2026年3月30日、中国国家薬品監督管理局(NMPA)は、強制国家標準である「消費品使用説明第3部分 化粧品汎用ラベル(意見募集案)」(以下、「意見募集稿」)について、一般からの意見募集を開始しました。意見募集の締切は2026年5月29日です。

今回の意見募集稿は、現行標準である「GB 5296.3-2008」と比較して、化粧品ラベルに表示すべき内容や要求事項をより詳細に整理しています。また、輸入化粧品、小容量化粧品、子供用化粧品に関する特別表示要求を個別にまとめたほか、電子ラベルに関する要求も新たに追加されています。
REACH24Hでは、企業が標準の違いを把握しやすいよう、主な変更点を以下の通り整理しました。
標準の適用範囲を拡大
現行標準:
「中国国内で販売される化粧品」に適用されると規定されています。
意見募集稿:
適用範囲について、無料試用、無料配布、交換などの形で消費者に提供される化粧品も含まれることが明確にされています。
REACH24Hの解説:
いわゆる「ノベルティ」や「サンプル品」も、ラベル規制の対象外ではなくなります。正規品の購入時に付属するサンプル、ブラインドボックスに含まれる景品、カウンターで配布される試供品であっても、正規販売品と同様にラベルコンプライアンスへの対応が必要になります。
化粧品関連用語を追加
現行標準:
基本的な定義は8項目のみで、内容も現在の規制実務と比べるとやや古いものでした。
意見募集稿:
用語は15項目に拡充されています。新たに「小容量化粧品」「子供用化粧品」「輸入化粧品の中国語ラベル」「電子ラベル」「開封後の有効期限」「案内文言」「製造企業」などの用語および定義が追加されました。また、「販売包装」や「可視面」についても必要な注記が追加されています。
REACH24Hの解説:
特に注目すべき点は、意見募集稿において、国際的に広く使われている「開封後の有効期限(Period After Opening, PAO)」の概念が正式に導入されたことです。あわせて、消費者にもなじみのある「開封済みの小瓶」アイコン、例えば「3M」「6M」などの表示も示されています。これは、使用期限が30か月を超え、かつ外箱などの包装を有する製品に適用されます。
この変更は、中国の化粧品ラベル制度が国際的な表示ルールにさらに近づいていることを示しています。

電子ラベル形式を新設
現行標準:
ラベルの表示形式は、包装への印刷または貼付、添付説明書、カードなどに限定されていました。
意見募集稿:
第4の形式として「電子ラベル(E-labelling)」が追加されました。電子ラベルは、製品の販売包装の可視面に表示する必要があります。また、他の情報を示すQRコードと混同されないようにし、消費者がスマートフォンにインストールされた一般的な通信アプリまたは決済アプリを用いて、直接スキャンして読み取れる形式でなければなりません。
REACH24Hの解説:
包材面積が限られており、多言語表示や全成分などの情報を印刷しきれない場合、電子ラベルは実務上の有効な解決策となります。
新たな規則案では、販売包装の可視面にQRコードを表示し、消費者がWeChatやAlipayなどのアプリでスキャンすることで、必要な情報を確認できる仕組みが認められています。今後は、化粧品の真偽確認、成分トレーサビリティ、詳細情報の確認において、「スキャンして確認する」方法が一般的になる可能性があります。
責任主体に関する要求を強化
現行標準:
製造者の名称および住所の表示が求められており、輸入製品については国内代理人の情報を表示する必要がありました。
意見募集稿:
登録者または届出者の名称および住所の表示が義務付けられています。また、海外の登録者または届出者については、中国国内責任者の情報を表示する必要があります。
REACH24Hの解説:
ラベル上の責任主体は、従来の「製造者」中心から、「登録者・届出者」中心へと移行しています。つまり、「誰が登録・届出を行ったのか」が、より明確に責任の所在を示すことになります。これにより、ブランド企業や登録・届出主体の責任は一層重くなると考えられます。
微量成分を表示しなくてもよいケースを明確化
現行標準:
成分は配合量の多い順に表示し、配合量が1%以下の成分については任意の順序で表示できるとされていました。その他の微量成分について、個別の表示除外規定は明確ではありませんでした。
意見募集稿:
0.1%以下のすべての成分については、「その他微量成分」という案内文を用いて表示する必要があります。また、成分表に表示しなくてもよいケースとして、以下が明確にされています。
化粧品原料の品質を確保するために原料中に添加された、極めて微量の酸化防止剤、防腐剤、安定剤などは、成分表に表示しなくてもよいとされています。
原料そのものに含まれる、または残留している、技術上避けられない微量不純物についても、成分表に表示しなくてもよいとされています。
製品の製造工程で添加されたものの、他の成分と化学反応を起こさず、最終製品において機能せず、さらに後続の製造工程で除去される加工助剤は、化粧品成分には該当しません。そのため、成分表に表示する必要はありません。例えば、湿式製法で固形ファンデーションを製造する際に添加され、成形後に完全に揮発するエタノールなどが該当します。
密封包装中に添加され、開封後に失われる化学的に不活性ガスも、化粧品成分には該当しないため、成分表に表示する必要はありません。
輸入化粧品のラベル要求を簡素化
現行標準:
原産国および国内代理人の情報を表示する必要があり、成分表については中国語と外国語の表示が一致していることが求められます。
意見募集稿:
法規制上の要求の違いにより、輸入化粧品の中国語ラベルにおける成分表と原文成分表との間で、成分数、対応する成分名称、表示順序に差異が生じることが認められています。また、海外企業の名称および住所については、中国語で表示する必要がなくなります。さらに、製品標準番号の表示も不要とされています。
REACH24Hの解説:
中国と海外では、原料名称の表記ルールや微量成分の表示順序に関する規制要求が異なる場合があります。そのため、輸入化粧品に中国語ラベルを貼付する際、「中国語表示と原文表示が一致しない」として、賠償金を要求する「職業的クレーマー」から苦情を受けるケースが少なくありませんでした。
今回の意見募集稿は、こうした客観的な規制差異を認める内容となっており、輸入化粧品におけるラベルコンプライアンスのリスクを大きく低減することが期待されます。
小容量化粧品のラベル要求を新設
現行標準:
15gまたは15mL以下の小包装製品については、名称、正味量、成分、使用期限および製造者のみを表示すればよいとされていました。
意見募集稿:
可視面に少なくとも以下の情報を表示する必要があることが明確にされています。
製品の中国語名称、特殊化粧品登録番号(特殊化粧品に該当する場合)、子供用化粧品の「小金盾」マーク(子ども用製品に該当する場合)、登録者または届出者の名称、正味量、使用期限です。その他の情報については、説明書または電子ラベルに記載することができます。
なお、外箱がある場合でも、内容物に直接接触する内包装には、「中国語名称」と「使用期限」を表示する必要があります。これは、消費者が外箱を廃棄した後に、使用期限を確認できないままサンプル品などを使用するリスクを防ぎ、基本的な安全性を確保するための要求です。
子供用化粧品のラベル要求を新設
現行標準:
子供用化粧品に関する特別規定はありませんでした。
意見募集稿:
新たに独立した章が設けられ、以下の要求が明確にされています。
子供用化粧品専用の「小金盾」マークの表示が義務付けられます。
安全に関する警告文として、「成人の監督下で使用してください」に相当する文言を表示する必要があります。
メイクアップ除去・修飾関連製品については、「速やかに洗い流してください」「異常がある場合は直ちに使用を中止してください」など、これに類する注意表示が必要です。
エアゾール製品については、使用方法の中で、「顔に直接噴霧しないでください」「いったん手のひらに噴霧してから顔に塗布してください」「吸入しないように注意してください。」などの関連内容を表示する必要があります。
また、「食品グレード」「食べられる」などの表現を表示することは禁止されます。日焼け止め製品については、消費者に日光への長時間曝露を促す表現や、防晒効果を絶対的に保証するような表示も認められません。
