欧州委員会は、2022年11月23日に欧州司法裁判所(ECJ)で下された欧州委員会が被告としての二酸化チタン(TiO2)に関するの判決(以下、「判決」という)に対する上訴を申し立てたことを二酸化チタン製造業者協会(TDMA)に伝えました。また、フランス政府も2023年2月13日の報道発表で、同判決に対して訴えを提起する予定であると公表しました。EU加盟国として、フランスは控訴することができます。
この判決では、欧州委員会がTiO2の特定の粉末形態を吸入による発がん性が疑われる物質(区分2)に誤って分類したとして、当該分類を無効にしたとの判断が示されました。同判決書には、適切かつ具体的な理由に基づき、同分類について研究の信頼性・妥当性を確かめるという欧州委員会の評価に誤りがあり、内在する発がん性を示す物質のみに適用されることが記載されています。
一般的に、ECJへの上訴は、十分な根拠を示す法的観点に基づいてのみ行う可能であり、1~2年間程度かかります。そのため、同分類は事実上、上訴手続が終わるまで適用されています。
TDMAの会員は、複雑な領域に必要な事項を明確化し、全ての利害関係者にとって有益な同判決に上訴したことに失望を表明し、継続的に弁護活動を行っていきます。現時点でTDMAは、判決結果が出るまでEU当局による関連規制の取組みを中止するよう要請しています。
TDMAは同分類の説明および適用範囲に関する支援情報をまとめています。詳細はこちらでご覧ください。
TDMAは、TiO2産業に従事する労働者の安全を最優先事項として取り組んでいます。そのため、労働者のTiO2によるばく露に関する長期的な研究を行い、安全使用のためのベストプラクティス・ガイダンスを作成しました。それに加え、TDMAはTiO2の安全性に関する科学的研究に焦点を当てています。例えば、一流の大学及び研究所に委託し、最新のガイドライン及び科学技術を利用し、科学的根拠に基づく予防プログラムを推進しています。実は、当該プログラムも最近その他の地域の当局から得られた意見もTiO2の安全性を示しています。
(2023年2月20日更新)
本記事の著作権は、欧州化学工業連盟(Cefic)に属する二酸化チタン製造業者協会(TDMA: Titanium Dioxide Manufacturers Association)に帰属します。なお、記事を日本語に翻訳して掲載することについて、当社とTDMAとの間で合意がなされています。
転載元:TDMA (URL: https://www.tdma.info/)