2024年8月1日、欧州委員会の消費者安全科学委員会(SCCS)は3つの化粧品成分に関する2つの予備的意見を発表しました。1つの意見は「2-フェニルフェノール」と「 2-フェニルフェノールナトリウム四水和物」に焦点を当て、もう1つの意見は「(E)-2-クロロ-4-[(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ジアゼニル]フェノール」に関するものです。これらの意見は2024年9月27日まで一般からのコメントを受け付けています。
2-フェニルフェノール(CAS No.90-43-7)
現時点には、該当成分が「欧州化粧品規則(EC)No.1223/2009」(以下、「化粧品規制」を略称)の許可された防腐剤リストに規制されており、洗い流す製品ではフェノールとして最大0.2%、洗い流さない製品ではフェノールとして最大0.15%が許可されています。2022年12月、欧州化学品庁(ECHA)のリスク評価委員会(RAC)は「カテゴリー2の発がん性物質」として分類することを推奨しました。しかも、化粧品規制におけるCMR物質(発がん性、突然変異原性、生殖毒性と分類される物質)の禁止が既に存在することを考慮すると、このような分類は化粧品における「2-フェニルフェノール」の禁止になるかもしれません。
「2-フェニルフェノールナトリウム四水和物」(CAS No.132-27-4)
2023年12月、欧州委員会は上記の「2-フェニルフェノール」とそのナトリウム塩である「2-フェニルフェノールナトリウム四水和物」という二つの成分が、防腐剤として使用される際の安全性を支持するドシエを受け取りました。SCCSは、これらの成分の安全性を評価し、化粧品において適切な使用要件に従う限り、安全であると考えています。
「(E)-2-クロロ-4-[(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ジアゼニル]フェノール(CAS No.1184721-10-5)
該当成分は、染毛剤としてリストされており、酸化型および非酸化型の染毛剤製剤の両方に使用される可能性があります。2016年3月、SCCSはこの成分の安全な使用濃度を導入する意見SCCS/1568/15を発表しました。この意見では、純度および不純物に関する追加データが必要であると指摘しましたが、これらは十分に定量化されていませんでした。
2024年2月、SCCSは該当成分の純度に関する補足情報を受け取りました。この情報に基づき、SCCSは再度安全性評価を行い、改訂意見を発表しました。この改訂意見はSCCS/1568/15からの安全使用濃度を維持し、酸化型染毛剤製剤で1%、非酸化型染毛剤製剤で1.5%の安全性を確認しました。