米国|EPA、飲料水などに排出されるPFAS汚染を防ぐための行動の内容を発表
2025-06-10

PFAS対策において、発生源となる事業体とのコミュニケーション、パートナーシップの構築や強化を含んだ今後の施行内容を発表

 2025年04月28日、米国環境保護局(EPA)は、パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)に対処するため、同局が今後実施する措置の概要をウェブサイトで発表しました。PFASの主管機関の指定、PFASが飲料水システムに流入するのを阻止するための排水制限ガイドライン(ELG)の作成、PFAS排出者の明確な責任の枠組みを確立するための取り組みなど、「科学の強化」「法的義務の履行とコミュニケーションの強化 」「パートナーシップの構築 」といった項目に分けられた多数の内容を発表しています。

米国において、PFASの取り扱いや関連した取引などを行っている事業体は注意が必要です。

この発表の背景 

2019年、トランプ大統領1期目の期間中、EPAはPFASアクションプランを発表していました。このアクションプランでは、州などの地方自治体がPFASを含まない安全な飲料水を提供するための短期的な解決策と、PFASの発生源である工場などへ必要な手段と技術を提供する長期的な戦略の両方が記載されていました。今回の措置の内容は2019年に発表を反映した内容となっています。

措置の概要

EPAは3項目に分けられた、以下の内容を行う予定としています。

科学の強化 

  • PFASを担当する政府機関の責任者を任命し、政府機関のプログラムを横断するPFASへの取り組む;

  • PFAS試験を実施し、危険特性と暴露経路に基づいた科学的情報を求める;

  • PFASの大気排出における情報収集と測定技術の向上に取り組む;

  • 測定・管理できないPFASを特定し、対処する;

  • PFASの破壊および廃棄ガイダンスの更新を3年ごとから1年ごととし、頻繁に更新する;

  • PFAS の検出および PFAS 対策戦略を改善するための試験方法の開発を強化する;

法的義務の履行とPFAS製造者などとのコミュニケーションの強化 

  • PFAS製造者などへの、排水制限ガイドライン(ELG)を策定し関連のガイドラインを評価する;

  • PFAS製造者などの、PFASの飲料水システムへの排出における重要な法令遵守のための課題および要望に対処する;

  • 資源保全・回収法(Resource Conservation and Recovery Act)の権限を効率的に利用する方法を決定する;

  • 特定のPFASを有害物質排出目録(TRI)に追加する;

  • PFASの使用と放出に関する水質浄化法とTSCAの制限を執行する;

  • PFAS排出における「緊急の危険」時について調査・対処する;

  • 新規および既存のPFAS化学物質のリスクに基づく審査に優先順位をつける;

  • 中小企業や成形品輸入者に過度の負担をかけることない施行を行う;

  • PFAS発生源などが負担し、PFAS汚染に対する明確な責任の枠組みを確立する;

パートナーシップの構築 

  • 飲料水供給源がPFAS汚染の影響を受けている場合、修復と浄化の取り組みを進める;

  • PFAS汚染によるリスク評価と分析・リスク評価ツールの開発を特定・明記する;

  • バイオソリッド(下水処理後に残る処理済み汚泥。肥料や土壌改良材として再利用可能なもの)リスク評価を終了し、今後の方針を決定する;

  • 州や部族に執行努力を支援する;

  • 保留中の州の大気に関する請願を検討・評価する;

  • PFAS排出者の責任を追及するため、違反行為の調査を支援する;

参考情報

EPA、飲料水などに排出されるPFAS汚染を防ぐための行動の内容を発表


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転載元:株式会社先読 (URL: https://www.sakiyomi.co.jp/)

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