フランス、PFAS禁止措置の実施FAQを公表、コンプライアンス上の重要ポイント

フランス、PFAS禁止措置の実施FAQを公表、コンプライアンス上の重要ポイント

2026-08-13
2026年5月、フランス当局は『PFAS 禁止措置実施に係る FAQ(よくある質問)』を公表しました。本 FAQ は、法律第 2025-188 号、ならびに政令第 2025-1376 号に関し、現場運用上の不明点に対する補足解釈を記載した資料となります。

FAQ には規制対象製品、濃度しきい値、試験分析法、適用除外規定、在庫品の取扱ルールといった事業者の実務に直結する重要事項が整理されています。

PFAS 禁止措置実施に係る FAQ(よくある質問).png

2026年1月1日以降、フランスでは、一部のPFAS含有消費者製品に対する禁止措置が施行されました。対象には、化粧品、スキーワックス、一般消費者向けの衣料用繊維製品、靴類および防水加工剤が含まれます(防衛・緊急対応用の保護装備等を除きます)。上記製品に対し、製造・輸出入・国内市場への供給行為は厳格に規制されています。

以下では、フランスのPFAS禁止措置に関するFAQの要点を整理し、対象範囲、濃度しきい値の判断、適合性を示すための分析・証明、在庫品の販売猶予期間など、企業が確認すべき事項を分かりやすく解説します。

なお本稿は REACH24H が実務視点に基づき FAQ の内容を整理した資料であり、法令原文の逐条訳出ではありません。

フランスPFAS禁止措置の対象範囲

Q1:純革製の衣料品と、皮革調の繊維製衣料品は規制対象になりますか?
  • 純革製の衣料品:皮革は繊維材料に該当しないため、すべてが皮革で作られた衣料品は本禁止措置の対象外です。

  • 皮革調の繊維製衣料品:皮革(ポリウレタンなど)を含まず、繊維材料によって皮革の外観を再現した衣料品は、本禁止措置の対象です。

したがって、対象可否を判断する際は、「レザー」「合皮」といった商品名だけで判断せず、実際の構成材料を確認する必要があります。

Q2:繊維製の服飾雑貨も禁止措置の対象ですか?

衣料用繊維製品に該当する服飾雑貨は、禁止措置の対象です。具体例として、ネクタイ、蝶ネクタイ、ベルト、ハンカチ、ショール、マフラー、スカーフ、ネックウォーマー、ベールなどが挙げられます。

一方、繊維バンド付き腕時計、ハンドバッグやクラッチバッグなどの革製品、すべてが皮革で作られたアクセサリーは、衣料品とはみなされないため、本禁止措置の対象外です。

Q3:革靴も禁止措置の対象になりますか?

はい。禁止措置では素材を問わず、すべての靴類の製造プロセスで PFAS を使用することが禁止されています。そのため、革靴も規制対象です。

この点は、純革製の衣料品とは取扱いが異なります。純革製の衣料品は衣料用繊維製品に該当しないため対象外ですが、革靴は「靴類」として規制を受けます。

Q4:皮革と繊維を組み合わせた衣料品は、どのように判断しますか?

皮革と繊維材料を組み合わせた衣料品も禁止措置の対象となり、衣料品のうち繊維で構成される部分について適合性を確認する必要があります。

例えば、繊維製の裏地、切替部分または表地を含む複合素材の衣料品は、製品全体を「皮革製品」として一律に対象外とすることはできません。繊維部分がPFAS要件を満たしているかを重点的に確認する必要があります。

Q5:業務用の衣料品や靴類も禁止措置の対象ですか?
  • 2026年1月1日以降:禁止措置の対象は、「一般消費者向けの衣料用繊維製品および靴類」に限定されています。そのため、事業者や専門職のみが使用する衣料品・靴類は、原則として今回の消費者製品に対する禁止措置の対象外です。

  • 2030年1月1日以降:禁止措置は「すべての繊維製品」へ拡大されます。これにより、業務用衣料品も規制対象に含まれます。ただし、業務用靴は法令上「繊維製品」に該当しないため、2030 年の規制拡大適用対象外となります。

ただし、この対象外の取扱いを適用するには、市場投入を行う事業者が購入者の事業者資格を厳格に確認し、対象製品が専門職・事業者のみに販売されたことを示す証拠を保存しておく必要があります。

Q6:「市場投入」とは何を指しますか?在庫品や中古品はどのように扱われますか?

「市場投入」とは、製品を初めて第三者(一次購入者・流通業者・消費者)に提供、または市場で使用可能な状態に置く行為を意味します。有償・無償は問いません。したがって、禁止措置は製品の最初の市場投入に適用されます。

禁止措置の施行前にすでに市場投入されていたPFAS含有製品は、中古品として再販売できます。また、施行日前より在庫・店頭に保有されていた製品に関し、含有 PFAS 濃度がEU REACHEU POPs等の規定濃度上限値を下回る場合、流通事業者は期限無しで販売を継続可能です。

さらに、2026 年 1 月 1 日以前に製造された PFAS 含有製品は、製造日から 12 か月間に限り市場へ投入することが認められます。この猶予期間の終了後、猶予期間中に市場投入された製品は引き続き市場で流通できますが、PFASを含む製品を新たに市場投入することはできません。これには、2026年1月1日より前に製造されたものの、猶予期間中に最初の市場投入が行われなかった製品も含まれます。

フランスPFAS禁止措置における濃度しきい値の判断

Q7:PFASの濃度限度は最終製品だけに適用されますか。それとも、設計・製造工程で使用する化学物質にも適用されますか?

政令に定める PFAS 濃度しきい値は最終製品に適用され、製品設計ならびに製造工程で使用する原料化学物質に直接適用される規定ではありません。

Q8:複数の部材で構成される靴類や衣料品には、PFASの濃度限度をどのように適用しますか?

複数の部分で構成される靴類、衣料用繊維製品その他の対象製品については、各均質材料ごとに測定した PFAS 濃度に対し、規制しきい値が適用されます。

例えば、ジャケットには裏地、表地、装飾部材など、異なる材料が使用されている場合があります。企業は製品全体の平均濃度だけで判断するのではなく、それぞれの材料に含まれるPFAS濃度を確認する必要があります。

適合性の証明および分析方法

Q9:企業は製品の適合性をどのように証明すればよいですか?

政令第 2025-1376 号では、製品がすべての濃度しきい値を同時に充足することを義務付けています。そのため、いずれか一つのしきい値のみを確認しても、製品全体の適合性を保証することはできません。

一方、企業の確認作業と費用負担を軽減する観点から、いずれか一つの項目で不適合が確認された場合、他の項目について必ずしも試験を継続する必要はありません。例えば、総有機フッ素が基準に適合しない場合、その時点で不適合となるため、他の分析を行う必要はありません。

Q10:公式のPFASリストや指定分析方法はありますか?

フランス当局によると、現時点では、対象となるPFASを網羅した公式リストを策定する予定はありません。また、すべての対象製品に共通して適用できるPFASの標準化分析方法のリストも存在しません。

企業は、法令の濃度基準に基づき PFAS を定量分析可能な、技術的に妥当な試験手法を選定・使用できます。繊維製品については、NF EN 17681-1およびNF EN 17681-2などの規格を参考にできますが、これらの規格の使用は強制ではなく任意となります。

また、PFASが含まれていないことを示すサプライヤー文書も、適合性を裏付ける証拠の一つとして使用できます。

ChemCheck24h PFASリスト検索:PFAS List Search - Compliance Database | ChemCheck

適用除外および在庫品の販売猶予期間

Q11:どのような再生繊維製品が適用除外の対象になりますか?

一部の再生繊維製品については、製品に消費者使用後廃棄物由来の再生材料が20%以上含まれている場合に限り、適用除外の対象となる可能性があります。ここでいう使用後廃棄物とは、消費者による使用後に発生した廃棄物を指し、繊維の裁断くずなど、製造工程で生じる廃棄物は含まれません。

ただし、この適用除外は全面的な免除ではありません。未使用繊維部分は政令第2025-1376号の濃度しきい値を満たす必要があります。再生繊維部分にはしきい値を超えるPFASが含まれる可能性がありますが、製造者が製造工程でPFASを意図的に添加することは認められません。また、市場投入を行う事業者は、十分なトレーサビリティを確保し、製品中の再生材料の配合割合および使用後廃棄物由来であることを証明する必要があります。

Q12:在庫品の販売猶予期間はどのように理解すればよいですか?

在庫品の販売猶予期間は、化粧品、スキーワックス、衣料用繊維製品、靴類などの完成品に適用されます。これらの製品の原材料または構成部材には適用されません。

例えば、PFASで処理された織物ロールは、2026年1月1日以降も市場投入できますが、禁止措置の対象となる衣料用繊維製品の製造には使用できません。

2026年1月1日より前に製造され、在庫品の販売猶予期間中に市場投入された製品については、EU REACH規則または欧州POPs規則で当該PFASに認められている濃度限度を超えない限り、2027 年1月1日以降であっても継続的な再販売が許可されます。

企業に求められる対応

REACH24Hは、フランスの関連サプライチェーンに参入している企業に対し、最終的な市場投入を担わない中間段階の事業者も含め、早期にコンプライアンス対応を進めることを推奨します。

企業は、PFASの含有情報、分析報告書、サプライヤー宣言、再生材料の由来を示す資料、製造日および最初の市場投入日を示す記録など、重要な資料をあらかじめ整理し、適切に保存する必要があります。

なお、FAQは行政上の解釈を示すものであり、それ自体が独立した法令ではありません。企業はFAQを参照して自主点検を行うとともに、フランスの法律、実施政令および当局による今後の解釈更新を継続的に確認する必要があります。また、EU REACH規則および欧州POPs規則におけるPFAS制限の最新動向も併せて把握し、コンプライアンスリスクの抑制に努める必要があります。

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