2022年12月29日、米国「化粧品規制近代化法(MoCRA)」が正式に施行されました。
MoCRAは、米国連邦食品・医薬品・化粧品法(F&DC Act)の重要な改正であり、施設登録および製品リストの義務化という画期的な規制を導入しました。これにより、FDAの化粧品管理体制は従来の受動的なアプローチから、積極的な規制措置へと大きく転換しました。
2025年3月15日、米国FDAはMoCRAに基づく化粧品施設登録および製品リストに関する統計データを公表しました。
MoCRAの最新データ
2025年1月1日時点の公式統計によると、登録済みの施設数は9,528件、リスト登録された化粧品は589,762品目に達しました。これは、従来のVCRP(自主的化粧品登録プログラム)が51年間にわたって積み上げた件数を大きく上回る結果となっています。
MoCRA (2023年12月18日 - 2025年1月1日) | VCRP (1972年 - 2023年3月1日) | ||
施設登録件数 | 9,528 | 施設登録件数 | 5,176 |
製品リスト登録件数 | 589,762 | 製品登録件数 | 35,102 |
なお、VCRPは1972年の導入以来、2023年3月の正式終了までの間、あくまで任意登録制であったことから、収集されたデータには限界があり、米国市場全体の化粧品流通状況を網羅するには至りませんでした。これに対し、2022年12月29日以降に施行されたMoCRAでは、登録が義務化されたことで、業界全体のコンプライアンスが向上し、市場の透明性が大幅に強化されています。
登録済みの施設のうち、中国の施設は特に顕著な割合を占めています。登録数は4,260件に上り、世界全体の44.71%を占めるとともに、米国外の登録施設の55.10%を占めています。
これらの指標はいずれも他国・地域を大きく上回っており、中国の化粧品産業の国際競争力の高さを示しています。また、このデータは、グローバルなサプライチェーンの構造変化を反映しているとも考えられます。
REACH24Hによる法規対応ヒント
特に留意すべき点として、FDAはVCRPの過去データをMoCRAに移行していません。そのため、VCRPに登録済みであった企業や製品であっても、改めてMoCRAのもとで施設登録・リスト登録を行う必要があります。
また、すでに登録を完了した企業は、定期的に情報を更新し、必要な資料を速やかに提出することで、コンプライアンスを確保することが求められます。
さらに、MoCRAに基づく複数の主要な規制要件がすでに全面的に施行されております。具体的には、
有害事象(副作用)報告および記録保存要件
有害事象連絡先の表示要件
業務用化粧品のラベル更新要件
安全性証拠の提出要件
REACH24Hは、米国市場を重視する化粧品企業に対し、直ちにコンプライアンスの自己点検を実施することを推奨します。これは、規制改正に伴う手続き漏れを防ぎ、コンプライアンスリスクを最小限に抑えるためです。