米国|有害物質規制法(TSCA)に基づく新規化学物質規制の更新
2023-07-25

EPA、新規化学物質規制の更新により審査過程を最適化

2023年5月26日、米国環境保護庁(EPA)は、有害物質管理法(TSCA)に基づく新しい化学物質手続き規則の改正を提案しました。審査過程の期間の短縮のために、主に新規化学物質の審査規定を更新する提案です。ここでは、「背景」「内容」について記事になっています。

背景:

2016年フランク・R・ローテンバーグ21世紀化学品安全法に基づいて有害物質規制法(Toxic Substances Control Act、TSCA)第5条(a)(1)が改正されました。これは「2016年ローテンバーグ改正」と呼ばれます。この改正ではTSCAに、「当該製造または加工の少なくとも90日前に、当該者がTSCA第5条(d)の要求する情報を含む通知をEPAに提出しない限り、新規化学物質の製造(TSCAに基づく輸入を含む)またはEPAが重要な新規用途であると判断した化学物質の製造または加工はできない。EPA は、該当する審査期間内に、通知の審査を行い、地域社会の市民の健康または環境に対してどのように危害を加えうるのかに関して判断を下し、その判断の結果で必要となるすべての措置を講じなければならない。提出される通知には、TSCA第8条(a)(2)の特定の条項に記載された情報(化学物質の健康影響または環境影響に関連する物質についての当該者の保有または管理に関する情報、またはその化学物質の環境および健康影響に関連する、当該者が知るまたは把握できる限りの情報を含む)を記載する。」と記載されました。

内容:

今回は、2016年ローテンバーグ改正とTSCAの新規化学物質審査規定の改正において文章や内容をすり合わせると同時に、既存の政策と新規化学物質プログラムの実施経験を生かして、EPAの審査プロセスの効率を改善することを目的としています。この内容は、EPAの1999年の残留性、生物蓄積性、毒性(persistent, bioaccumulative, toxic、PBT)物質ポリシーとも一致しています。主に以下の4点の改正が提案されました。

  • ローテンバーグ改正と規制文を一致させる。例えば、「申請提出者が製造(輸入を含む)または加工を開始する前に、EPAは受け取った各加工前通知(premanufacture notice、PMN)、重要な新規使用通知(significant new use notice、SNUN)もしくは微生物商行為通知(microbial commercial activity notice、MCAN)について判定を行わなければならないと規定し、考えられる5つの判定内容とその判定に関連して必要となる行動をリストアップすること。さらに、考えられる 5つの判定と、それらの判定への対応についても記載。」「2016年のローテンバーグ改正で新しく導入された新しい用語の定義を追加。」などを改正

  • 新しい化学物質の通知において最初に要求する情報の記載内容を改善することにより、追加情報の要求をする事をなるべく無くし、リスク評価の全部または一部をやり直す事が減るように内容を修正

  • 今まで事前通知を必要としない「少量免除(low volume exemptions、LVE)の規則」および「低放出および曝露免除(ow release and exposure exemptions、LoREX)の規則」を改正し、EPAが免除通知の決定を出すまで提出者が製造を開始できないようにする改正

  • すべての新規PFASが完全な事前通知(premanufacture notice、PMN)プロセスを通じて審査されることを保証するために、PFASはLVEまたはLoREXでは分類的に不適格のため対象外とする。

  • EPAに対して度重なる15日間の審査期間延長を求める要求を減らすため、また多くの申請提出者にとっては口頭でのやり取りよりも電子メールの方がより迅速であると考えられるため、最大30日間の審査期間延長を求める非公式な(口頭または電子)要求を認める。

この更新で、化学品製造業者(NAICSコード325)、石油・石炭製品製造業者(NAICSコード324)。非耐久財等の商社卸売業者(NAICSコード424)などが影響を受けると考えらます。2023年7月25日までに、この改正に関するコメントを募集しています。

参考

■ 有害物質規制法(TSCA)に基づく新規化学物質規制の更新


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転載元:株式会社先読 (URL: https://www.sakiyomi.co.jp/)


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