(本文は中国生態環境部の公式発表に基づき作成されものです。)
2012年、胡錦濤元国家主席が中国共産党第十八次全国代表大会の報告書で、「我々は生態環境の改善を最優先し、美しい国を築くために努力し、中国における持続可能な発展を実現しなければならない」と伝えました。これは、生態環境の改善を発展全体計画に組み入れることに取り組む施策の方向性を示したとも言えるでしょう。それから10年を経て、今日は澄んだ水や緑に覆われた山々等を目の当たりにして、生態環境の改善に向けた重要な一歩を踏み出しました。
そのうち、特に注目すべきなのは、固体廃棄物および化学物質環境管理で大きな進歩を遂げたことです。以下過去10年間の主な成果について回顧してみます。
固体廃棄物
1.固体廃棄物の輸入を全面禁止
2017年以降、中国は海外からゴミの輸入禁止を推進し、2020年年末までに海外からの固体廃棄物の輸入をゼロにする目標の達成を実現しました(CL-JP記事[1]をご参照)。その間、固体廃棄物の輸入量は約1億トン減少しました。また、2016年から2020年にかけて、再生可能資源の回収量は2億5,600万トンから3億7,200万トンに大幅に増加しました。
2.危険廃棄物環境管理と利用処置能力を強化
危険廃棄物環境管理の制度改善のため、「中国固体廃棄物汚染環境防治法(2020年改正)」が2020年9月1日から発効した他、「国家危険廃棄物名録(2021年版)」[2]によって危険廃棄物の種類・名称・危険特性・免除管理要件も規定されています(CL-JP記事[3]をご参照)。
化学品
1.法的枠組みを体系的に整備
2022年5月24日、中国国務院弁公庁は『新汚染物管理行動方案』[4]を公表しました。同方案は、2025年までに有毒有害化学物質環境リスク管理に関する法体系および管理システムを確立・健全化することを目指しています(CL-JP記事[5]をご参照)。
2.新規化学物質に対する源流管理を推進
不合理な環境リスクのある新規化学物質が中国市場に入ることを防ぐため、新化学物質環境管理登記システム[6]の厳格な運用は行われてきました。その結果、(1)20,000以上の新規化学物質が登録されたこと、(2)3,200以上の環境リスク管理措置が提案されたこと、(3)新規化学物質を違法に製造したとして調査・処罰を受けた300件以上のケースが目立ちます。
3.環境リスク管理とコントロールの能力を向上
化学物質環境リスク評価を積極的に行い、『優先制御化学品名録(第一組)』[7]及び『優先制御化学品名録(第二組)』[8]は公布されました(現時点で合計40種類の物質が収載)。そして、これらの物質に対しては、(1)製造・使用の禁止、(2)クリーン生産の実施、(3)製品中の物質含有量制限、(4)『有毒有害大気汚染物名録』[9]、『有毒有害水汚染物名録』[10]或いは『有毒有害土壌汚染物名録』への収載などの管理措置が行われました。
4.国際条約への参加
中国は、『残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)』と『水銀に関する水俣条約』で規制されている化学物質に対する禁止・制限措置を実施しました。2021年までに、(1)20種類の残留性有機汚染物質(POPs)の使用を廃止すること、(2)7つの産業における工業プロセスでの水銀使用、及び9つのカテゴリの水銀添加製品の製造を停止することが実現されました。それに加え、国際条約の遵守により、中国は毎年数十万トンのPOPs、水銀および水銀化合物の製造・排出を削減することが達成できます。