米国|EPA、TSCAに基づく新規化学物質の審査に全暴露を含めるよう方針を更新
2022-09-20

審査から暴露閾値を撤廃

 2022年08月22日、米国環境保護庁(EPA)は、有害物質規制法(TSCA)新規化学物質プログラムの方針と実務を再評価し、TSCAの下で新規化学物質の健康および環境リスクを評価する際に暴露モデルの閾値を使用しないよう方針を更新しました。

 従来の暴露モデルによる閾値の使用方針は、人の健康や環境に影響を与える可能性が最も高い暴露に限られた資源を集中させるために導入されたもので、暴露放出に関する閾値が設定されており、化学物質が大気中や埋立地から比較的少量しか放出されない場合、そのような放出がもたらすリスクは小さく、不合理であるとは考えられないと考えるとされていました。

 今回の閾値の撤廃は、モデリングが自動化されたこともあり、これらの計算を行う負担は軽くなっていることに加え、大統領令13985「人種的公平性の推進と連邦政府を通じた恵まれないコミュニティへの支援」を背景に、連邦機関に対し、恵まれないコミュニティに影響を与える政府の政策やプログラムを見直し、必要に応じて改訂するなどして、公平性を推進することを求める機運に乗じたものでもあるとされています。

今回の閾値撤廃によるメリットについては、次のように説明されています。

■ 新規化学物質の審査におけるモデリング閾値の廃止は、EPAと負担の大きい脆弱な地域社会の両方が、これら潜在的リスクについてより良く理解するのに役立つ。
■ 大気放出(工業・商業用地からの漏出および煙突)および埋立地からの地下水への放出に起因する 可能性のある、すべての潜在的曝露に対するモデル化を完了することにより(確立された閾値を超えるもの のみではなく)、これらの地域に対する潜在リスクについてより十分に理解することができるようになる。

注目点 

 今回の動きで着目したいのは、新規化学物質審査において、これまで暴露が少なく、閾値以下のために安全とされていた内容が、今回の閾値撤廃によって、どのように影響を及ぼすようになるのか、という点です。

EPAは次のように述べています。

「TSCAプログラムにおいて現在直面している資源的課題にもかかわらず、この変更が新規化学物質審査に要する時間への影響は最小限であり、潜在的なすべての大気および水域への排出をより包括的に考慮することによって得られる利益は、新規化学物質の上市前に必要な保護が確実に実施されるのに役立つと予想しています。」

 今後、関連する規制化プロセスなどへも影響が及ぶのかどうか、注目したいところです。

参考

■ EPA

 

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転載元:株式会社先読 (URL: https://www.sakiyomi.co.jp/)

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