オーストラリアAICISでSIR義務の履行プロセスが最適化へ
2025-06-05

2020年7月1日、AICISはNICNASに代わり、オーストラリアの工業用化学品の主管機関となり、新たな規制「工業化学品法2019」も同時に施行されることは約5年が経ました。この期間、AICISは、関係者から「リスト物質(Listed substance)に対するSIR追加義務に関連する情報の取得が困難で、義務の判断と履行が難しい」というフィードバックを多く受け取りました。

AICISは調査を実施し、SIR義務履行プロセスにおける以下のような改善点を発見しました:

  • 元のNICNASで評価済みの物質について、AICISのSIR追加義務に移行後、関連情報の検索が難しい

  • 導入者によるSIR提出プロセスのさらなる最適化が可能

5月29日、AICISは公式ウェブサイトで、今年7月25日よりSIR義務履行プロセスを最適化し、リスト物質のSIR報告義務対応を支援することを発表しました。主な改善内容は以下の通りです:

  • 導入者がSIR義務に関する必要情報を容易に検索できるよう、化学物質リストの関連記録を最適化します

  • AICISへのSIR関連情報提供の必要性を分かりやすく判断できるよう、ガイドライン文書を更新します

  • 企業がAICISへ情報提供しやすくできるよう、SIRオンラインフォームを改良します

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名簿には約4000種の化学物質にSIR追加義務が規定されています。AICISはできるだけ関連記録の改善に取り組みます。

特に、元のNICNASで評価され、二次届出(secondary notification、すなわちSIRの前身)義務が規定されていた名簿収載物質については、SIR関連項目にNICNAS評価報告書の「二次届出」に関する情報を掲載します。つまり、該当物質の名簿記録にはSIR義務および適用状況に関する詳細情報が直接表示されるようになります。この措置により、導入者はNICNAS評価報告書の二次申告部分の検索と理解の負担が軽減され、SIRの具体的な規定と適用状況をより適切に把握できるようになります。

さらに、リストの記録には、該当物質が「低懸念高分子化合物(PLC)」として評価されているかどうかが明確に表示されます。これは、PLC物質には異なる情報要件があるためです。例えば、NICNASにおいてPLCと評価された物質の大半については、SIR要件は、当該ポリマーがPLC基準を満たさない形で導入される場合にのみ適用されます。

名簿記録にSIR義務に関するより詳細な情報を記載できるよう、AICISは名簿におけるSIR条項を正式に改訂します。

最新のSIR条項に関する情報も、次回のダウンロード可能なExcel版AIIC名簿に掲載される予定です。AICISは通常、半年ごとにExcel版AIIC名簿を公開しており、最新の第6版は今年1月初旬に公開されました。第7版は今年8月に公開される予定です。

AICISは、名簿記録に以下の新機能を追加します:

  • 関連物質記録にガイダンスへのリンクを追加し、導入者がSIR提出の要否を判断しやすくします

  • 多くの物質記録に新たなリンクを追加し、ユーザーが該当するNICNAS評価報告書を直接開けるようにします

  • 機密保持の理由で評価報告書と物質記録を関連付けられない場合についても、明確に記載します

さらに、更新後のより実用的なSIRオンラインフォームで、企業はAICISのビジネスサービスシステム上でSIR情報をより簡単に提出できるようになります。

AICISは、7月25日から、企業は最適化された新しいSIRフォームを使用してSIR関連情報を提出する必要があると表明しています。しかし、現時点で多くの企業がAICISビジネスサービスプラットフォーム上に未完成のSIRドラフトを保存しています。AICISは、該当企業に対し、7月24日までにドラフトの提出を完了するか、不必要なドラフトを削除するかについて注意喚起しています。

今回の最適化により、SIR義務の判断および提出プロセスが大幅に簡素化される見込みであり、企業はSIR義務の判断に必要な情報をより多く入手できるようになります。また、一部の名簿収載物質はSIRなどの追加義務があるため、導入前に履行が必要であることにも注意が必要です。企業は、導入前に名簿記録を確認し、追加義務の有無を確認することで、コンプライアンス違反を避けることが推奨されます。

今後も、最適化計画の進展および新しい名簿の公開について、REACH24Hは継続的に注目していきます。市場進出を目指す企業の皆様は、ぜひREACH24Hにご注目ください。

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