米国|TSCAに基づくPFASのデータ報告および記録管理要件における、提出期間の変更および技術的修正
2024-11-14

2011年から2022年にかけてPFASを製造した製造者や輸入業者が義務付けられたデータ報告の提出期限が延期

2024年09月05日、環境保護庁(EPA)は、有害物質規制法(TSCA)に基づいて、ペルフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質(PFAS)の報告および記録保存要件を改正した最終規則を発表しました。2023年10月に公布されたこの規則では、2011年から2022年のいずれかの年にPFASを製造した製造者(輸入業者を含む)に対し、暴露および環境・健康影響に関する特定のデータをEPAに報告することを義務付けています。EPAは、規則に1回限りの修正を行い、このデータ提出期間の開始日を2024年11月12日から2025年07月11日に変更し、これに伴い提出期間の終了日も変更しました。EPAはまた、規制文中の誤りに修正もおこないました。この最終規則は、追加通知なしに2024年11月04日より発効されます。

有害物質規制法(TSCA)とは

有害物質規制法(Toxic Substances Control Act、TSCA)は、有害な化学物質による人の健康又は環境への不当な悪影響を防止することを目的で、1976年10月11日に承認され、1977年01月01日に発効した法律です。TSCAの対象は、「特定の分子的特性を有する有機又は無機の物質」で、農薬、食品、医薬品、化粧品及び医療機器は対象外です。これら物質は米国環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)が作成・保管する製造、輸入又は加工される化学物質の最新リストである「TSCAインベントリー(TSCA化学物質目録とも訳される)」によって管理されています。

EPAは、TSCAインベントリーに含まれる物質を製造、加工、流通、利用又は破棄する(またはこれらを予定する)個人及び企業に対して、TSCAに基づいて、新規化学物質の評価や審査を行い、また、既存物質の内容や数量報告を義務付けています。

PFAS製品とは

パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質(per- and polyfluoroalkyl substances、PFAS、ピーファス)とは、人工的に作られた有機フッ素化合物の総称で、水と油の両方をはじく効果があり、熱にも強いことから、撥水剤、表面処理剤、乳化剤、消火剤、コーテイング剤として、様々な製品に使われています。TSCA第8条(b)に基づき、2023年02月時点で、TSCAインベントリーに少なくとも1,462種のPFASが記載され、そのうちの770種が米国内で商業的に使用されているとして活性化学物質目録(Active Inventory)に記載されています。

このようにPFASは活発に産業利用されていますが、難分解性の特徴を持つことから自然界に放出されるとほとんど分解されないまま残存します。このため、PFASの中でも「PFOS」「PFOA」「PFHxS」の3種類は環境や人体への影響などが懸念され、国際条約で製造・使用・輸入が禁止されています。

この最終規則の背景

2023年10月、有害物質規制法(TSCA)に基づいて、PFASに対する最終規則が公布されました。この規則では、2011年から2022年のいずれかの年にPFASを製造した製造業者(輸入業者を含む)に対し、暴露および環境・健康影響に関する特定のデータをEPAに報告することが義務付けられています。

この最終規則の内容

EPAは、規則に1回限りの修正を行い、暴露および環境・健康影響に関する特定のデータの提出期間の開始日を2024年11月12日から2025年07月11日に変更し、これに伴い提出期間の終了日も変更しました。EPAはまた、規制文中の誤りに修正もおこないました。ただし、TSCAに基づく現行規則における報告および記録要件の内容には、変更はありません。

この最終規則では、副産物もしくは不純物として、または成形品もしくは混合物中に製造されたPFASについても対象となっています。さらに、この規則は、現在TSCA化学物質インベントリーに掲載されているPFASに限定されていません。この規則に含まれる化学物質の詳細については、最終規則案(2023年10月11日の官報88 FR 70516「パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質に関する有害物質規制法の報告および記録保存要件」)を参照する必要があります。

この最終規則は、追加通知なしに2024年11月04日より発効されます。

参考情報

TSCAに基づくPFASのデータ報告および記録管理要件における、提出期間の変更および技術的修正


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