2025年6月18日、韓国食品医薬品安全処(MFDS)は2025-277号の公示を公開し、現行の韓国法規である『食品等の暫定基準および規格認定基準』における新規食品添加物の申請資料要件および変更規定の修正が提案されました。
これは、国際的な権威データの受け入れ、段階的な毒性試験要求の導入、安全性に影響のない変更の範囲拡大といった新しいアプローチを通じて、新規食品添加物のイノベーションと市場参入スピードを加速させ、食品産業の発展を促進することを目指しています。
主要な修正内容は以下の通りです。
国際評価データの相互認証と重複試験の回避
新規食品添加物の安全性評価に使用できる毒性試験データの範囲が拡大されます。国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門家会議(JECFA)が発表した評価報告書の内容が、有効な毒性試験データとして認められるようになります。
段階的な毒性試験システムの構築とリスクに応じた要件設定
現在の毒性学資料の要求は業界にとって負担が重すぎるとの考えから、場合によって原料の毒性学資料要件を定めることで、試験要件を大幅に引き下げることが提案されました:
一般的な添加物:90日間の反復投与毒性試験と遺伝毒性試験を実施し、これらの試験で有害な影響が発見された場合、または化学構造から毒性の可能性が示唆される場合に、生殖発生毒性、免疫毒性、発がん性試験などを実施します。
酵素製剤:反復投与毒性、遺伝毒性、免疫毒性(アレルギー性)のデータを提出し、必要に応じてその他の試験データを補足することも可能です。
香料類:反復投与毒性、遺伝毒性のデータを提出します。合成香料についてはさらに化学構造の分類情報も提供する必要があります。
免除規定:
すでに承認されている食品添加物と塩の形態のみが異なる新規物質。
承認済み添加物の異性体で、化学的、生物学的、毒物学的に実質的に同等であることが証明できる場合。
上記のケースでは毒性試験データの提出が免除されます。
⚠️ ご注意: 遺伝子組み換え微生物由来の食品添加物については、韓国では遺伝子組み換え微生物および関連プロセスの情報提出と安全性評価が引き続き求めたれています。
申請変更範囲の拡大と承認期間の短縮
特定の条件下で添加物の処方組成や比率を調整しても安全性に影響がない場合、申請変更が可能な範囲に追加されました。
これまで申請者情報添加物名称、商品名などといった軽微な変更のみが対象でした。
『食品等の暫定基準及び規格認定基準』の規定に基づき、このような変更申請は最短で14日以内に審査をを完了することが定められています。
韓国への食品輸出企業が注意すべきこと
上記の修正内容は現在、業界からの意見公募が行われており、締め切りは2025年8月18日です。
韓国は新規食品添加物・新規食品原料の上市前申請制度を導入している数少ない国の一つです。今回の修正が実施されれば、新規食品添加物の申請に必要な毒性試験が大幅に削減され、企業が試験に要するコストと時間を削減できます。これにより韓国国内の食品企業のイノベーションが促進されるだけでなく、多国での販売計画を持つ海外企業にとっても韓国市場への迅速な参入を後押しするものでしょう。