公式Q&Aまとめ|防腐チャレンジテストの要点とよくある質問
2025-07-04

防腐チャレンジテストは、化粧品の完全版安全性評価に新たに追加された試験項目であり、化粧品の防腐システムの有効性および微生物リスクを評価することを目的としています。これに関連して、中国食品薬品検定研究院(NIFDC)および一部の地方局は、企業のコンプライアンス対応を支援するための関連Q&Aを公表しています。

今回、REACH24Hは、NIFDCおよび北京市薬品監督管理局(BMMPA)によるQ&Aを整理し、防腐チャレンジテストの要点とよくある質問について分かりやすく解説いたします。効率的なコンプライアンス対応にお役に立てれば幸いです。

一、(化粧品登録者・届出者は、他の方法で防腐チャレンジテストを評価することができますか?

『化粧品安定性試験評価技術ガイドライン』(以下『技術ガイドライン』と略)は、強制力のない参考文書であり、化粧品登録者・届出者が関連試験を実施する際の助言・指導を提供することを主な目的としています。登録者・届出者は、自社の実際のニーズや状況に応じて、業界標準、国際規格(例えば:ISO 11930)または自社で開発した評価方法を選択し、製品の防腐システムの有効性を総合的に評価することが可能です。

二、『技術ガイドライン』のほか、防腐チャレンジテストの参考となる標準や方法がありますか?


  • ISO 11930-2019 Cosmetics - Microbiology - Evaluation of the antimicrobial protection of a cosmetic product

  • AOAC 998.10-2009 Efficacy of Preservation of Non-Eye Area Water-Miscible Cosmetic and Toiletry Formulations

  • USP 43-NF 38<51> Antimicrobial effectiveness testing

  • 『中華人民共和国薬局方』(2020年版)第四部 通則1121 抗菌効力検査法

  • T/SHRH 017-2019 『化粧品防腐チャレンジ試験』

  • T/GDCDC 010-2019 『化粧品防腐チャレンジテスト方法』

三、化粧品の安全評価において、どのような特性を持つ製品は防腐効評価を免除できますか?

製品の特性に基づき、微生物汚染の影響を受けにくい以下の種類の製品は、防腐効能評価を免除することができます。しかし、その関連状況について説明する必要があります。

  1. 無水製品

  2. 有機溶剤を主成分とする製品

  3. 水を含む製品のうち、以下の条件を満たすもの:

  • 水分活性 < 0.7

  • エタノール含有量 > 20%(体積)

  • 高/低pH値(10≦pH<11.5 または  2 < pH ≤ 3)

  • 充填温度が65℃を超える製品

  • 使い捨て製品または密閉包装の製品


四、『技術ガイドライン』はなぜCMCC株の使用を推奨しているのですか?

『技術ガイドライン』がCMCC株を試験菌株として推奨している主な理由は、購入プロセスの簡便さと菌株の入手しやすさに基づいています。ATCC株は世界の生物資源センターに由来しますが、価格が高く、購入プロセスが複雑です。ユーザーがATCC株を購入する際には、誓約書、申請書 、会社概要、生物安全証明書、製品譲渡契約書、営業許可証など、多数の書類を提出する必要があり、中国税関の監督検査も受けなければなりません。これらの要件は、中国国内の多くの化粧品登録者・届出者にとって大きな負担となり、正規かつ合法的なルートで入手が難しくなる原因となっています。さらに、ATCC株は輸送期間が長く、試験に不確実性をもたらす可能性があります。これに対し、CMCC株は国内の標準菌株として、比較的安価で入手しやすく、購入プロセスもシンプルであるため、化粧品登録者・届出者の時間とコストが大幅に節約され、防腐チャレンジ試験により適しています。

五、『技術ガイドライン』に混合菌接種の方法を追加することは可能ですか?


混合菌接種は、試験結果が単一菌接種の場合と異なる可能性があり、結果判定の複雑さと不確実性を増大させる可能性があります。試験結果の一貫性と再現性を考慮し、また国際基準の推奨事項に準拠するため、『技術ガイドライン』では混合菌接種の方法は採用されていません。

六、防腐チャレンジテストにおいて中和剤はどのような役割を果たしますか?

中和剤とは、化粧品と微生物混合物に添加され、化粧品中の抗菌または殺菌成分による微生物への抑制・殺滅作用を中和(無効化)する試薬です。防腐チャレンジテストにおいて中和剤は重要な役割を果たしており、化粧品中の抗菌成分や殺菌成分が試験結果に与える潜在的な影響を避けること、または低減させることができます。これにより、製品中に生存する微生物が的確に検出され、実際の微生物汚染の状況を反映しやすくなり、試験結果の正確性が確保されます。

七、製品に附属書A.6~A.9に記載された4種類の中和剤を使用したものの、特定の菌株に対して効果的な中和ができなかった場合、どのような対応をとったほうがいいですか?

附属書A.6~A.9に記載されている4種類の中和剤は、あくまでも推奨されているものであり、化粧品登録者・届出者は、実際の製品処方に基づいて適切な中和剤を自主的に選択することができます。

八、防腐チャレンジテストにおいて中和剤はどのように選定・使用すべきですか?

化粧品登録者・届出者は、実際の製品処方に応じて適切な中和剤を自主的に選定することができます。一般的によく使用される中和剤には、SCDLP液体培地、Eugon LT 100ブイヨン、D/E中和ブイヨン、改良Letheenブイヨンなどがあります。中和効果の検証に不合格となった場合は、中和剤を変更する、または中和剤の使用量を増やすといった方法をすることができます。中和剤の使用量を増やす場合には、段階的に増やすことに注意し、中和剤による試料の希釈倍率は100倍を超えないことが推奨されます。

九、防腐システムが同一で処方が類似している製品に対しては、防腐チャレンジテストの評価要件はどのようになりますか?

防腐システムが同一で、処方が類似している製品については、既存の資料や試験データを活用して、防腐システムの有効性評価をすることが可能です。これにより、防腐チャレンジ評価報告書を作成し、防腐システムおよび処方システムの説明資料とともに提出する必要があります。

参考文書出典:

中国食品薬品検定研究院(NIFDC)

北京市薬品監督管理局(BMMPA)


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