米国FDA、企業のAI利用に関する初の警告書を発出:AIへの過度な依存により米国化粧品関連企業が違反指摘を受ける

米国FDA、企業のAI利用に関する初の警告書を発出:AIへの過度な依存により米国化粧品関連企業が違反指摘を受ける

2026-05-28

米国現地時間2026年4月2日、米国食品医薬品局(FDA)は、ミシガン州のPurolea Cosmetics Labに対し、警告書を発出しました。


本警告書では、FDAは、企業がAIに過度に依存した結果、製品関連の違反が生じた点を明確に指摘しました。FDAが企業のAI利用を原因の一つとして公式に問題視した初の警告書として、化粧品・医薬品・パーソナルケア製品関連企業にとって重要な示唆を含む事例です。


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事案の背景:FDAの施設査察で複数のコンプライアンス上の不備が判明


FDAは2025年10月28日から30日にかけて、Purolea Cosmetics Labに対して施設査察を実施しました。その結果、同施設では、医薬品の製造において、現行の医薬品適正製造基準(cGMP)に対する重大な不適合が複数確認されました。


具体的には、不衛生な製造環境、重要な製品試験の欠如、AIシステムの不適切な使用などが指摘されています。また、FDAは、同社が不良医薬品を販売し、さらに未承認新薬を販売していたとも判断しました。


同社は、FDAの初期査察結果を示すForm FDA 483を受領した後、回答書を提出しました。しかしFDAは、同社の回答について、十分な証明資料や改善の根拠が示されていないとして、当該回答は無効と判断しました。

FDAが初めて、製造過程におけるAIの不適切な使用を明確に指摘


今回の警告書で特に注目すべき点は、FDAが医薬品製造プロセスにおけるAIの不適切な使用を明確に指摘したことです。


FDAによると、Purolea Cosmetics Labは、医薬品の品質基準、操作手順、マスター製造記録、管理記録などを作成するためにAIを使用していました。しかし、それらがGMP要件に適合しているかを確認するための人によるレビューは実施されていませんでした。


さらに、同社は、要求されるプロセスバリデーションを実施しなかった理由として、使用していたAIがその必要性を示さなかったことを挙げています。FDAはこの点について、同社がAIに過度に依存していたと判断しました。

企業への示唆


FDAは、企業によるAIの利用そのものを禁止しているわけではありません。しかし、AIを利用して文書作成を補助する場合であっても、企業の品質部門が内容を確認し、その正確性およびcGMP要件への適合性を保証する必要があります。


今回の警告書は、FDAが初めて「医薬品製造における人工知能の不適切な使用」を違反事項として明示した事例です。これは、製品に実質的な責任を持つ企業が、AIの出力結果に対して全面的な責任を負うことを改めて示したものといえます。


本事例は医薬品GMP査察に関するものですが、その監督ロジックは、化粧品工場やその他の製品製造施設にも参考となります。


デジタル化を進める企業にとって、本警告書は重要な教訓です。AIは、法規制の検索、基礎文書の自動作成、情報整理などの業務において大きな可能性を持っています。一方で、コンプライアンス業務を専門人材から完全に切り離すことはできません。


FDAは警告書の中で、AIが生成した成果物または提案は、品質部門により権限を付与された担当者によってレビューおよび承認されなければならないと明確に指摘しています。


最も重要なのは、法的責任を負うのは常に「人」であり、「アルゴリズム」ではないという点です。そのため、企業が品質管理システムを構築する際には、AIを「ツール」として位置付けるべきであり、「意思決定者」として扱うべきではありません。また、AIは、規制担当者による法規制の主体的な学習や理解を代替するものではありません。

関連情報

本事案に関する企業情報

FDAの警告書および同社公式ウェブサイトの情報によると、Purolea Cosmetics Labは、医薬品関連製品の製造に加え、化粧品製品の製造にも関与しています。

FDAの規制枠組みの下では、このような企業は、医薬品cGMP要件を厳格に遵守する必要があります。また、今後導入される化粧品GMP要件にも注意する必要があります。


化粧品か医薬品か、米国規制における判断原則


米国では、化粧品は一般に、人体を清潔にする、美化する、魅力を高める、または外観を変えることを目的とする製品を指します。例えば、一般的な洗顔料、保湿ローション、メイクアップ製品などが該当します。


一方、医薬品は、疾病の診断、治療、緩和または予防を目的とする製品、または人体の構造や機能に影響を与えることを意図する製品を指します。例えば、「睡眠を助ける」「筋肉をリラックスさせる」といった効能をうたうマッサージオイルは、米国では医薬品に該当する可能性があります。


また、米国では、1つの製品が化粧品であると同時に医薬品であることも認められています。例えば、一般的なシャンプーは化粧品ですが、「フケ防止」を訴求するシャンプーは、化粧品と医薬品の両方に該当します。同様に、フッ素配合歯磨き剤や日焼け止め製品も、化粧品と医薬品の両方として扱われる場合があります。


そのため、企業は製品の意図する用途、表示、成分などを総合的に確認し、米国における製品分類を正確に判断する必要があります。これにより、適用される規制要件を適切に満たすことができます。


本事例では、同社が「帯状疱疹を緩和する」「性器ヘルペスを緩和する」といった効能をうたう製品を製造・流通していました。FDAは、これらの製品を、未承認であり安全性上の懸念がある新薬に該当すると判断しました。


米国化粧品GMPの動向


「2022年化粧品規制近代化法(MoCRA)」の施行に伴い、FDAは化粧品施設に対する強制的なGMP要件を策定する権限を付与されています。


現時点では、化粧品GMPの最終規則はまだ公表されていません。一方で、FDAは2025年11月18日に「Good Manufacturing Practice (GMP) Guidelines/Inspection Checklist for Cosmetics」を公表しており、これはGMP最終規則が公表される前の段階において、化粧品企業が自己点検を行う際の参考資料として活用できます。


参考リンク:

Purolea Cosmetics Lab - 722591 - 04/02/2026 | FDA

Good Manufacturing Practice (GMP) Guidelines/Inspection Checklist for Cosmetics | FDA


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