GRAS認証に関するよくある質問
2025-07-23

GRAS認証とは


GRAS(Generally recognized as safeの略)、即ち「公認安全」の意味を指しています。GRAS物質とは、科学的評価プロセスを通じて、その物質が意図された使用条件下の安全性を十分に証明した専門家パネルによって、科学的訓練、経験、資格を与えられた物質ということです。


GRAS認証は、アメリカ食品医薬品局(FDA)が食品添加物を認定する方法の一つであり、食品への使用が安全であることが広く認められていることを意味しています。

FDA GRAS認証を申請することは、申請資料の開示を意味します。自社試験データ、製造工程パラメータなど、申請者の営業秘密に関わる詳細情報も含まれる可能性があります。

GRAS物質とは?


GRAS物質とは、一般に安全と認められている物質を指します。


ここでいう「一般に安全と認められている」とは、科学的な訓練を受け、経験と資格を持つ専門家グループが、科学的評価をし、ある物質が想定された使用条件下で安全であることを十分に証明したことを意味します。


使用目的に基づき、GRAS物質は大まかに以下のように分類されます:


人の食品に直接添加されるGRAS物質;

人の食品に間接的に添加されるGRAS物質;

動物用食品および飼料に添加されるGRAS物質;

その他用途のGRAS物質;


業界で言われる「GRAS物質」は、通常「人の食品に直接添加されるGRAS物質」を指すことが多いです。

FDA GRAS申請において申請者が特に注意すべき事項:営業秘密の取り扱い


申請者が既に営業秘密に関する情報を申請資料から除外していたとしても、FDAの審査過程で補足資料を求められる場合が多いです。FDAの質問に対して、申請者は情報を開示するか、またはFDA GRAS申請を放棄するかを選択する必要があります。そのため申請前にあらかじめ対応方針を検討し、十分に準備をしておくことを推奨します。

化粧品安全性評価におけるアメリカGRAS認証の応用とは?


使用条件の適合性:特定の条件下での使用状況の安全性は、GRAS判定の重要な要素の一つです。GRAS物質を化粧品に使用する場合にも、関連する使用条件の制限、例えば食品での使用における最大使用量の有無等を考慮する必要があります。


局所毒性の評価:食品成分は経口暴露のみを対象としているため、全身毒性に関する評価結果しか得られないのが一般的です。しかし、化粧品原料として使用する場合、皮膚への暴露も含まれることになります。したがって、GRASの評価結果を証拠として用いる場合には、化粧品製品や原料に関する毒性試験の結果やヒト臨床試験のデータと組み合わせて、刺激性などの局所毒性についても評価を行う必要があります。

GRAS認証の申請方法


理論的には、いかなる機関や個人でも以下のいずれかのルートによりGRAS認証を申請することが可能です。


1. 自己認証型GRAS認証(Self-affirmed GRAS)

資格を持つ専門家グループによる評価・署名を通じてGRAS評価資料を作成し、FDAに通知せず、情報も開示しない方法です。


2. FDA通知型GRAS認証(FDA notified GRAS)

GRAS評価資料を作成した上でFDAに通知を行い、FDAの専門家による評価を受け、正式な返答を得る必要があります。


なお、通常は評価資料に自己認証GRASの専門家グループの意見と結論が含まれます。


つまり、自己認証型GRAS認証を通じて当該物質を米国で販売することは可能ですが、FDA通知型GRAS認証はより高い権威性を持つため、どちたの方式を選ぶかは企業が必要性に応じて判断し選択します。

GRAS認証の申請材料と期間


まず、企業は申請期間に対して現実的な見通しを持つ必要があります:

・自己認証型GRAS認証

全過程は6~9か月と見込まれます(物質の特性や既存資料により異なる)。ただし、試験や分析にかかる時間は含まれておりません。


・FDA通知型GRAS認証

FDAによる審査だけで6~9か月を要し、全過程のプロセスは1.5の~2年と見込まれます。試験にかかる時間は含まれておりません。


次に、企業は必要な資料について基本的な知識を持っておくべきです。上記いずれのGRAS認証ルートを選んでも、以下の7つの内容を含む英文のGRAS評価資料を準備する必要があります:


1. 署名済みの宣誓書および保証書

申請者(および代理人)と申請内容に関する基本情報を含みます。


2. 物質情報

鑑定特性(化学名、構造式、定量組成、特徴的性質、物理的・化学的特性、由来、種属等)、製造方法に関する情報(フローチャートと説明、原材料情報等)、または品質基準(仕様書、適用基準、品質規格の検査報告書、安定性試験報告書等)を含みます。


安全性を証明する必要がある場合は、当該物質がもたらす物理的/技術的効果に関するデータと情報(有効用量など)を提供する必要があります。


3. 食事曝露

想定される使用範囲、対象となる使用者、使用量に基づき、食事中のすべての供給源を考慮した上での摂取量の評価を行います。


4. 物質の自制レベル

特定の濃度における物質の味や匂いが、人の摂取を制限する場合、または特定の含有量を超えることが技術的に不可能な場合を記載します。


5. 食品における使用履歴

1958年以前に、多くの消費者が食品中で該当物質を大量に摂取していた歴史的使用実績を説明します。


6. 安全性に関する説明・論証

ADME(吸収、分布、代謝、排泄)に関する資料、毒性試験データ、その他の安全性データを含みます。必要に応じてヒト臨床試験データも含める必要があります。


7. 補足資料

参考文献、検査報告書等を含みます。

アメリカGRAS認証にはどのような役割がありますか?


アメリカの食品法において、FDA GRAS認証を申請するプロセスは任意の手続きとなっています。しかしFDAは企業に対し、GRAS認証手続に従って関連資料を提出することを強く推奨しています。製造企業としても、自社の実情や市場の要求を考慮し、積極的にFDAに対してGRAS認証の通知を行うことを望んでいます。


FDAからのGRAS通知に対する回答は、正式な承認や許可を意味するものではありません。それでも多くの企業が市場投入前にFDAによるGRAS認証の評価を受けることで、将来的な安全性や法規上のリスクを回避・問題が生じないようにすることができ、市場開拓や販売活動の円滑化にも有利になります。

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