注目!欧州司法裁判所、二酸化チタンの発がん性ラベル付けを完全に撤廃
2025-08-08

2025年8月1日、欧州司法裁判所(ECJ)は、特定の粉末状二酸化チタン(TiO₂)の発がん性物質としての分類を取り消すという、欧州一般裁判所の裁定を支持する画期的な判決を下しました。この最終決定は、化学品業界および将来のEUの規制実務に広範な影響を及ぼすことになります。

事件の背景:フランスの提案からEUの分類へ

2016年、フランスの食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)は、二酸化チタンを吸入性発がん物質として分類することを初めて提案しました。その後、欧州化学機関(ECHA)のリスク評価委員会(RAC)もこの観点をサポートしました。これに基づき、欧州委員会は2019年に、直径が10マイクロメートル以下の粒子を1%以上含む粉末状二酸化チタンを「ヒト発がん性のおそれのある物質」(カテゴリー2)に分類する規則を採択し、製品に「H351(吸入)」の有害性注意喚起表示を義務付けました。

業界の反発と一般裁判所の最初の勝利

この分類が発表された後、二酸化チタンの製造業者、輸入業者および川下ユーザーから強い反発が起こりました。彼らは、この措置には十分な科学的根拠がないとして、欧州一般裁判所に訴訟を提起しました。

2022年11月23日、欧州一般裁判所は重要な裁定を下し、欧州委員会の分類決定を覆しました。裁判所は、委員会が分類の根拠とした科学的研究の評価において「明白な誤り」を犯しており、十分な理由を提示していないと指摘しました。また、この分類が、危険性は物質の「内在的特性」であるべきだというEUのCLP規則の主要原則を遵守していないことを強調しました。

欧州司法裁判所の最終裁定

欧州委員会とフランス政府は、その後、一般裁判所の判決に対して上訴しました。2025年8月1日の最終判決において、欧州司法裁判所はこれらの上訴を棄却し、一般裁判所の裁定を強く支持しました。

欧州司法裁判所の判決の主要な内容は以下の通りです。

  • 「明白な誤り」の確認: 欧州司法裁判所は、欧州委員会が科学的証拠を評価する際に、すべての関連要因を十分に考慮せず、「明白な誤り」を犯したという一般裁判所の見解に同意しました。委員会には、このような重要な分類を行う際に、すべての科学的証拠を包括的かつ信頼性高く評価する責任があることを強調しました。

  • 「内在的特性」原則の再確認: 欧州司法裁判所は、二酸化チタンの分類が「内在的特性」の原則を満たしていないとする一般裁判所の議論が有効であることをさらに確認しました。物質の危険性が、その固有の化学的特性ではなく、特定の物理的状態(例えば:粉末)にのみ関連する場合、それは「内在的特性」とは見なされないと判断しました。この原則は、物質の固有の危険性と特定の暴露条件によるリスクとの間に一線を画すものです。

判決がもたらす影響

この最終判決は、化学、塗料、食品、玩具、医薬品、化粧品など、多くの業界に積極的な影響をもたらします。特定の粒径の二酸化チタン粉末製品に発がん性ラベルを義務付ける必要がなくなるため、関連企業のコンプライアンス、運営および広告コストが軽減されます。

さらに、この判決は将来のEUの化学品規制に重要な先例を確立しました。たとえ科学的不確実性がある場合でも、規制当局の決定は、十分な証拠、透明性のある理由、そして厳格な司法審査に耐えうるものでなければならないことを明確に示しました。


しかし、業界は引き続き警戒を怠るべきではありません。今回の発がん性分類の取消は、二酸化チタンが制約なく安全に使用できることを意味するものではありません。企業は、REACHなどの既存の規制枠組みに基づき、健康リスクを継続的に評価する必要があります。将来、より強力な科学的証拠が出る場合、フランスやECHAが再び分類を提案する可能性はあります。したがって、関連する専門家は、今後の科学的評価と規制動向を継続的に注視する必要があります。

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