2025年4月14日、工業情報化部は「電気電子製品における有害物質の使用制限要求」(GB 26572-XXXX)という強制的な国家標準の審査稿を正式に公布し、社会に向けて意見募集を行い、締切日は4月21日となります。
今回の改正は、中国RoHS管理制度が大きな変革を迎えたことを示しており、従来の推奨性標準GB/T 26572-2011が強制的な国家標準へと格上げされ、法的効力によって電気電子製品のライフサイクル全体にわたる有害物質管理を強化します。
世界の電気電子産業はかつてないスピードで革新が進んでおり、スマート端末の進化と消費電子製品の品質向上が並行して進められています。消費者は製品の環境配慮と健康・安全性に対する需要が強くなっています。
このグリーン改革の波の中で、可塑剤はプラスチック製品の「隠れた守護者」として、従来の化学原料から環境に優しい新材料への深い転換期を迎えています。
隠れた守護者:可塑剤
可塑剤とは、材料の柔軟性と可塑性を大幅に向上させることができる化学物質であり、その用途はプラスチック、接着剤、セメント、石膏などの様々な材料システムに及びます。化学構造の違いにより、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ポリエステル類などに分類されます。
材料改質の重要な補助剤として、可塑剤は工業生産において代替不可能な実用価値を示して、特に電子電気分野での応用が際立っています。
電子機器は材料の柔軟性、耐熱性、耐化学腐食性について厳格な技術要件があり、モバイル端末から家庭用電化製品のプラスチック筐体および内部部品の製造に至るまで、材料性能を最適化するために一定量の可塑剤が添加されます。
この改質プロセスは、プラスチックの加工流動性、耐衝撃性および使用寿命を大幅に向上させるだけでなく、融解温度の低下によって加工エネルギーの消費も効果的に抑え、紫外線照射、温湿度サイクルなどの複雑な環境下でも材料の安定性を強化します。
従来の可塑剤は技術的な優位性により長年市場の主流を占めてきましたが、近年、消費者の健康・安全および環境意識の高まりにより、特定のタイプ(例:フタル酸エステル類)は有害物質が徐放リスクがあるとして業界内で議論が起こって、より安全な解決策への技術革新が求められています。
一般的な可塑剤の適合要求
フタル酸エステル類化合物は代表的な可塑剤であり、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)などが含まれます。コストパフォーマンスが高く、総合性能にも優れていることから、このカテゴリーは長期間市場の主流を占めてきました。
しかし、研究によりこれらには内分泌かく乱作用や生殖毒性のリスクがあり、材料から環境中へ移行する可能性があることが明らかになっています。現在、世界主要経済圏はこのような物質に対して厳格な管理を実施しています:
欧州連合RoHS指令
EUのRoHS法令によれば、2021年7月22日以降、欧州市場に市場に進出する全ての電気電子機器、医療機器および監視機器において、DEHP、BBP、DBPおよびDIBPの含有量は0.1%を超えてはなりません。
中国 GB/T 26572-2011
2024年6月29日、中国国家市場監督管理総局はGB/T 26572-2011「電子電気製品における制限物質の制限要求」の第1号修正案を発表し、上記4種の可塑剤について、均質材料中の最大許容含有量を0.1%と定めました。
TCO認証要求
TCO認証は、世界をリードするIT製品のサステナビリティ認証制度として、最新版である第10世代基準において、電子電気製品で使用される難燃剤、可塑剤、洗浄剤および安定剤に対してより厳格な要求を定めています:製品中にDEHP、BBP、DBPおよびDIBPを含有してはなりません。
それ以外の可塑剤については、GreenScreen™またはChemFORWARD™による評価を受け、認証許容物質リスト(ASL)に掲載されている必要があります。これにより、TCO認証製品の生産・製造に使用可能となります。
政策と市場からの推進により、可塑剤業界はかつてないグリーン転換期を迎えています。
各国の環境法規はますます厳しくなって、従来のフタル酸エステル類製品に対して制限を設けるだけでなく、低毒性・生分解性の新型可塑剤への代替使用をすすめしています。
同時に、エンドユーザーは電子製品の環境性能に対してより高い要求を持つようになり、メーカーは設計段階からサステナビリティを考慮する必要があります。
アジア唯一のGreenScreenおよびChemFORWARD認定機関として、当社はTCO認証サービスを提供し、企業の有毒有害物質に対するグリーン代替の推進を支援しております。
TCO認証
TCO認証とは、スウェーデンのTCOデベロップメント社(TCO Development)が策定した、グローバルかつ包括的な持続可能な認証基準であり、電子製品の気候、物質、循環性、サプライチェーンという4つの重要分野における持続可能なパフォーマンスに焦点を当てております。

1992年の導入以来、本認証はTCO 10.0基準まで改訂されており、現在ではすべてのIT製品を対象としています。モニター、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン、デスクトップ、一体型PC、プロジェクター、ヘッドフォン等が含まれ、企業に対して社会的・環境的責任の向上を促し、国際的なグリーン調達における重要な参入基準となっております。
TCO認証許容物質リスト(TCO ASL)
TCO ASLは、TCO認証要件を満たすために設けられた物質リストです。
TCO認証では、GreenScreen® for Safer ChemicalsおよびChemFORWARD評価を用いて、より安全な洗浄剤、溶剤、難燃剤、可塑剤、安定剤を確定します。
GreenScreen認定分析機関の評価によって、Benchmark-2、-3または-4を獲得した物質、あるいはChemFORWARD認定分析機関の評価によって、A、B、C等級を得た物質は、ASLに追加され、認証製品での使用が許可されます。
REACH24Hの支援によりASLに収載された物質