2017年12月23日より発効したトルコの「化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規則(KKDIK)」はEU-REACHとよく似ていることから「トルコ語版のEU-REACH」と言われています。実際、KKDIKは18の付属書を含め、全体の9割以上がEU-REACHから引用しています。
しかし最近、その状況は必ず永遠に続くことに限らないという動きが出ています。2019年11月29日、トルコの環境都市整備省(MoEU)はKKDIKの修正を発表し、「シアン化合物」を付属書17(制限物質)に追加することを明らかにしました。これにより、KKDIKの制限物質は67種までに上りました(今までのNo.01~66はEU-REACHと一致しています)。一方、現在70種類があるEU-REACHの制限物質には「シアン化合物」がありません。
今回追加された「シアン化合物」に関して、具体的には下記のような規制がかけられることになります。
シアン化合物は一般消費者向けに市場で販売することが禁止される(店頭販売・ネット販売・その他の通信販売を含む);
シアン化合物の包装には、「専門または工業使用のみに供する」という文字をはっきり、且つ揉み消しづらいように記載しなければならない(公布日から一か月後から実施);
川下ユーザーと卸売業者はシアン化合物の製造/輸入者に「エンドユーザー声明」を提供する義務がある;
シアン化合物の製造/輸入者は毎年の3月・6月・9月・12月の月末までに上述した「エンドユーザー声明」を当局に提出する必要がある。
近日、トルコでは多数のシアン化合物中毒自殺事件が発生していたということです。そのため、当局はいち早く今回の修正を認めました。やはり、EU加盟国の有力候補としてのトルコとは言え、自国の実情に応じなければいけません。(Chemlinked Japan)