米国のプロバイオティクス市場へどのように進出するか?
2025-04-29

プロバイオティクスは活性を有する微生物の一種であり、腸内フローラのバランスを調整し、免疫力を高めるといった機能を持つため、食品工業の分野で幅広い応用価値を示しています。

現在、主流のプロバイオティクス株には、ビフィズス菌(Bifidobacterium)、乳酸菌(Lactobacillus)、バチルス菌(Bacillus)などが含まれています。

食品市場において、プロバイオティクスは機能性食品・飲料、栄養補助食品、健康食品、乳製品、乳児用粉ミルクといった製品カテゴリーに広く取り入れられており、消費者の健康・栄養食品に対する多様なニーズを満たしています。

プロバイオティクスの世界市場と米国市場

世界において、腸内健康および免疫調整に対する消費者の関心は日増しに高まっており、プロバイオティクス市場の急速な拡大を強力に後押しします。

Grand View Research、NIH Market Research などの機関が2024年に発表したデータによると、2024年の世界プロバイオティクス市場規模は610億~650億米ドルに達し、2030年までには7%~8%の年平均成長率で継続的に成長すると予測されております。

米国は、世界最大級のプロバイオティクス消費国の一つであり、2024年のプロバイオティクス市場規模は90億~100億米ドルの範囲に達し、年平均成長率は8%~9%と、世界平均をわずかに上回る見込みです。

市場構造から見ると、米国において最も成長が速いプロバイオティクスの細分化市場は栄養補助食品です。それと同時に、精密化プロバイオティクス製品に対する消費者の需要も急速に高まっております――免疫力向上、女性の健康、口腔の健康、運動の健康といった特定のニーズに対応したカスタマイズ処方が、ますます多くの消費者の注目を集めております。

業界の主要企業動向

2021年、米国のインターナショナル・フレイバーズ&フレグランシズ(IFF)はデュポンのニュートリション&バイオサイエンス事業(DuPont N&B)の合併を正式に完了した後、世界のプロバイオティクス生産企業の上位に躍り出ました。

その他の著名なプロバイオティクス生産企業も主に欧米に集中しており、例えばデンマークのノボザイムズ(Novozymes)とクリスチャン・ハンセン(Chr.Hansen)が合併して設立したノボネシス(Novonesis)、カナダのラレマンド(Lallemand)、スウェーデンのプロビ(Probi AB)、アイルランドのケリーグループ(Kerry Group)などが挙げられます。これらの業界トップ企業数社が、世界プロバイオティクス市場の70%以上のシェアを占めています。

プロバイオティクスを米国市場に市場に進出するためのコンプライアンスルート

米国現行の規制体系では「プロバイオティクス」に関する独立的な管理カテゴリーを設置しておらず、製品の機能的な位置づけに基づいて分類管理を実施しています。

プロバイオティクスが通常食品に使用される場合、通常食品の安全基準に適合する必要があり、新規成分に該当する場合は食品添加物申請制度(Food Additive Petitions、FAP)または一般的に安全と認められる認証(Generally Recognized As Safe、GRAS)を完了する必要があります。

プロバイオティクスが栄養補助食品に使用される場合、規制における栄養補助食品の成分定義に適合する必要があり、新規成分に該当する場合は新規栄養成分通知(New Dietary Ingredients Notification、NDIN)経路を選択でき、あるいは通常食品の新規成分(FAPおよびGRAS)を活用することも可能です。

事例:次世代プロバイオティクス-AKK菌

次世代プロバイオティクスの新星と称されるAKK菌(Akkermansia muciniphila、アッカーマンシア・ムシニフィラ)は新規成分に該当し、善恩康生物科技有限公司はGRAS認証を通じて自社のAKK PROBIOを米国に市場に進出し、米国のADM DeerlandもAKK菌を栄養補助食品に応用するためにNDIN申請を行ったことがあります。

GRAS認証の申請方法

理論上、いかなる機関や個人でも以下のいずれかのルートによりGRAS認証を申請することが可能です。

1. 自己認証GRAS(Self-affirmed GRAS)

資格を持つ専門家グループによる評価・署名を通じてGRAS評価資料を作成し、FDAに通知せず、情報も公開しない方式です。

2. FDA GRAS(FDA notified GRAS)

GRAS評価資料を作成した上でFDAに通知し、FDAの専門家による評価を受け、正式な返答を得る必要があります。

なお、評価資料には、自己認証GRASの専門家グループの意見と結論が含まれるのが一般的です。

簡単に言えば、自己認証GRASを通じて当該物質を米国で販売することは可能ですが、FDA GRASはより高い権威性を持つため、企業が必要性に応じて判断します。

資料リスト

申請企業は以下の7つの内容を含む英文のGRAS評価資料を準備する必要があります:

1. 署名済みの宣誓書および保証書

2. 物質情報、物質の特定、製造工程、添加剤情報、品質基準などを含みます。3. 食事曝露、つまり、想定される使用範囲、対象となる使用者、使用量に基づき、食事中のすべての供給源を考慮した上での摂取量の評価を行います。

4. 物質の自制レベル

5. 食品における使用履歴

6. 安全性に関する説明・論証、主に毒性試験データみに基づきます。必要に応じて人体臨床試験データも含める必要があります。

7. 補足資料、参考文献、検査報告書等を含みます。

よくある質問

Q1. 自社製品がGRAS認証に適しているかどうかをどのように判断しますか?

答:新たに開発された食品成分または新製造工程による食品成分を含み、またその使用目的下で安全であると広く認められている場合、GRAS認証申請が可能です。

Q2. 他社製品がすでにGRAS認証を取得している場合、自社製品も個別に申請が必要ですか?

答:必要です!米国国内では一般的に企業単位でGRAS認証を取得した製品のみが認められます。

Q3. GRAS認証申請にはどれくらいの期間が必要ですか?

答:自己認定GRASはFDA審査を行う必要がないため、期間は比較的にコントロールしやすです。もし製造工程が特に複雑でなく、長期試験データの追加が不要であれば、全体で6~9か月と見込まれます。FDA GRASの場合はFDA当局によると6~9か月もの資料審査を待つことは必要なので、全体で1.5~2年かかる可能性があります。


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