご紹介します。ご参考になれば幸いです。

中国「生態環境法典」の公表:2026年立法動向と化学物質環境リスク管理制度の強化

2025年に、中国では「生態環境法典(草案)」が公表され、環境法体系の整備が進められています。この法典の編纂は、「新化学物質環境管理登録弁法(生態環境部令第12号)」の上位法的枠組みを明確化するものであり、今後、化学物質の環境リスク管理に関する関連制度の整備が進む見込みです。

これに伴い、これまで上位法の欠如によって制約を受けていた罰則適用についても強化が想定されます。例えば、新規化学物質の未申告や登録義務不履行等に対する罰金水準の引き上げや、操業停止などの行政措置が適用される可能性があります。

REACH24Hからの提案:企業は、新規化学物質の製造、輸入および使用に関する登録義務について、法令に基づく対応を徹底してください。

中国鈍感化爆発物の分類に関する国家標準の公布:2026年7月1日施行へ

2025年6月30日、中国国家標準「GB 30000.30-2025 化学品分類及びラベル安全規範 第30部分:鈍感化爆発物」が正式に公布され、2026年7月1日より施行されます。この標準は、国連GHS第10改訂版と整合し、鈍感化爆発物の定義、分類の考え方、危険有害性区分(全4区分)およびラベル表示要件が示されています。

REACH24Hからの提案:該当製品を扱う企業は、事前に物質の確認および分類評価を実施し、SDSおよびラベル表示内容を更新してください。施行日までに対応を完了することで、分類不備や表示不適合による登録、流通または輸出への影響を回避することが求められます。

中国台湾地区PEC物質:危険有害性・暴露評価情報の提出要件

中国台湾地区当局の最新規定によると、当局が指定した4種類の既存化学物質(三酸化アンチモン、硫酸、トルエン、酸化亜鉛)について標準登録(第2~第4級)を完了している企業では、2026年の対応重点が危険有害性評価および暴露評価情報の提出となります。主な対応事項は以下のとおりです。

  • 危険有害性評価報告書の提出(締切:2026年12月31日):自社で危険有害性評価報告書を作成する企業は、2026年末までに関連資料を提出する必要があります。当局が提供する評価報告書の参考様式を利用する場合、重複提出は不要とされています。

  • 暴露評価情報の更新(締切:2026年12月31日):製造、配方または使用行為に実際に関与、もしくは関与が想定される企業は、既存の登録情報における製造状況、用途および暴露評価情報を更新し、詳細な暴露評価情報シナリオを提出する必要があります。

REACH24Hからの提案:

台湾当局は、既存化学物質の管理対象を段階的に拡大する運用を進めています。現在、第1段階では106物質が対象とされており、国際的な情報収集およびリスクスクリーニングの結果を踏まえ、今後さらに対象物質が追加される見込みです。その際、企業には該当するデータおよび暴露情報の提出が求められます。

また、管理対象の拡大および高リスク物質への対応強化に伴い、当局によるリスク評価および管理要件がさらに厳格化される可能性があり、将来的に危険有害性評価報告書の参考様式が提供されない可能性も示されます。そのため、企業は、社内データの整理およびリスク管理体制の整備を進め、危険有害性および暴露評価に関する対応能力を確保することが重要です。

韓国MSDSの更新:2025年8月7日より施行

韓国雇用労働部は、「化学物質の分類・表示およびMSDSに関する基準」の改正案(MoEL Notice No. 2025-50)を公布し、2025年8月7日より正式に施行します。新基準に基づくMSDSの更新は段階的に進められます。

  • 即時施行(2025年8月7日以降): 新規作成するMSDSは、MSDS第15項の新規法規情報を含め、最新の作成基準(Moel Notice no. 2025-50)を適用する必要があります。

  • 移行期間(2026年6月30日まで): MSDS第15項第3項にK-REACHの法的規制状況を明確に記載する必要があります。2026年7月1日以降は、最新基準に準拠した作成しなければなりません。

REACH24Hからの提案:企業は、関連法規情報を適時更新するとともに、MSDSの管理体制を整備することで各適用時点までに対応を完了してください。これにより、書類不備による流通上の支障や規制対応上のリスクを回避することが求められます。

ベトナム新「化学品法」の施行:対越化学品輸出に関する対応事項

ベトナム新「化学品法」(69/2025/QH15)は2026年1月1日より施行されました。これに対して、企業は以下の点に対応する必要があります。

  • 輸入申告範囲の拡大およびベトナム語SDSの提出:従来の「申告対象化学品リスト」は廃止され、免除物質を除くすべての輸入化学品について、国家シングルウィンドウ(NSW)を通じた申告が必要となります。あわせて、ベトナム語版安全データシート(SDS)の提出も求められます。

  • 特別管理化学品の登録制度:新法では重点監視対象となる「特別管理化学品」の区分が導入されています。企業は該当物質を確認し、用途および使用目的を国家データベースに登録する必要があります。

  • 許可取得の事前要件化:化学兵器禁止条約(CWC)附表に掲載された化学品および工業用前駆体の輸出入については、通関前に商工省(MOIT)の許可取得が必要となります。

  • 税関におけるリスク区分管理:ベトナム税関では「グリーン・イエロー・レッド」の三段階リスク区分が導入されています。企業は良好なコンプライアンス記録を維持することで、通関迅速化および検査頻度の軽減につながります。

REACH24Hからの提案:ベトナム国家化学品名録(NCI)の追加収載に関する動向を確認し、申告機会に備えてください。

インド市場参入の新たな機会:BIS認証に関する動向

約5年間にわたる申請受付の停止後、インド標準規格局(BIS)は、中国メーカーからの認証申請の再受理に向けた準備を進めています。対象には、ISIマーク認証およびCRS認証が含まれます。公式の通達はBISのウェブサイトにはまだ出ていませんが、複数の関係情報によれば、関連政策が実施準備段階に入っているとされています。現在、インド工業・国内貿易振興局(DPIIT)は、影響を受ける企業からのデータ収集を開始しており、規制当局が政策実施に向けた動きを進めていることを示しています。

政策が正式に実施された場合、条件を満たす中国の消費電子、携帯電話、家電製品等の製造業者は、BISの工場検査および製品規格要件を満たした上で、インド向けの認証を直接申請できる可能性があります。これにより手続きが簡素化され、企業の規制対応に伴う時間やコストの負担が軽減されると考えられます。

また、製品規制分野でも重要な見直しが進められています。2025年末以降、複数の製品カテゴリが対象になっている品質管理命令(QCOs)は、撤回または施行延期となっています。

REACH24Hからの提案:企業は、2026年QCOsの動向を注視し、規制対応戦略を適時見直すことで、政策の変化を的確に捉えて対応してください。

インドネシアHalal認証:2026年に化粧品・化学品等が適用期限へ

2026年10月17日は、化粧品および化学品等の製品がインドネシア市場に流通すためのHalal(ハラール)認証の適用期限となります。この日以降、認証を取得していない製品は販売できなくなる可能性があります。

  • 市場参入要件として:ハラール認証はもはや「加点要件」ではなく、インドネシア市場に参入するための法的要件となっています。

  • 市場における信頼性の確保:ムスリム人口が多数を占めるインドネシアでは、Halal認証は品質および信頼性の象徴とみなされており、消費者の信頼向上につながります。

  • 他市場展開への影響:インドネシアのハラール認証を取得することは、他の国際的なハラール市場への展開に向けた基盤となります。

REACH24Hからの提案:まず、認証手続きには一定の準備期間を要するため、早期に計画を立て、締切直前での対応集中によるサプライチェーンへの影響を回避してください。また、原料から最終製品までを対象とするハラール製品保証システム(SJPH)を構築し、サプライチェーン全体での適合性を確保してください。そして、専門の認証支援機関と連携することで、手続きの円滑化および認証取得の確実性向上が期待されます。

まとめ

アジア各国の化学品管理制度は、法体系の上位化と運用実務の厳格化が同時に進む段階に入っています。登録義務の強化、分類基準の更新、SDSおよびラベル管理の高度化、輸出入手続きの再設計など、対応範囲は拡大しており、従来の部分的な対応では十分とは言えない状況です。

REACH24Hでは、各国規制の最新動向を継続的に整理し、制度解釈、文書整備、登録・申告実務まで一貫した支援を行っています。規制対応に関するご相談がございましたら、customer@reach24h.comまでお気軽にお問い合わせください


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