米国FDAがGRAS新規則案を公表、動物用食品のAAFCO SRISルートに直接的な影響

米国FDAがGRAS新規則案を公表、動物用食品のAAFCO SRISルートに直接的な影響

2026-08-21

2026年8月10日、米国食品医薬品局(FDA)は、「一般に安全と認められる(GRAS)物質」に関する規則案を公表しました。本規則案では、連邦規則集21 CFR Part 170およびPart 570を改正し、連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C Act)第201(s)条に基づき、ヒト用または動物用食品に使用する物質(直接添加剤および食品接触物質・包装材料を含む)を州間商業流通に投入する企業に対し、FDAへのGRAS通知を義務付けることが提案されています。

詳しくは:GRAS最新動向 | 米国 HHS が規則改正方針を公表、GRAS 通知義務化案のパブリックコメントが開始

今回の改正案は、飼料やペットフードを含む動物用食品も対象としています。また、GRAS通知義務の適用除外として、既存の複数の動物用食品原料の市場参入ルートにも言及しています。

AAFCO SRISルートとは

米国飼料検査官協会(Association of American Feed Control Officials:AAFCO)は、米国の各州および連邦政府の飼料規制担当官などで構成される非政府組織です。AAFCO自体は連邦政府機関ではなく、法執行権限も有していませんが、同協会が構築してきた飼料原料の定義体系は、米国市場における重要な業界基準の一つとなっています。

AAFCOは主に、飼料原料の定義の策定、AAFCO公式刊行物(Official Publication:OP)の発行、ペットフードの表示基準の策定、州レベルの規制要件の調整、新規原料定義申請の審査などを行っています。多くの革新的な動物用飼料原料にとって、AAFCOの原料定義が設定されることで、各州の規制当局や川下の顧客から受け入れられやすくなる傾向があります。

長年にわたり、FDAとAAFCOは覚書(MOU)に基づき、動物用飼料原料の定義に関する審査で連携してきました。しかし、このMOUは2024年10月に正式に期限を迎え、終了しました。

この原料定義審査の空白を補うため、AAFCOはカンザス州立大学オレイサ校(K-State Olathe)と共同で、Scientific Review of Ingredient Submissions(SRIS)という独立した科学審査ルートを立ち上げました。その基本的な法的考え方は、企業または団体による独立したGRAS自己決定(Self-determination)を主な基盤としています。

FDA規則案がAAFCO SRISに与える影響

今回FDAは、動物用食品についてもGRAS通知を任意から義務へ変更し、FDAに通知しない独立したGRASルートを原則として廃止することを提案しています。一方、規則案の適用除外条項である21 CFR 570.205(b)(6)では、AAFCO公式刊行物(AAFCO Official Publication)2024年版のChapter 6にすでに収載されている原料定義のみを引用し、GRAS通知義務の適用除外とすることが提案されています。つまり、ある原料がAAFCO SRISの審査を通過し、その後の新版OPに収載されたとしても、GRAS通知義務の免除を直接受けられず、企業は別途FDAに動物用食品GRAS通知(AGRN)を提出するか、その他の連邦レベルでの適法な根拠を取得しなければならない可能性があります。そうしない場合、FDAにより未承認食品添加物とみなされ、法執行上のリスクを負う可能性があります。

そのため、SRISルートが持つ「市場投入までの期間を短縮できる」というメリットは、実質的に損なわれる可能性があります。従来、SRISの大きなメリットは、その審査スピードにあり、科学審査は通常60~90日で行われるとされています。

しかし、FDAのGRAS通知義務化が最終的に施行され、かつSRISが免除対象として認められなかった場合、企業はSRISの手続きを完了した後も、さらにFDAによるGRAS通知の評価プロセスに対応しなければなりません。その結果、SRISが本来目指していた「迅速なコンプライアンス対応による市場参入」というメリットを十分に発揮できなくなる可能性があります。

AFIC相談ルートは規則案で明確に位置付け

動物用食品原料相談(Animal Food Ingredient Consultation:AFIC)は、FDAが動物用食品を対象に設けた、自主的かつ暫定的な相談プロセスです。

その目的は、州間商業流通に投入される新規動物用食品原料についてFDAが早期に情報を把握し、潜在的な安全上の懸念を評価できるようにすることです。今回提案された動物用食品規則の21 CFR §570.205(b)(5)では、このAFICに関する適用除外が設けられています。具体的には、ある原料の用途がAFIC相談プロセスによる評価を受け、FDAがその後公開する概要文書において「安全性について疑問または懸念がない(no questions or concerns)」と明確に示した場合、その原料については義務的なGRAS通知(GRAS Notice)の提出が免除されます。

AAFCOの対応策

AAFCOが8月18日に全会員向けに発出した通知では、120日間のパブリックコメント期間を活用し、業界関係者とともに2026年サンディエゴ年次総会で議論を行い、FDAに対して主に以下の3点を働きかける方針が示されています。

1.「2024年版」への固定を撤廃し、継続的に更新可能な免除制度を求める

AAFCO OPに対する免除の仕組みについて、2024年という単一の版に限定するのではなく、今後の改訂版も継続的に反映できる制度とするよう求めています。

2.SRIS審査プロセスを明確に免除対象へ追加するよう求める

AAFCOは、SRISについて、FDAが認める2024年版OPの審査およびAFICプロセスと同等に厳格な科学的基準を備えていると主張しています。

具体的には、専門家による独立したピアレビュー、利益相反の確認、パブリックコメント、AAFCO会員による投票などの仕組みを挙げています。

3.FDAによる最終的な安全介入権限を残す

SRISを免除対象とする一方、安全上の懸念が確認された場合には、FDAが自ら疑義を提示し、追加でGRAS通知の提出を求める権限を維持することを提案しています。これにより、FDA側が安全性に対する最終的な管理権限を失うことへの懸念を払拭する狙いがあります。

業界・企業が取るべき対応

新規原料の申請ルートは慎重に選択

現在、新規の動物用食品・飼料原料を開発している企業は、SRISの審査結果だけに依拠して、米国全土での商業展開を進めることが難しくなる可能性があります。

2026年末までの議論とFinal Ruleの動向を継続的に確認

今後は、FDAが最終規則(Final Rule)においてAAFCOからの意見を取り入れ、21 CFR 570.205(b)にSRISプロセスを対象とする新たな免除条項を追加するかどうかが重要なポイントとなります。

なお、REACH24Hの米国法人は、今年8月にサンディエゴで開催されるAAFCO年次総会に参加する予定です。REACH24Hでは、現地で得られる最新動向について、今後も業界の皆様にお届けしていきます。

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