再利用可能な容器使用の義務
世界的なファストフード大手であるマクドナルドが、フランス市場で導入した再利用可能なプラスチック製食器が、広く注目を集め、熱い議論を巻き起こしています。
フランスでは、2023年に施行された環境保護法により、20席以上を有するファストフード店は、段階的に再利用可能な容器の使用が義務付けられています。
この規制に対応するため、マクドナルドは店内飲食向けに、再利用可能なプラスチック製のフライドポテト用容器やハンバーガー用容器を採用し、使い捨て包装の削減を目指しています。
包装材料の安全性
マクドナルドのプラスチック容器には「Tritan(トライタン)」素材が使用されています。この素材は、高い硬度と透明度を備えているだけでなく、高温耐性、耐摩耗性、耐衝撃性にも優れています。さらに重要なのは、TritanプラスチックにはビスフェノールA(BPA)類の物質が含まれておらず、中国や欧州連合(EU)の規制基準を満たした上で食品接触用途として使用が認められている点です。また、米国食品医薬品局(FDA)も、特定のメーカーによるTritan製品を食品接触材料として認可しています。
マクドナルドはさらに、プラスチック容器の設計・製造過程で厳格な安全試験を実施し、使用時に有害物質が発生・放出されないことを保証していると強調しています。
使い捨て紙包装 vs 再利用可能なプラスチック包装の環境負荷
マクドナルドが使い捨ての紙容器からプラスチック容器へと切り替えたことで、環境への影響についてさまざまな声が上がっています。フランスのマクドナルドによると、新しい店内用の容器は最大29回の使用が可能で、回収率は92%に達しているとのこと。これにより、使い捨て容器の削減につながると期待されています。
一方で、紙容器は使用後に自然に分解されるため、環境に優しいと考えられがちですが、実は製造時に大量の木材を消費し、二酸化炭素の排出量が多くなる可能性も指摘されています。ライフサイクルアセスメント(LCA)の視点から見ると、プラスチック容器は一定回数以上再利用されれば、紙容器よりも環境負荷が低くなると考えられます。
とはいえ、プラスチック容器への移行には課題もあります。安全性の確保や、適切な回収・洗浄の仕組みづくりが必要不可欠で、これらの管理が不十分だと、かえって環境への悪影響が懸念され、マクドナルドのこの新しい取り組み、本当に環境に優しい選択なのか?今後の運用状況によって、その評価が決まることになりそうです。
再利用モデルが外食業界の新たなスタンダードに?
マクドナルドがフランスで導入したプラスチック製容器の取り組みは、単なる法規制への対応にとどまらず、ブランド戦略の一環として環境分野における重要な試みと位置づけられています。業界関係者の間では、マクドナルドの事例が再利用モデルの環境負荷低減への可能性を示したと評価されています。
今後、素材技術の進化や管理体制の整備が進めば、再利用可能な包装は外食産業の持続可能な選択肢の一つとして、さらなる普及が期待されていくでしょう。