新食品原料の申請は、食品業界のイノベーションに不可欠な手段の一つであり、その承認動向は企業が新製品を計画する上で重要なトレンドとなっています。2025年上半期(7月2日まで)、中国国家衛生健康委員会は新食品原料の受理と承認を積極的に推進し、食品業界に新たな発展の機会を切り開きました。
REACH24Hは上半期の主要なデータと注目すべき製品を整理し、食品企業にご参考になれば幸いです。
中国新食品原料の受理状況および進捗追跡
2025年上半期、国家衛生健康委員会(以下、衛健委という)が受理した新食品原料登録の数は合計34種類で、そのうち、中国国産品が27種類、輸入品が7種類でした。
国産原料がこれまでと変わらず申請の中心となっています。製品タイプ別に見ると、機能性成分、微生物菌種、植物抽出物などが依然として人気のある分野となっています。
表1:中国新食品原料 国産製品 受理状況
受理公告日 | 受理番号 | 製品名 |
2025/1/6 | 衛食新申字(2025)第0001号 | フィトステロール |
2025/1/17 | 衛食新申字(2025)第0002号 | オキアミ油 |
2025/1/22 | 衛食新申字(2025)第0003号 | 褐藻オリゴ糖 |
2025/1/24 | 衛食新申字(2025)第0004号 | 天山雪蓮細胞培養物 |
2025/1/24 | 衛食新申字(2025)第0005号 | エルゴチオネイン |
2025/1/24 | 衛食新申字(2025)第0006号 | L-テアニン |
2025/2/5 | 衛食新申字(2025)第0007号 | シルクタンパク |
2025/2/6 | 衛食新申字(2025)第0008号 | N-アセチルノイラミン酸 |
2025/2/6 | 衛食新申字(2025)第0009号 | β-ラクトグロブリン(非動物由来) |
2025/2/7 | 衛食新申字(2025)第0010号 | フサリア・ベネナタ(Fusarium venenatum)タンパク |
2025/2/8 | 衛食新申字(2025)第0011号 | パラカゼイ乳酸菌 N1115(Lactobacillus paracasei N1115,Lp N1115) |
2025/2/10 | 衛食新申字(2025)第0012号 | L-エルゴチオネイン |
2025/2/11 | 衛食新申字(2025)第0013号 | 青銭柳:(CyclocaryaPaliurus)葉抽出物 |
2025/2/14 | 衛食新申字(2025)第0014号 | ヤマブシタケ BCRC35669 菌糸体 |
2025/3/3 | 衛食新申字(2025)第0015号 | グリーンコーヒー豆抽出物 |
2025/3/11 | 衛食新申字(2025)第0016号 | ロンガムビフィズス菌インファンティス亜種 YLGB-1496 (Bifidobacterium longum subsp. infantis YLGB-1496) |
2025/3/20 | 衛食新申字(2025)第0017号 | L-α-グリセロホスホリルコリン |
2025/4/22 | 衛食新申字(2025)第0019号 | 青銭柳:(CyclocaryaPaliurus)葉抽出物 |
2025/4/27 | 衛食新申字(2025)第0020号 | タウロコール酸複合体 |
2025/5/9 | 衛食新申字(2025)第0021号 | 納豆菌(Bacillus subtilis subsp. natto)VB205 |
2025/5/21 | 衛食新申字(2025)第0022号 | フサリア・ベネナタ TB01 菌株発酵菌糸体タンパク |
2025/5/21 | 衛食新申字(2025)第0023号 | ツルチャポリフェノール |
2025/5/23 | 衛食新申字(2025)第0024号 | N-アセチルノイラミン酸 |
2025/5/23 | 衛食新申字(2025)第0025号 | 黄色タンパク質核クロレラ(Chlorella pyrenoidosa) |
2025/6/3 | 衛食新申字(2025)第0026号 | 青銭柳:(CyclocaryaPaliurus)葉抽出物 |
2025/6/19 | 衛食新申字(2025)第0027号 | オキアミ油 |
表2:中国新食品原料 輸入製品 受理状況
受理公告日 | 受理番号 | 製品名 |
2025/2/18 | 衛食新進申字(2025)第0001号 | ビフィドバクテリウム・ビフィダム BGN4 (Bifidobacterium bifidum BGN4) |
2025/3/24 | 衛食新進申字(2025)第0002号 | プロアントシアニジン(Proanthocyanidins) |
2025/5/22 | 衛食新進申字(2025)第0003号 | グルコシルヘスペリジン |
2025/5/23 | 衛食新進申字(2025)第0004号 | マグロアンセリン |
2025/6/24 | 衛食新進申字(2025)第0005号 | バナナの花 |
2025/6/26 | 衛食新進申字(2025)第0006号 | ストレプトコッカス・サリバリウス K12 |
2025/6/26 | 衛食新進申字(2025)第0007号 | ストレプトコッカス・サリバリウス M18 |
中国新食品原料の承認状況
2025年上半期、衛健委は合計3回の新食品原料承認公告(2025年第1号、第3号、第4号)を発表し、合計12種類の原料を承認しました。これには、機能性成分、植物原料、微生物など、多様なタイプが含まれ、そのうち2種類は菌株、1種類は酵母です。
表3:2025年上半期 中国新食品原料承認状況
公告時間 | 公告名称 | 製品名 |
2025/02/10 | ステビアポリフェノール等20種の「三新食品」に関する公告(新食品原料5種) | ステビアポリフェノール |
レモンマートル葉 |
マキベリーアントシアニン |
小麦極性脂質 |
β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸カルシウム (HMB-Ca) |
2025/05/07 | サクラポリフェノール等11種の「三新食品」に関する公告(新食品原料2種) | サクラポリフェノール |
ライ麦花粉 |
2025/07/02 | D-アロース等20種の「三新食品」に関する公告(新食品原料5種) | D-アロース |
サッカロミセス・セレビシエ CNCM I-3799 |
ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BLa80 |
ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス LMG 11588 |
ヒアルロン酸ナトリウム(抽出法) |
中国新食品原料の意見公募状況
2025年上半期、中国国家食品安全リスク評価センターは、新食品原料に関する公開意見公募を3回実施し、8種類の製品を対象としました。詳細は以下の表をご覧ください。
特に注意すべきは、このうち4種類(サッカロミセス・セレビシエ CNCM I-3799、D-アロース、ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BLa80、ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス LMG 11588)が、7月2日に正式に承認されました。
表4:中国新食品原料の意見公募状況(および受理・承認可能の日付)
公告時間 | 公告名称 | 製品名 | 受理時間 | 承認時間 |
2025-01-06 | オリーブ果実ポリフェノール等2種の新食品原料に関する意見公募 | オリーブ果実ポリフェノール | 2021/11/22 | 承認待ち |
サッカロミセス・セレビシエ CNCM I-3799 | 2024/3/13 | 2025/07/02 |
2025-03-21 | ルテインエステル等4種の新食品原料に関する意見公募 | ルテインエステル | 2024/3/18 | 承認待ち |
D-アロース | 2024/9/14 | 2025/07/02 |
ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス BLa80 | 2023/7/10 | 2025/07/02 |
ビフィドバクテリウム・ロンガム亜種インファンティス LMG 11588 | 2024/7/24 | 2025/07/02 |
2025-05-09 | アマナズナ種子油等2種の新食品原料に関する意見公募 | アマナズナ種子油 | 2024/5/15 | 承認待ち |
エルダーベリーアントシアニン | 2021/9/9 | 承認待ち |
「オリーブ果実ポリフェノール」「ルテインエステル」「アマナズナ種子油」などは、現在も意見公募段階にありますが、今後承認されれば、食品のニッチな分野で新たな市場を形成する可能性があります。
まとめ
上半期のデータを見ると、新食品原料の受理件数が着実に増加し、審査効率も向上しています。これは企業の研究開発計画にとって好ましい兆候と言えるでしょう。
さらに、原料種類(機能性植物抽出物、微生物菌種)など申請が重複したり審査頻度の高い原料カテゴリーに注目することで新型健康食品、特殊用途食品、機能性飲料などの開発において、コンプライアンスかつ最先端の原料基盤を提供します。企業はこれらの原料の特性と応用可能性に重点的に注目することが求められています。
REACH24Hは今後、消費者の「機能性、天然性、個性化」に対するニーズの増加に伴い、新食品原料のイノベーションが引き続き業界成長の核心的な原動力となることを信じています。