欧米における化学品規制の最新動向と事務対策 2026
2026-02-06

2026年は、欧米地域における化学品規制の実務運用が大きく変化する転換点となります。従来の「登録」や「販売可否」中心の制度設計から、報告義務・分類更新・文書管理の高度化へと規制重点が移行しつつあります。

特に以下の動きが企業活動へ直接影響を及ぼす可能性があります。

  • EU REACHにおけるマイクロプラスチック規制の報告義務の本格適用

  • EUのCLP規則改正に伴う新たな有害性クラス(EDCs・PMT/vPvM)の導入

  • UK REACH登録期限の再延長

  • トルコKKDIKおよびウクライナREACHにおける登録・事前登録スケジュールの調整

  • 米国HCS改正によるGHSといった要件更新

  • コロンビアREACHにおける新規物質管理制度の整備

REACH24Hでは、2026年企業が優先的に対応すべき欧米規制の主要更新点と実務上のコンプライアンス影響を整理します。ご参考になれば幸いです。

EU REACHにおけるマイクロプラスチック規制の更新:2026年より報告義務の本格適用

EU REACH規則の要件に基づき、マイクロプラスチック規制の除外対象となる特定用途については、産業用途に関する年次報告義務が2026年より初めて適用されます。具体的に、プラスチック製造原料として使用される合成ポリマー微粒子については、2025年度の環境中放出量に関する報告を、2026年5月31日までにECHAへ提出する必要があります。 また、合成ポリマー微粒子を含みかつ除外条件に該当する体外診断用医療機器(IVD)については、2026年10月17日までに使用および廃棄に関する説明書を提供し、従事者および一般消費者が環境へのマイクロプラスチック放出を防止できるようにする必要があります。

REACH24Hからの提案:2026年以降、マイクロプラスチック規制は「販売禁止」から報告・管理義務を中心とする制度へと移行します。そのため、関連する化学品企業は、2025年末までに環境放出量の計算を完了し、報告データのトレーサビリティを確保した上で、期限までに年次報告を提出することが必要。また、IVD企業は、SDS、ラベル、包装および製品説明書などの関連文書を更新し、使用および廃棄に関する説明が規制要件を満たしていることを確認してください。

EU CLP分類の更新:新たな有害性クラスの導入と移行期間の明確化

2023年3月31日、EUはCLP規則附属書Ⅰの改正を公表し、内分泌かく乱物質(EDCs)ならびに難分解性・移動性・毒性物質(PMT/vPvM)の新たな有害性クラスを初めて導入しました。この改正案は2023年4月20日に正式発効し、明確な移行期間が設けられています。

  • 新規に市場へ投入される化学物質: 2025年5月1日より、新分類要件に基づきラベルおよびSDSの更新が必要。それ以前に市場へ投入済みの化学物質については、2026年11月1日まで猶予期間があります。

  • 新規に市場へ投入される混合物: 2026年5月1日より新規則を適用。すでに市場にある混合物は、2028年5月1日までにコンプライアンス対応を完了すればよいとされています。

REACH24Hからの提案:製品の分類と市場供給時期を確認し、分類、ラベル、SDSの更新計画を策定し、各期限までに規制対応を完了することが求められます。

UK REACH登録締切の再延長決定

従来の規定では、UK REACHの移行登録締切は2026年10月27日、2028年10月27日および2030年10月27日とされていました。今回、英国政府が実施したパブリックコンサルテーションの結果、三つの登録締切をそれぞれ2029年10月27日、2030年10月27日および2031年10月27日へ延長することが決定されました。関連する法令改正は2026年中に完了する見込みであり、あわせてATRmに関する制度設計の詳細化も進められています。

REACH24Hからの提案:今回の延長により企業の対応負担の緩和が見込まれる一方、企業はUK REACHにおける既存の義務(DUIN届出、「ゼロデータ」登録、SDSの提供など)を引き続き遵守する必要があります。

トルコ KKDIK中間登録および最初の正式登録締切の情報

トルコKKDIKの規定によると、最初の年間1,000トン以上の物質(および特定の高有害性物質)の正式登録締切は2026年12月31日とされています。また、トルコ環境・都市化・気候変動省の実施細則により、先導登録者(LR)が2026年3月31日までに中間登録を提出し、SIEFメンバーは2026年9月30日までに共同提出を完了する必要があります。

REACH24Hからの提案:企業は、SIEFにおける先導登録者の登録状況をフォローすることが必要。3月までに正式登録が完了しない場合には、中間登録制度を活用してください。

ウクライナREACH:事前登録準備期間の延長

ウクライナ当局は、ウクライナREACH(UA REACH)における事前登録の締切を、当初の2026年1月26日から2027年1月26日へ延長することを正式に確認しました。これにより、企業の準備期間は延長されましたが、2026年は事前登録対応を進める重要な期間となります。

REACH24Hからの提案:事前登録締切は延長されたものの、ウクライナの地政学的状況や行政手続きの変動可能性を踏まえ、ウクライナ市場への参入を予定している企業は2026年中に事前登録を完了することを推奨します。

米国HCS改正:GHS分類・SDS・ラベル表示要件の更新

2021年2月16日、米国労働安全衛生庁(OSHA)は規則案を公表し、「危険有害性周知基準(HCS)」の改正手続きを開始しました。これは、国連GHS第7改訂版との整合を図り、同時に第8版の一部条項(エアゾールの新分類基準など)を採用することを目的としていました。

この改正は最終的に2024年5月20日に「連邦官報」で正式発表され、2024年7月19日に発効することが決定しました。企業のコンプライアンス対応を容易にするため、OSHAは段階的な猶予期間を設定しました:

  • 新規に市場へ投入される化学物質: 2026年1月19日までにラベルとSDSの更新を完了すること。

  • 新規に市場へ投入される混合物: コンプライアンス期限は2027年7月19日。

REACH24Hからの提案:企業は製品の上市計画に合わせて分類評価および文書更新を進め、各適用期限までに新要件への対応を完了してください。

コロンビアREACHの整備動向:2026年優先評価基準公表予定に伴う新規物質届出制度の公表

コロンビアでは、2026年第1四半期に化学品の優先評価基準が公表される予定であり、これに伴い「新規物質届出」に関する具体的要件が明確化される見込みです。現行制度では、国家工業用化学物質名録(INSQUI)に収載されていない工業用途の有害物質について、年間生産量または輸入量が100kg以上の場合、6か月以内に届出を行う必要があります。また、当該物質が優先評価の対象に指定された場合には、製造者または輸入者に対し、人の健康および環境に関するリスク評価資料の追加提出が求められます。

REACH24Hからの提案:企業は、優先評価基準の公表動向、特に年間取扱量が100kgを超える名録未収載の工業用途有害物質について、継続的に注視してください。あわせて、製品成分の確認および必要な毒性・環境関連データの準備を行い、制度施行後の届出対応に備えることが推奨されます。

まとめ

2026年以降の欧米化学品規制は、登録制度中心の枠組みから、データ報告・分類再評価・文書管理強化へと重点を移行します。期限延長や猶予措置が設けられている制度もある一方、報告義務や新たな分類適用は着実に進行しており、企業には上市計画・製品分類・用途別データ管理を統合した体系的コンプライアンス体制の整備が求められます。

REACH24Hでは、各国規制の最新動向を継続的に把握し、規制解釈、分類評価、対応計画の策定、文書整備まで実務に即した支援を行っています。規制対応に関するご相談がございましたら、customer@reach24h.comまでお気軽にお問い合わせください

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