化粧品包装のEU PPWR対応ガイド|BOM・PCR・DoC

化粧品包装のEU PPWR対応ガイド|BOM・PCR・DoC

2026-09-14

日本企業が進める包装BOM整備とPCR導入からEU適合宣言書の作成まで

EUで化粧品を販売する日本企業にとって、容器・包装は製品の品質を支えると同時に、独立した規制対応が必要な対象でもあります。EUの包装・包装廃棄物規則(PPWR、Regulation (EU) 2025/40)は、2025年2月11日に発効し、別途適用日が定められた条項を除き、2026年8月12日から適用されています。 ボトルやポンプ、化粧箱に加え、輸送や越境ECで使用する包装も、役割と使用実態に応じて確認が必要です。

出典:欧州委員会 PPWR概要

まず進めたいのは、EU向け製品の包装仕様と手元の資料を整理し、現在適用される要求と今後の設計課題を切り分けることです。日本のブランド本社、OEM・ODM、包材メーカー、EU輸入者の間で、誰が何を確認し、どの資料を整備するかを決めておくと、包装変更や取引先への説明を進めやすくなります。

化粧品包装で確認したい材料と構造

化粧品の容器には、内容物の保護、密封、適量の吐出、携帯性などの機能があります。ポンプやスポイト、エアレス容器では、樹脂、金属、ガラス、エラストマーなどが組み合わされ、ラベル、接着剤、印刷、表面加工も加わります。

リサイクル性を確認する際は、容器本体に加え、一体となって廃棄される部品を含めた評価が必要です。取り外される部品や、輸送・選別時に分離する部品の扱いも確認します。例えば、PP製のボトルを採用していても、ポンプ内の金属部品やラベルとの組合せによって、包装全体の評価は変わり得ます。

出典:欧州委員会FAQ 第IV章 リサイクル可能な包装

包装の例優先して確認する事項
ポンプ容器・スプレー・エアレス容器部品ごとの材質と重量、分離のしやすさ、回収・選別への影響
美容液ボトル・クリーム容器・チューブ再生材の由来、色・におい、密封性、内容物との適合性
厚肉容器・二重容器・ギフトセット重量と容積、保護機能の必要性、中仕切りや装飾部材の見直し
口紅・マスカラ・サンプル容器表示面積、材料情報、化粧品の法定表示との調整
輸送箱・EC配送用包装構成材料と重量、空隙、販売国別の包装数量データ

これらは評価対象を選ぶための実務上の着眼点です。特定の材質や構造を使用していることだけで、直ちに不適合と判断するものではありません。

現在の対応と今後の設計変更を分けて計画する

PPWRは、すべての要求が同じ日に適用される制度ではありません。現行要求への対応を進めながら、表示改訂、包材調達、金型変更、品質確認に必要な期間を見込んで、製品群ごとの計画を立てることが重要です。

時期主な確認事項
2026年8月12日から既に適用される要求に基づく適合性評価、技術文書、EU適合宣言書、事業者の識別情報、EPR対応を確認します。
2028年以降一般的な材料組成ラベルは、2028年8月12日または関連実施法令の発効から24か月後の、いずれか遅い日から適用されます。再使用可能包装の表示には別の時期が設定されています。
2030年前後リサイクル設計に関する等級、プラスチック包装の最低再生材含有率、包装の減量化などへの対応を進めます。リサイクル設計と再生材含有率の適用日には、後続法令に連動する条件があります。

最低再生材含有率は、2030年1月1日または算定・検証方法に関する実施法令の発効から3年後の、いずれか遅い日から適用されます。表示や設計の詳細を決める際は、対象包装の区分、例外、後続法令をあわせて確認してください。

出典:欧州委員会FAQ 第V章・第XV章

材料組成ラベルの適用時期:PPWR第12条

日本企業が進めるPPWR対応の実務

1 包装BOMを整え資料の不足を把握する

包装BOM(部品表)は、包材の名称、材質、重量、供給元などを整理するための実務ツールです。同じ商品でも、調達先や印刷、色、部品構成が異なれば、確認すべき資料が変わることがあります。商品コードと包装仕様の対応関係を明確にして、どの資料がどの包装を裏付けているか確認できるようにします。

ボトル、ポンプ、キャップ、内栓、ラベル、化粧箱、中仕切り、外装フィルム、輸送箱を対象に、次の情報を集めると整理しやすくなります。

材質、部品重量、印刷インキ、接着剤、コーティングなどの情報

包材メーカーと製造拠点、再生材の使用割合と由来

仕様書、供給者の宣言書、試験報告書、評価記録

対象商品、販売国、包装仕様の版数と変更履歴

PPWR第16条では、供給者による適合性の立証に必要な情報・文書の提供が求められています。ブランド側は、必要資料、入手先、更新時の連絡方法を包材メーカーやOEM・ODMと確認し、資料の不足を把握することが有効です。

出典:欧州委員会FAQ 第X章 事業者の義務

2 ブランドとOEMやEU輸入者の責任を確認する

PPWR上の「製造者」は、実際に容器を成形する工場や化粧品を充填する事業者に限られません。自社の名称・商標で包装または包装済み製品の設計・製造を委託する場合、ブランド企業が製造者に該当し得ます。複数企業の名称・商標が表示される場合には、包装の仕様を誰が決めるか、契約でどのように定めているかなどを個別に確認します。

EU輸入者には、域外製造者が必要な適合性評価や文書作成などを行っていることを確認する義務があります。また、包装廃棄物について拡大生産者責任(EPR)を負う「生産者」は、販売国や販売経路に応じて判断します。化粧品規則上の責任者(RP)の選任とは、別に整理する必要があります。

日本企業からEU輸入者への卸売、EU現地法人を通じた販売、日本から消費者への直接販売では、関係する主体が異なります。資料収集や申告作業を委託する場合も、法令上の責任と実務の担当を区別しておくことが重要です。

出典:欧州委員会FAQ 第II章・第X章・第XVIII章

3 PCRの由来と算定根拠を確認する

PCRとは、使用後に廃棄されたプラスチックを回収・再生した材料を指します。最低再生材含有率への対応では、包装の用途区分、樹脂の種類、適用除外の有無を確認したうえで、供給者の資料を検証します。

PPWRの算定は、包装の種類と形態に応じた製造拠点ごとの年間平均を基本とします。供給者から「PCRを使用している」と説明を受けた際は、どの部品に、どの由来の材料を、どの方法で算定して使用しているかを確認し、技術文書に反映できる証拠を揃える必要があります。

出典:欧州委員会FAQ 第V章 プラスチック包装の再生材含有率

化粧品用途では、再生材の採用による色、におい、透明性、バリア性の変化にも目を向けます。採用候補の選定と並行して、内容物との適合性や必要な品質確認を進めることで、発売直前の仕様変更を減らしやすくなります。

4 包装変更と化粧品の品質確認を連動させる

樹脂の変更、バリア層の削減、容器の軽量化、ポンプ構造の変更は、密封性、吐出量、内容物の安定性や使用時の衛生に影響する可能性があります。確認項目は、内容物と包装の組合せ、変更内容、既存データに応じて決めます。

包装開発、処方開発、品質保証、薬事・規制対応、購買の各部門で変更内容を共有し、必要に応じて相容性、保存安定性、漏れ、輸送耐性などを確認します。製品安全性や表示に影響する場合は、化粧品製品安全性報告書(CPSR)、製品情報ファイル(PIF)、表示、CPNP届出情報への影響も検討します。

関連する製品側の対応は、EU化粧品コンプライアンスサービスをご参照ください。

化学物質の評価では適用範囲にも注意が必要です。PPWRのPFASに関する特定の濃度制限は食品接触包装を対象としており、通常の化粧品包装すべてに一律のPFAS試験を求める規定として扱うことはできません。重金属やその他の物質については、材料情報と、REACH・POPsなどの適用法令を踏まえて確認します。

出典:欧州委員会FAQ 第III章 包装中の物質

5 技術文書とEU適合宣言書を整備する

技術文書には、包装の仕様、設計・製造情報、構成材料、評価方法、供給者から入手した情報、試験結果などを整理します。EU適合宣言書(DoC)は、その証拠に基づいて、適用される要求への適合を宣言する文書です。

試験報告書の入手と、製造者による適合性の立証は区別して管理します。 外部機関の試験やコンサルティングを利用しても、製造者の法的責任が自動的に移るわけではありません。DoCで対象とする包装を特定し、関連する商品や包装仕様と紐付けておくことが重要です。

供給元、材料、インキ、コーティング、構造、製造工程などを変更する際は、既存の評価結果を引き続き利用できるか確認します。同じ材質名であっても、変更が適合性に影響する場合には、証拠の追加や文書の更新が必要になります。

出典:欧州委員会FAQ 第X章・第XV章

6 販売国ごとにEPRを継続管理する

EPRでは、包装廃棄物に関する登録、数量報告、費用負担、必要に応じた代理人の手配などを管理します。包装自体の適合性を示す技術文書やDoCとは目的が異なるため、両方の対応状況を確認する必要があります。

複数のEU加盟国で販売する場合は、販売経路と責任主体を国ごとに確認し、包装の材質別重量データを販売数量と対応させておくことが実務上有効です。新しい販売国やEC経路を追加した際には、既存の登録・報告体制で対応できるか見直します。

出典:欧州委員会FAQ 第XVIII章 拡大生産者責任

REACH24Hの化粧品包装PPWR対応支援

REACH24Hは、包装に関する規制対応と化粧品の市場参入・製品安全性対応を踏まえ、企業の製品構成、調達体制、EUでの販売経路に応じて、次の業務を支援します。

支援内容具体的な業務
適用範囲と責任主体の整理対象包装と販売経路の確認、製造者・輸入者・EPR生産者の役割整理、対応課題の抽出
包装と供給者資料の確認包装一覧と材料資料のレビュー、不足情報の整理、リサイクル性や再使用性の評価、試験方針の検討
技術文書とDoCの作成支援仕様書・供給者資料・試験報告書・評価記録の整理、EU適合宣言書の作成・レビュー支援
表示とEPRへの対応支援包装表示・図稿のレビュー、加盟国ごとのEPR義務確認、登録・継続報告に関する支援
社内教育と継続的な規制確認PPWR研修、後続法令やガイダンスの動向確認、包装変更に伴う確認事項の整理

サービスの詳細は、PPWRコンプライアンスサービスをご覧ください。包装変更が化粧品の安全性や表示に関係する場合は、CPSR、PIF、ラベル、CPNPの確認との連携もご相談いただけます。

EU向け化粧品包装の対応方針をご相談ください

既存包装の確認や新製品の包材選定を進める際は、製品の種類、容器・包装の構成、対象となるEU販売国、現在お持ちの仕様書や供給者資料をご共有ください。REACH24Hが、適用要求、資料の不足、優先して確認すべき包装を整理し、段階的な対応計画の検討を支援します。

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公式参考情報

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