特定の目的ためのTCEの使用が禁止される日時が延期され、中間最終規則として連邦官報で発表
2025年09月17日、環境保護庁(EPA)は、有害物質規制法(TSCA)に基づくトリクロロエチレン(TCE)の規制に関し、特定の遵守期限を修正するための中間最終規則を連邦官報で発表しました。具体的には、核燃料製造における加工助剤としてのTCEの製造、流通、販売、使用が禁止される日時(禁止遵守期限)が2028年09月15日に修正されました。また、TCEの加工業者と工業・商業利用者による廃水としての廃棄の禁止遵守期限も、2026年12月18日に修正されました。その他、EPAはこれら禁止遵守期限の変更を反映させるための内容も加え、中間最終規則としています。
この中間最終規則は2025年09月15日に発効されています。TCEの製造、加工、流通、販売に関わる事業体は注意が必要です。
有害物質規制法(TSCA)とは
有害物質規制法(Toxic Substances Control Act、TSCA)は、有害な化学物質による人の健康又は環境への不当な悪影響を防止することを目的で、米国連邦議会で5年間の審議を経て1976年10月11日に承認され、1977年01月01日に発効した法律です。TSCAの対象は、農薬、食品、医薬品、化粧品及び医療機器を対象外として「特定の分子的特性を有する有機又は無機の物質」で、これら物質は米国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)が作成・保管する製造、輸入又は加工される化学物質の最新リストである「TSCAインベントリー」によって管理されています。
そして、リストに含まれる物質を製造、加工、流通、利用又は処分する個人及び企業に対して適用されます。EPAは、このリストに登録される予定の新規物質の届出に対応してリスク評価を審査する一方で、リストに登録されている既存物質の内容・数量報告のリスク評価を審査しています。
今回の修正に関連すると考えられる事業体の北米産業分類システム(NAICS)コード
以下の産業に関わる事業体は、核燃料の製造において加工助剤として使用されるTCEを製造、加工、商業的に関わっていると考えられます。
11120-粗石油抽出
221118-その他発電
325180-その他基礎無機化学品製造業
325193-エチルアルコール製造
325199-その他基礎有機化学品製造業
325211-プラスチック原料・樹脂製造
325998-その他の雑多な化学製品・調剤製造業
332313-プレートワーク製造
332410-電力用ボイラー・熱交換器製造業
334513-工業プロセス変数測定・表示・制御用計器及び関連製品製造業
335312-モーター・発電機製造
424690-その他化学・関連製品商卸売業
424720-石油および石油製品商卸売業(バルクステーションおよびターミナルを除く)
541330-エンジニアリング・サービス
この最終中間規則で発表された修正内容
今回、EPAは、40 CFR 751のサブパートDにおいて成文化されたTSCAに基づき、トリクロロエチレン(TCE)の2024年規制(以下、2024年最終規則と記す)の4点を修正しました。
核燃料製造における加工助剤としてのTCE使用の禁止順守期限を修正し、2028年09月15日から開始することとしました。
TCE電池製造に使用されるプロセス溶媒、ポリマー繊維紡糸、フルオロエラストマー製造やアルカンターラ製造に使用されるプロセス溶媒、カプロラクタム製造に使用される抽出溶媒、β-シクロデキストリン製造に使用される沈殿剤に対する反応剤や中間体として使用されたTCEの処理業者、またはそれを含む工業・商業的にTCEを使用した者による、廃水への廃棄の禁止遵守期限を2026年12月18日から開始することとしました。
上記の処理業者や使用者の、川下への届出に関する適合日と要求される安全性データシートの内容が修正されました。適合日は2025年12月16日となり更新されました。
規則策定における不注意な見落としを防ぎ、上記変更が正確に反映されるため、最終規則の公表後90日間の修正が許容される内容を含めました。
この中間最終規則は2025年09月15日に発効します。
同時に、EPAは、この中間最終規則について、2025年10月17日まで意見募集を行っています。
参考情報
有害物質規制法(TSCA)に基づいて、トリクロロエチレン規制のための中間最終規則を発表
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