2026年10月14日、第18回グローバル化学品規制年度サミット(CRAC 2026)日本大会が東京で閉幕しました。
今回のフォーラムでは、「化学品のグローバルコンプライアンス:アジア太平洋地域と新興市場の規制枠組みを中心に」をテーマに、中国、トルコ、ベトナムなど主要市場の規制改正と企業のコンプライアンス実務について議論しました。講師は、最新の規制要件と実務経験を踏まえ、各市場におけるコンプライアンス上の重要事項と企業の対応方針を整理し、中日および世界の化学品業界関係者に対し、政策の相互理解、経験の共有の場を提供しました。

中国の危険化学品管理:登録、鑑定、SDSと安全ラベルが引き続き重点に
「中華人民共和国危険化学品安全法」は2026年5月1日に施行され、危険化学品の安全管理は行政法規の段階から専門法の段階へ移行しました。これにより、規制要件はより精緻化、デジタル化、サプライチェーン全体を対象とする方向へ進んでいます。これを踏まえ、応急管理部が公表した「2026年危険化学品安全監督管理業務要点」では、危険化学品の登録、化学品の物理的危険性の鑑定・分類、SDSと安全ラベルの適正使用が、年間監督管理および特別執行検査の重点項目として示されています。

応急管理部化学品登録センターの陳金合氏は、中国における危険化学品管理の現状と今後の動向を紹介し、2026年の監督管理上の重点に沿って、危険化学品登録制度、物理的危険性の鑑定・分類に関する特別検査、安全データシート(SDS)および安全ラベルの適正な管理要件を解説しました。特別執行検査では、違法な生産・営業、鑑定が必要であるにもかかわらず実施していないケース、登録が必要であるにもかかわらず登録していないケース、SDSと安全ラベルの不備などが一部企業に見られ、関係企業は行政処分を受ける可能性があります。
企業は、化学品の危険性を全面的に点検し、危険化学品台帳を整備・更新する必要があります。また、生産、輸入、営業などの各段階に応じて登録対象と責任主体を明確にし、国家標準に従ってSDSと安全ラベルを作成することが求められます。さらに、デジタル監督管理の動向にも留意し、製品のライフサイクル全体に関する情報管理を整備するとともに、「危険化学品安全法」の関連規定と執行要件を継続的に確認し、既存の管理制度と最新の規制要件とのギャップを早期に評価することが重要です。
「生態環境法典」から見る新規化学物質管理:届出から登録へ 登録後の責任も明確化
2026年8月15日、「中華人民共和国生態環境法典」(以下「法典」)が施行されました。法典は、新規化学物質について環境管理登録制度を実施することを明確にし、登録申請者および登録区分を定めるとともに、違反に対する罰則を大幅に強化しています。法典の要件に対応するため、生態環境部は6月11日に「新規化学物質環境管理登録弁法(改正案)」を公表し、8月15日以降、新規化学物質環境管理に関する届出および海外申請者による新たな登録申請の受付を停止しました。

この制度変更について、REACH24Hの法規制コンサルタントである陸バイキ氏は、処罰の強化、申請者、適用範囲、登録の種類、審査期間、登録後の追跡管理、登録証の変更、移行規定など8つの観点から改訂内容を分析し、今後の新規化学物質登録・管理における新たな要件と、業種・企業の状況に応じた対応策を紹介しました。
海外企業は、まず中国国内の輸入者と協議し、登録申請者を再確認するとともに、営業秘密(CBI)の保護、データ共有、登録後管理に関する双方の責任を明確にすることが重要です。さらに、取引計画に合わせて登録スケジュールを見直し、資料準備と審査に十分な期間を確保する必要があります。併せて、当局による改正の進展を注視し、契約書における新規化学物質の情報伝達要件を整備し、活動記録と報告の仕組みを構築することが求められます。
中国台湾地域における化学品規制:二元的な管理が継続 PFAS草案は正式公告を待つ段階

REACH24Hの法規制コンサルタントである項ギョクセイ氏は、中国台湾地域における化学品管理の二元的な枠組みを紹介しました。環境当局は「毒性及び懸念化学物質管理法」(TCCSCA)に基づき化学物質の登録および特定物質の管理を行い、労働当局は「職業安全衛生法」(OSHA)に基づき職場における化学品を管理しています。同一物質に2つの制度が同時に適用される可能性があり、一方の届出または許可を完了したことによって、当然に他方の義務が免除されるわけではありません。
2026年の最新動向として、項氏は一部化学物質の管理見直しとPFASに関する特別草案の進展を整理しました。2026年の協議会で示された情報によれば、懸念化学物質の管理対象に含めることが検討されたPFASは269物質から182物質へ変更され、その他の一部物質については毒性化学物質として管理する案、または引き続き評価する案が示されています。ただし、最終的なリスト、適用範囲、管理閾値および施行時期は、所管当局の正式公告に基づく必要があります。
企業は、CAS番号、濃度、用途、年間取扱量を踏まえ、関連する物質リストと届出、登録または許可の要件を個別に確認し、サプライチェーンの成分情報、SDS、ラベルを適時更新する必要があります。施行前の草案については、非公式版のみに基づいてコンプライアンス方針を変更せず、当局の正式な動向を継続的に確認することが推奨されます。
トルコKKDIK新政策の解説:暫定登録から正式登録への移行

REACH24H JAPAN 株式会社の日本支社長である袁天谷氏は、トルコKKDIKにおける暫定登録と正式登録の移行要件について解説しました。トルコは2025年8月にKKDIKの実施手続および原則を公表し、暫定登録制度を導入しました。2026年3月には、対象物質について2026年9月30日までに暫定登録を完了する必要があることを当局から示しました。暫定登録はあくまで移行措置であり、正式登録の代替にはなりません。正式登録は年間トン数と危険有害性分類に応じて段階的に進められ、第1段階の登録期限は2026年12月31日、後続段階の期限はそれぞれ2028年および2030年です。袁氏は、2026年の登録関連行政手数料が平均約80%上昇したこと、データ取得と共同登録の進捗には依然として不確実性があることも指摘しました。
企業は、物質の年間製造量または輸入量、危険有害性分類、現在の登録状況を速やかに確認し、第1段階の対象物質を優先して対応する必要があります。また、トルコの唯一の代理人、輸入者、リード登録者と連携し、データ共有と共同提出の手配を早期に進め、正式登録に必要な資料を準備することが重要です。
ベトナムの新化学物質法:リスト管理、輸入申告及び新規化学物質登録が同時に進展

ベトナムの新化学物質法は2026年1月1日に施行され、国家化学物質リスト(NCI)に基づく管理制度が整備されました。REACH24Hの法規制コンサルタントである王暁萌氏は、同法および関連規定に基づく化学物質の分類管理、輸入申告、新規化学物質の登録要件を紹介しました。ベトナムの輸出入品目分類第28章および第29章に該当する化学品は、通常、通関前に国家シングルウィンドウを通じて電子申告を行う必要があります。企業は、適用範囲と法定免除事由を踏まえて具体的な義務を判断する必要があります。
新規化学物質の管理について、王氏は登録ルートの適用条件も説明しました。NCIに収載されておらず、かつベトナムが承認した外国のリストにも収載されていない新規化学物質については、市場投入前に登録申請が必要です。条件を満たす物質は簡易登録を申請できますが、それ以外の物質は要件に従って完全な登録資料を提出する必要があります。
企業は、まず物質の化学物質名、CAS番号、NCIへの収載状況を確認し、そのうえで申告または登録のルートを判断する必要があります。また、ベトナム語SDS、流通の証拠、その他必要な評価資料を早期に準備することが推奨されます。
おわりに
現在、世界の化学品規制は、ライフサイクル全体の管理、データコンプライアンス、サプライチェーン上の責任を重視する方向へ加速しています。日本企業にとって、中国、東南アジア、トルコなどの市場への参入は、単一の登録または届出を完了するだけでは十分ではありません。製品の市場参入、サプライチェーンの連携、継続的なコンプライアンスという3つの側面から、長期的な仕組みを構築することが重要です。
CRAC Japan 2026は、REACH24Hが日本で開催する3年連続のCRACシリーズイベントとなりました。また、REACH24Hが日本市場に長年注力し、現地企業のコンプライアンスニーズに応えていく姿勢を示すものでもあります。
2023年に東京で日本支社を設立して以来、REACH24Hは日本企業に対し、化学品規制コンサルティング、製品登録、ラベル審査、SDS作成、サプライチェーンコンプライアンス支援を継続的に提供しています。対象分野は、工業用化学品、化粧品、食品、食品接触材料、農薬、消毒・殺菌製品など多岐にわたります。
今後もREACH24Hは、CRACのグローバルな交流プラットフォームを通じて、中国、日本を含む世界各地の規制専門家と連携し、複雑かつ変化の速い規制環境において、企業がリスクを把握し、対応方針を最適化し、国際市場での競争力を高められるよう支援していきます。
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