カナダ保健省、ヒト由来エクソソーム含有スキンケア製品の分類ルールを公表

カナダ保健省、ヒト由来エクソソーム含有スキンケア製品の分類ルールを公表

2026-08-24
カナダ保健省(Health Canada)は、ヒト由来エクソソーム、ヒト由来細胞外小胞(EVs)およびヒト細胞由来培養上清を含む製品に関する最終通知を公表し、製品分類の考え方を明確にしました。

近年、エクソソーム、細胞外小胞、細胞培養上清といったバイオテクノロジー由来成分が世界のスキンケア市場で注目を集めています。一方、特にヒト由来成分については、安全性、作用機序、製品の効能表示などの観点から、各国・地域の規制当局がより慎重な姿勢を示しています。現在、主要市場における規制上の取扱いは一様ではありません。中国および EUでは、「ヒトの細胞、組織またはヒト由来製品」を化粧品原料として使用することが禁止されています。一方、米国にはエクソソーム配合化粧品に特化した連邦規制が現時点で存在せず、既存の化粧品、医薬品、バイオロジカル製剤の規制枠組みに基づき、製品の用途、成分、効能表示などを考慮して個別に判断されます。

このため、ヒト由来バイオテクノロジー成分配合の同一製品であっても、国・地域によって大きく異なる規制要件が適用される場合があります。すなわち、エクソソームのような原料には世界共通の「化粧品原料」としての規制上の位置づけは存在しません。特にヒト由来成分の場合、原料の由来、製品の用途、作用機序、効能表示などが最終的な製品分類を直接左右する可能性があります。

こうした背景の下、カナダ保健省は2026年4月10日、ヒト由来エクソソーム、ヒト由来細胞外小胞、およびヒト細胞由来培養上清を含む製品の分類について説明する最終通知を公表しました。

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本通知は、「バイオテクノロジーを活用したスキンケア製品」をカナダで化粧品として市場に投入できるかどうかを判断する上で、企業が特に確認しておくべき重要な公式文書です。

カナダにおけるヒト由来エクソソーム規制の背景

2025年8月14日、カナダ保健省はヒト由来エクソソーム、ヒト由来細胞外小胞およびヒト細胞由来培養上清を含む製品の分類に関する意見募集案を公表しました。その後、業界団体、医療専門家・関連機関、その他利害関係者および一般公衆からの意見を収集・評価したうえで、2026年4月10日に最終通知を公表しました。今回の最終通知は、企業が対象製品の分類を検討する際の指針となります。

医薬品か、化粧品か?分類判断の3つのポイント

カナダ保健省によると、ヒト由来エクソソームなどを含む製品を化粧品として分類できるかどうかを判断する際には、主に以下の3つの観点を確認する必要があります。

1.効能表示は、治療や人体機能の変化を示唆してはならない

製品の効能表示および意図された用途の観点から、ヒト由来原料配合製品を化粧品として販売する場合、医薬品的な効能や治療効果を表示または示唆してはなりません。例えば「皮膚細胞を再生する」「損傷した組織を修復する」「抗ニキビ」といった、人体の構造・機能に作用する医薬品的な効能表示が該当します。

なお、製品の意図された用途は、個別の表現のみで判断されるものではなく、記載の文脈、製品の用途、広告・宣伝全体の内容、製品自体の作用などを総合的に考慮する必要があります。

特に強い生物学的作用を想起させる成分を配合する製品では、効能表示・用途に関する表現を慎重に定める必要があります。医薬品的または治療的な作用を示唆する記載がある場合、製品が医薬品に分類される可能性が生じます。

2.化粧品としての効果は、経皮吸収や全身吸収を前提としてはならない

製品の実際の作用様式は、今回の最終通知において化粧品分類を検討するうえで実務上非常に重要なポイントです。カナダ保健省は一般的な考え方として、化粧品は「軽微で局所的、かつ一時的な生理作用」をもたらすものと位置づけています。このため、当該原料配合製品を化粧品として扱うには、経皮吸収を前提とせず、かつ製品が意図する効果が全身吸収により発現するものであってはなりません。

最終通知では、経皮吸収を促進する手法で使用される製品は化粧品に該当しないと明記されています。例えばマイクロニードリングや注射など、経皮吸収促進を伴う使用方法が該当します。

3.製品の成分自体が規制上の分類を左右する場合もある

製品の意図された用途、作用機序、使用方法がすべて化粧品の定義に適合していたとしても、疾患治療を目的とする医薬品有効成分が配合されていないことを確認する必要があります。例えばレチノイン酸やグルココルチコイド(糖質コルチコイド)といった、本来医薬品活性を持つ成分が該当します。

このため企業は、製品の表示内容、作用様式、製品組成などを総合的に評価する必要があります。製品全体がカナダ食品医薬品法の化粧品定義を満たす場合に限り、化粧品規制のもとで取り扱われる可能性があります。最終的な分類は個別製品の具体的状況に基づき判断されます。

化粧品該当製品のヒト由来原料に関する規制要件

注意が必要なのは、当該ヒト由来原料配合製品が化粧品に分類されたとしても、当該ヒト由来原料を一般的な化粧品原料と同じように無条件で使用できるわけではない点です。

カナダ保健省の化粧品成分ホットリストには現在、「ヒト由来物質」が化粧品の制限成分として掲載されています。対象にはヒト胎盤抽出物、ヒト胎盤酵素、ヒト胎盤脂質、ヒト胎盤タンパク質、ヒト臍帯抽出物、ヒト毛髪由来加水分解ケラチンなどが含まれます。

ヒト由来物質を化粧品に使用する場合、製造事業者はカナダ保健省へ関連資料を提出しなければなりません。具体的にはヒト由来物質の由来、製造方法、品質管理データ、製品ラベル情報などです。品質管理データには、ウイルスを含む微生物学的安全性、エストロゲン性物質非含有を証する資料などが含まれます。現時点で本項目に一律の最大配合濃度は定められておらず、上記の資料提出と品質管理の要求によってヒト由来物質が管理されています。

REACH24Hから企業へのアドバイス

カナダ市場への進出を計画しているヒト由来エクソソームその他ヒト由来バイオマテリアル配合製品については、製品名や「美容目的」という理由だけで一般的な化粧品と判断してはなりません。

今回の通知を踏まえ、企業は製品成分、原料の由来、製品の意図された用途・効能表示、実際の使用方法、経皮吸収・全身吸収の有無、その他特殊な作用様式の有無などを総合的に分析・評価し、正しい製品分類と適用される規制要件を確認する必要があります。

また、化粧品成分ホットリストの制限対象となるヒト由来原料については、同リストの要求に従い必要な資料を準備してください。なお今回の通知では、当該原料配合製品における感染症・病原体リスクの可能性についてもカナダ保健省が特に言及しています。製品の安全性に責任を持つ事業者として、企業はこれら特殊原料の安全性要件を十分に確認し、製品の安全性を確保することが重要です。

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