『中華人民共和国危険化学品安全法』が正式に可決!新法の核心的要件の比較解析

『中華人民共和国危険化学品安全法』が正式に可決!新法の核心的要件の比較解析

2026-01-07

2025年12月27日、第14期全国人民代表大会常務委員会第19回会議において『中華人民共和国危険化学品安全法』(以下「新法」)が可決されました。同日、中華人民共和国の習近平国家主席は第64号主席令に署名し、同法を正式に公布するとともに、2026年5月1日より正式に施行することを規定しました。

これは、中国の危険化学品安全管理が、これまでの行政法規レベルから国家法律レベルへと正式に格上げされ、法的効力と監督管理の強度が飛躍的に向上したことを意味します。

新法の公布は、2011年に改正された『危険化学品安全管理条例』(国務院令第591号)の全面的なアップグレードであるだけでなく、「全体的な国家安全観(Overall National Security Concept)」の指導の下、危険化学品の全ライフサイクルにおける安全管理体系を体系的に再構築するものです。

化学工業、化学品貿易、物流・輸送などの関連業界の従事者にとって、新法の核心的な変更点を理解し、早期にコンプライアンス対応を進めることは、今や焦眉の急務となっています。

法的地位の向上:「条例」から「法」への飛躍


背景と意義

これまで、中国の危険化学品安全管理は主に国務院が制定した『危険化学品安全管理条例』(国務院令第591号)に基づいていました。行政法規として、その法的効力は全国人民代表大会常務委員会が制定する法律よりも低いものでした。新法の可決により、危険化学品の安全管理は正式に国家法律体系に組み込まれ、より高い法的権威と強制力を持つことになります。

核心的な変化

  • 立法主体の格上げ: 国務院の行政法規から全国人民代表大会常務委員会が制定する法律へと格上げされ、法の位階が著しく向上しました。

  • 立法目的の拡大: 新法では、従来の「人民大衆の生命・財産の安全保障、環境保護」に加え、「生態環境の保護」「全体的な国家安全観の貫徹、発展と安全の統合」等の表現が追加され、危険化学品の安全管理が国家安全戦略の枠組みに組み込まれました。

  • 管理方針の明確化: 新法は「中国共産党の指導を堅持する」「人民至上、生命至上」の方針を明確にし、「事業単位(企業)が責任を負い、従業員が参画し、政府が監督管理し、業界が自律し、社会が監督する」という五位一体の管理メカニズムを確立しました。これは現行条例の「企業の主体責任の強化」という表現に比べ、より体系的かつ包括的です。

監督管理体系の再構築:職責の明確化と範囲の拡大


部門職責の細分化と拡充

新法は監督管理部門の職責を全面的に整理・明確化しました。監督管理部門の数は従来の8部門から10余りへと拡大し、自然資源、工業・情報化(工信)、税関等の部門の具体的な職責が初めて明確化されました。

重点的な変化

  • 自然資源主管部門: 国土空間計画の策定時に、危険化学品建設プロジェクト、化学工業団地(ケミカルパーク)及びその周辺の安全管理距離などの内容を計画に組み込み、計画の実施監督を行う責任を負います。この職責の明確化により、危険化学品施設の空間配置管理が源流から強化されます。

  • 工業・情報化(工信)主管部門: 危険化学品の生産・貯蔵の業界計画と配置、化学工業団地の建設基準および認定管理弁法の制定組織、遅れたプロセスや生産能力の淘汰推進を担当します。これは、化学工業団地の建設と管理がより規範化・標準化されることを意味します。

  • 税関: 輸出入危険化学品およびその包装に対して法に基づき検査を実施する責任が明確化され、輸出入段階での安全監督管理が強化されました。

新興分野の監督管理職責確定メカニズム

新法は革新的な規定として、新興産業・分野に関わるもので監督管理の職責が不明確な場合、県級以上の人民政府が業務の類似性原則に基づき、速やかに監督管理部門を確定することを定めました。この「受け皿条項(兜底条款)」により、監督管理の死角をなくし、化学工業の急速な発展という現実的なニーズに対応します。

化学工業団地(ケミカルパーク)管理:「計画区域」から「認定・再審査」へ


化学工業団地の規範化管理

新法は「計画配置」という専門の章を設け、化学工業団地の認定、建設、評価、監督管理等について体系的に規定しました。これは現行条例と比較して最も顕著な制度革新の一つです。

核心的要件

  • 認定と再審査(復核)制度: 化学工業団地は、省・自治区・直轄市の人民政府またはその授権部門によって認定・公表され、定期的に再審査を受けなければなりません。これは、過去の化学工業団地の設立基準が不統一で管理が緩慢であった状況を一変させるものです。

  • 定期的なリスク評価: 化学工業団地は少なくとも3年ごとに1回、全体的な安全リスク評価を実施し、安全リスクの排除・低減・管理の対策を提示しなければなりません。団地内の危険化学品の品種、数量、配置等に変化が生じた場合は、速やかに再評価を行い、緊急対応計画(应急预案)を改訂する必要があります。

  • 安全管理線制度: 化学工業団地は周辺の計画安全管理線を策定し、区を設置する市級人民政府の確定を受けた後、国土空間計画に組み込まなければなりません。管理線の範囲内の土地開発利用は厳格に制限され、建設プロジェクトは安全リスク管理要件を満たす必要があります。この制度は、空間的に化学工業団地と周辺の敏感な区域との間に「安全緩衝帯」を設けるものです。

  • 情報化監督管理要件: 化学工業団地は情報化された安全モニタリング、監視、早期警戒を実現し、政府の関係部門と相互接続しなければなりません。これは、団地内の企業、重点場所、重大危険源に対する動的な監督管理を実現するために、高度なスマート監督管理プラットフォームの構築が必要であることを意味します。

企業への影響

  • 新設・拡張される危険化学品生産プロジェクトは、原則として認定済みの化学工業団地に入らなければなりません(付帯プロジェクト等を除く)。

  • 非化学工業企業は化学工業団地への入居が禁止されます(化学工業企業へ付帯サービスを提供する企業を除く)。

  • 企業は所在する化学工業団地の認定状況とリスク評価結果を注視し、団地が実施する全体的なリスク管理に協力する必要があります。

企業安全管理:「コンプライアンス要件」から「二重予防」へ


安全管理制度の体系的アップグレード

新法は企業の安全管理に対し、より高く具体的な要求を提示しており、その核心は「安全リスクの等級別管理と隠れた危険(隠患)の調査・除去による二重予防メカニズム」の構築です。

重点的な変化

  • 二重予防メカニズムの義務化: 新法は、危険化学品を生産・貯蔵する企業に対し、安全リスク等級別管理と隠患調査・除去の二重予防メカニズムの構築を明確に要求しています。企業は安全リスクの識別・評価を行い、リスク等級に応じた管理措置を講じる必要があります。また、プロセス、施設、設備、原料等に変更が生じた場合は、再度リスク識別・評価を行わなければなりません。

  • 自動化・情報化の厳格な要求:

    • 危険化学品を生産・貯蔵する企業は、国家標準または業界標準に従い、自動制御システムおよび安全計装システム(SIS)を装備しなければなりません。

    • 安全リスク監視早期警戒システムを構築し、政府関係部門との相互接続を実現しなければなりません。

    • 企業は、生産プロセスのリアルタイム監視と早期警戒を実現するために、自動化・スマート化設備およびシステムへの投資を拡大する必要があります。

  • 劇毒化学品の管理強化:

    • 劇毒化学品および貯蔵数量が重大危険源を構成するその他の危険化学品は、専用の貯蔵場所(原条例の「専用倉庫」から改称)で単独保管し、二人で受発注・二人で保管する制度(双人収発・双人保管)を実行しなければなりません。

    • 受発注記録の保存期間は3年以上でなければなりません(原条例では保存期間未定)。

  • 緊急処置権限の委譲: 新法は、作業現場の当直責任者、班長、運行管理担当者に対し、緊急時に直ちに生産停止・退避命令を下す権限を与えました。この規定は、現場最前線の人員の緊急処置権限を強化し、危険な状況下での迅速な意思決定と退避を可能にし、人的被害を最小限に抑えることを目的としています。

  • 安全評価報告の公開: 危険化学品を生産・貯蔵する企業は、3年ごとに有資格機関に委託して安全評価を1回実施し、評価報告および是正案の実施状況を応急管理部門に届け出なければなりません。安全評価報告は規定に従い社会に公開し、社会的な監督を受けなければなりません。

情報化監督管理:全ライフサイクルのトレーサビリティが現実に


電子識別と情報共有

新法は、県級以上の人民政府の危険化学品安全監督管理責任部門に対し、危険化学品の情報化監督管理を強化し、危険化学品に対する電子識別(QRコード等)および全ライフサイクルの情報化管理・監視を実施することを明確に求めています。

実施のポイント

  • 危険化学品の生産、貯蔵、使用、経営から輸送に至る全過程が、情報化監督管理システムに組み込まれます。

  • 企業は監督管理部門と協力して情報化システムを構築・改善し、危険化学品の流向追跡とリスク監視を確実にする必要があります。

  • 化学工業団地は情報化建設を強化し、政府部門との相互接続を実現し、団地内のすべての危険化学品に対して動的な監督管理を行わなければなりません。

輸送安全:道路、水路、内陸河川輸送の全面的な規範化


輸送段階の精緻な管理

新法は危険化学品の輸送安全に対し、道路輸送、水路輸送、内陸河川輸送の各段階を網羅した、より詳細かつ厳格な規定を設けました。

核心的要件

  • 従事者の資格管理: 運転手、船員、積卸管理担当者、押送員(護送者)、申告担当者、コンテナ積込現場検査員等は、交通運輸主管部門の試験に合格し、従事資格を取得しなければなりません。

  • 車両の技術要件:

    • 危険化学品輸送車両は、国家標準が要求する安全技術条件に適合し、定期的に安全技術検査を受けなければなりません。

    • 基準に適合した衛星測位監視装置(GPS等)を設置し、良好な運行状態を確保しなければならず、信号の取り外し、閉鎖、遮断は禁止されます。

  • リアルタイム監視管理: 危険化学品道路輸送企業は、輸送車両および運転手の作業状態をリアルタイムで監視・管理し、速度超過、疲労運転、規定ルート外走行などの違法行為を適時に是正しなければなりません。

  • 内陸河川輸送の制限:

    • 内陸河川の閉鎖水域を通じた劇毒化学品の輸送は禁止されます。

    • 国家が規定する内陸河川輸送禁止の危険化学品(具体的な範囲は交通運輸主管部門が関係部門と共同で規定・公表)の輸送は禁止されます。

  • 荷送人(コンサイナー)の責任: 荷送人は運送人に対し、危険貨物託送リストおよび化学品安全データシート(SDS)を提出し、規定に従って危険化学品を適切に梱包し、安全ラベルを貼付しなければなりません。一般貨物の中に危険化学品を混入させることや、隠蔽報告・虚偽報告は禁止されます。

法的責任:罰金額の大幅引き上げと個人責任の明確化


処罰強度の著しい強化

新法は違法行為に対する罰金額を大幅に引き上げるとともに、「直接責任を負う主管人員およびその他の直接責任人員」に対する個人への罰金条項を初めて明確にしました。

典型的な対比

違法行為原条例の処罰新法の処罰
国家が禁止する危険化学品の
生産・使用・経営
貨物額1万元未満:2〜5万元の罰金
貨物額1万元以上:貨物額の2〜5倍の罰金
貨物額10万元未満:30〜50万元の罰金
貨物額10万元以上:貨物額の5〜10倍の罰金
安全管理職責の不履行
(自動制御システムの未装備など)
個人に対する単独処罰は少なかった単位(企業)に対し10〜20万元の罰金
直接責任者に対し2〜5万元の罰金
安全生産事故を引き起こした場合、企業の主要責任者は法に基づき就業制限を受ける
重大危険源の登記・記録、
定期検査評価の規定違反
5〜10万元の罰金5〜10万元の罰金
期限内に是正しない場合、生産・営業停止命令、最悪の場合は許可証の取消に加え、10〜20万元の罰金
直接責任者に対し2〜5万元の罰金

治安管理処罰と刑事責任の連携

新法は法的責任の条項を独立させ、「治安管理違反行為を構成する場合は法に基づき治安管理処罰を科し、犯罪を構成する場合は法に基づき刑事責任を追及する」と明確に規定しました。これにより、行政処罰と刑事処罰の連携が強化され、重大な違法行為に対して強力な抑止力を形成します。

コンプライアンスへの提言:企業の対応戦略


新法による全面的なアップグレードに直面し、危険化学品関連企業は早期に計画を立て、体系的にコンプライアンス対応を進めるべきです。

  1. 安全管理制度の整備

    • 安全リスク等級別管理と隠患調査・除去の「二重予防メカニズム」を確立し、健全化する。

    • プロセス操作、特殊作業、設備管理、貯蔵条件、始動・停止および保守点検、変更管理など全段階をカバーするプロセス安全管理制度を制定または改訂する。

  2. 施設・設備のアップグレード

    • 国家標準または業界標準に従い、自動制御システムおよび安全計装システム(SIS)を装備する。

    • 安全リスク監視早期警戒システムを構築し、政府部門との相互接続を実現する。

  3. 安全リスク評価の実施

    • 有資格機関に委託して安全評価を実施する(前回の評価から満3年またはそれに近い場合)。

    • 重大危険源の全面的な調査を行い、登記・記録、定期検査評価、緊急対応計画等が新法の要求に合致していることを確認する。

  4. 劇毒化学品管理の整備

    • 「二人受発注・二人保管」制度を徹底する。

    • 受発注記録の保存期間が3年以上であることを確保する。

    • 規定に従い物理的防護・技術的防護施設を設置する。

  5. 情報化建設の持続的な推進

    • 危険化学品全ライフサイクル情報化管理システムを構築し、電子識別と流向追跡を実現する。

    • 情報化システムの定期的なメンテナンスとアップグレードを行い、データの正確性とシステムの安定性を確保する。

  6. 危険化学品登記の免除に注目

    • 国家は、研究開発、試作・試験販売過程における低量、低放出、低暴露の危険化学品等に対し、登記を免除します。

    • 登記免除の具体的な弁法は、国務院応急管理部門が工業・情報化、公安、生態環境、農業農村、衛生健康、税関等の部門と共同で制定します。

最後に


『中華人民共和国危険化学品安全法』の公布は、中国の危険化学品安全管理における法治化、規範化、精緻化の重要なマイルストーンです。新法は立法レベル、監督管理体系、企業責任、法的結果など多角的な側面から全面的なアップグレードを実現し、危険化学品業界に対してより高いコンプライアンス要件を突きつけています。

重要なタイムラインは以下の通りです。

  • 2025年12月27日:新法可決

  • 2026年5月1日:新法正式施行

新法施行まで残り5ヶ月足らずとなっており、関連企業はこれを高度に重視し、早急にコンプライアンス準備作業を開始すべきです。

瑞欧科技(REACH24H)は、企業が主要責任者をトップとし、安全、生産、技術、法務などの部門が参加するコンプライアンスワーキンググループを立ち上げ、詳細な実施計画とスケジュールを策定し、新法施行前に各準備作業を完了させ、円滑な移行を実現することを推奨します。

同時に、企業は「コンプライアンスこそが競争力」という理念を確立し、新法への対応を企業の安全生産標準化、情報化建設、管理体系の最適化などの業務と有機的に結合させ、安全管理レベルの向上を通じて、企業の持続可能な発展能力と市場競争力を強化すべきです。

瑞欧科技は引き続き『危険化学品安全法』の関連法規や実施細則の公布を注視し、業界のために専門的なコンプライアンス解説と技術サポートを提供してまいります。

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